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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ARB(2003年6月号)- 闘いを挑み続けた25年

闘いを挑み続けた25年

2003.06.01

人が歌える、口ずさめるような残る歌

──ライブ・サーキットの他に、今年はどんなことをやりますか?
 
凌:夏のイベントはいくつか出れそうですね。あと来年初頭にはホールツアーもあります。もちろん新しいCDも作ります。
 
──ARBはずっと社会や権力に対する怒りを表現してきたし、それはロックの本質でもあると思うんですが、今の時代、怒りを表現するのはすごく難しい気もするんです。例えば、怒りをそのままストレートに出すことがたんなる暴力にしかならないとか。
 
凌:確かに昔を振り返ると、ARBは「怒り」が8割9割だったんですよ。それは時代の流れはもちろんあるけど、ロックの定義は昔から変わってないと思うんです。例えば、反抗とか反発。でも、今の21世紀が持ってるパワーは確実に変わった。じゃあ、なんなのかと言ったら、多分怒りだけじゃないと思うんですよ。同じテーマを歌うにしても、もしかしたら怒りじゃない所から歌った方がお客さんにもっと届くかもしれない。僕ら昔は怒りしかなかったからそれをガンガンぶつけたんだけど、それは80年代のミートの仕方だったかもしれない。もちろん本質として、なんでこんなに物事が先走って決められるのかという怒りはあるんだけど、表現としてそのまま出してしまうとちょっと届かないんじゃないかなという気持ちはある。ARB再開後、いろんな音楽を聴いてよく思うんだけど、例えば女性のソロシンガーの歌、それもミディアムな曲の方が、よっぽど力強いとか凛々しいとかロックだなと思う瞬間があるんです。もし言霊というものがあるとしたら、声そのものが意志を持った強いものであれば、カッコつけて激しくやってるロックバンドよりよっぽどロックだと思う。怒り、不満をオブラートに包むんじゃなくて、表現の仕方をどうすればより人に届くかだと思うんですね。
 
KEITH:やっぱりメロディと詞が大切じゃないかな。メロディと詞ががいい歌は今でもずっと残ってるよね。
凌:人が歌える、口ずさめるような残る歌を作っていきたい。特に今の時代はリズムが重視される傾向があるけど、僕は人が音楽に求めるものってやっぱりメロディだと思うんです。
 
──確かに、ビートルズもストーンズもいいメロディは残りますよね。特にストーンズはあれだけ長くやってるわけですから。悪口言う人もいますが。
 
凌:でもね、ストーンズの悪口言う人のどれだけが凄いのかっていったら、俺はいないと思うよ。実際、ロックンロールショーかもしれないけど、時代を経てあれだけのお客さんを楽しませるっていうのはさ、他にないよ。まして、オピニオンリーダーとしての存在となったら、ビートルズ、ストーンズ以降あれほどのものはないよね。
 
──では、ARBもストーンズまではいかないかもしれないけど、今後もずっと…
 
KEITH:いや先はわかんないから、ストーンズみたいにがんばるかもしれないよ(笑)。
 
──ロックを一生やるしかないって感じはありますか?
 
凌:周囲が見るロックの概念が変わってきてるのは事実としてあって、もし今自分たちがやっている音楽がロックじゃないと言われたとしたら、じゃあ、ロックという言葉は使わなくていいですってなるかもしれない。でも、俺の中でロックの本質は変わらないから、たとえそれが古いと言われようが俺にとってのロックをやっていくしかないと思う。
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