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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】大槻ケンヂ(特撮)×はなわ(2003年8月号)- 日本を佐賀県にしてしまえ!

日本を佐賀県にしてしまえ!

2003.08.01

 筋少~特撮と時代を超えてなお現役アーティスト、そして文筆活動と多岐に渡る才能を発揮している大槻ケンヂと、♪S・A・G・A佐賀!でお馴染みのベースを持った一匹狼、バンド少年でもあったはなわによる注目のイベント「日本を佐賀県にしてしまえ!」。元々音楽雑誌の対談がきっかけで今回のイベントが決まったこともあり、テレコを回した途端二人の会話は次々広がり、大槻ケンヂ著「リンダリンダラバーソウル」の話から、葛藤、さらには日本のスティング!? 話まで。ライブを前に多忙なお二人の貴重なお時間を頂き、再び対談が実現しました!(interview:和田富士子)

バンド少年VSバンド少年

大槻:じゃ早速「リンダリンダラバーソウル」に感動した話から。
 
はなわ:くそ感動しましたよ。
 
大槻:くそ感動した!?
 
はなわ:これはほんとに、今まで僕が読んだ本の中で一番感動しました。
 
大槻:え、本当?
 
はなわ:本当です。これ(テープ)回ってますか?
 
──回ってます、回ってます。
 
大槻:回ってますよね、これで回ってなかったら、怒っちゃうよ(笑)。
 
はなわ:僕、実はあんまり本って読まない人間でして。「リンダリンダラバーソウル」を友達からずっと借りてたんですけど、ちゃんと読んでなかったんですよ。で、この間頂いたんで、じゃ読んでみようと読んだんですけど、まったく本を読まない男が2日で読んでしまいまして。
 
大槻:それは、アナーキーのドラムの息子さんも同じ事を言ってた。俺、お母さんにほめられちゃったもん。「息子が本を読んだ」って。
 
はなわ:そうなんですよ。で、CDのプロモーション活動で名古屋に行ったんですよ。その移動中に読んでて、帰りの新幹線で涙うるうる来ちゃいまして。バンドブームはかすかに知っているくらいなんですけど。これ失礼なんですけど、勝手に自分とリンクさせて読んでしまいまして。
 
大槻:いや、それは結構嬉しい。
 
はなわ:今のお笑いブームというのは、あの頃のバンドブームの1/100くらいなんですけど、オンエアバトルとかの流れもあって、自分が他の芸人さんと比べたら運良く多少知っていただけるようになって。それでこの本に妬みとか嫉妬とか、今後どうなるんだろうと途方に暮れているところとかあるじゃないですか? そういうの見ているとほんとに“一番読まなきゃいけない時期じゃないかな”って。
 
大槻:じゃあ、10年後に書いてよ、お笑いの「リンダリンダラバーソウル」(笑)。
 
はなわ:あははは。それは勝手思ってたりしたんですけど……。
 
大槻:で、ちなみに誰を妬んでたの?
 
全員:爆笑
 
はなわ:いやいやいや(苦笑)。実際僕の周りにそんな奴がいたら「あのやろうー」って思うかな。うらやましい、っていうか実際才能があるやつはアホほどいるんですけど、きっかけというのがない。そこで僕はCDが出せたんで、もし自分が普通に漫才とかやってたら「あいつは歌なんかでいきやがって、今後どうなるんだよ」っていう風に思ったりするんじゃないかなって。
 
大槻:逆に今妬まれている気はするの?
 
はなわ:うーん、どうなんでしょうね。でもその辺はもう関係ないと思ってやってます。
 
大槻:でも今、大変でしょう。何がなんだかっていうスケジュールでしょ?
 
はなわ:それはもう……仕事の意味がわからない。
 
大槻:仕事の意味がわからない!? 入社3ヵ月後の新入社員みたいだな。なんで俺は働いているのかなって(笑)。
 
はなわ:ほんとにそんな感じですよ。例えば「さんま御殿(TV番組)」とかすごい先のことだと思ってたものが急に出させてもらったりとか。この間まで“あんなところに出られたら何喋るんだろう”って思ってたのに、こんなに速攻なんだなと。
 
大槻:そんなバカな!? っていう仕事とかも入ったりするんでしょ?
 
はなわ:そうですねー。今、「トレジャープラネット」というディズニー映画の名誉宣伝部長っていうのをやっているんですよ。で、“俺かよ!?”と思いまして。
 
大槻:デートに行くような映画の宣伝部長!? ワケがわからない(笑)。
 
はなわ:ディズニーなんであんまり変なこと言えないですけど、これにはびっくりしまして。歌を作ってくれっていうんですよ。でもそれをはなわに言うって事は、ディズニーの文句を言ってもいいのかなと……よく分からなくなりまして。で、はじめはそんな感じの歌を作ったんですけど、さすがにそれはまずいなっていう風な判断を。
 
大槻:超却下でしょ? ディズニーはめちゃくちゃうるさいっていうよ。
 
はなわ:なので、結局すっごいまじめな、すっごい普通のいい歌を作ったんですよ(笑)。
 
大槻:いい歌作っちゃったの? それもどうなのよ~、微妙だなー(笑)。でもこれで、それこそ「リンダリンダラバーソウル」の中に出てきたような「これで俺はいいんだろうか?」っていう悩みがちゃんと出てきたんだ。
 
はなわ:ええ(笑)。で、僕、電気グルーヴも大ファンなんですけど、あんまり詳しく知らなくて。それでたまたまナゴム好きな人にナゴムレコードのMDをいろいろ作ってもらって聴いたんですよ。(ナゴム時代の)大槻さんの歌詞とか見ると、これやってたんだったらメジャーになってからのジレンマはすごいんじゃないかと……。
 
大槻:それはねー。だって、俺「ドリフター」っていう曲で「仲本工事の奥さん死んだ~」とか歌ってたんだよ。
 
はなわ:爆笑
 
大槻:それでやっぱりメジャーに行ったら、わりといい人キャラになっちゃって。そうすると悪いこともいえないし、怖いし、どうなんだろう? って。今はもうどうでもいいやと思ってるんだけど、やっぱ当時はありましたよね。でも、いい話だなー、ディズニーのタイアップでいい歌作らないといけないっていう。“俺ひよったんじゃないか?”ってパンクスが悩んだりするっていう時でしょう? いいなぁ、それ(笑)。
 
はなわ:もうそっちに行くしかないわけで。だったら、めちゃめちゃくさい歌を作ろうって感じでしたね。
 
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