Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ストレイテナー(2003年5月号)- 聞いた者の心を捉えて離さない2ピースバンド、Rooftop初登場!

聞いた者の心を捉えて離さない2ピースバンド、Rooftop初登場!

2003.05.01

 ギターとドラムの2名で構成されているストレイテナー。毎回、圧倒されっぱなしの迫力あるライブを魅せる、彼らのニューマキシシングル『Silent Film Soundtrack』が遂にリリース!! 美しくはかないメロディーに、どこか奥ゆかしさを感じる楽曲は、聞いた者の心を捉えて離さない何か不思議なものが潜んでいるようだった。 5月には『NEVERLAND TOUR』を、そのファイナルが新宿ロフトで行われる。そこで、シングル制作秘話とライブについてお話を伺ってきた。 (interview:やまだともこ)

打たれて打たれて打たれまくる

──では最初にRooftop初登場なのでバンド結成のお話をしていただけますか。
 
ホリエ:ナカヤマ君とは高校の頃から地元長崎で一緒にバンドやっていて2人で東京に出てきました。上京して1年目ぐらいまではベースを入れて3人でやっていたんですが、解散してしまったんです。それからストレイテナーを2人で初めて今に至ってます。
 
──3人でやっていた頃から、ストレイテナーの形はできあがっていたんですか? 
 
ホリエ:いや、前のバンドは完全に解散しているんで。
 
ナカヤマ:曲もやってないですしね。
 
──2人で構成されているのがすごく珍しいと思ったんですが、ベースがいないとやりづらいってのはないんですか? 
 
ホリエ:いつかはアレンジとかでやりづらくなるかもしれないけど、今のところは2人で自由にやってるんで、そう感じたことはないですね。音も二人だからこそ出せるものもあるし。
 
──バンド名の由来は?
 
ホリエ:昔、ひねくれた音楽とか暗い音楽が好きだった時期があって、精神的にも影響を受けていましてね。ライブも前のバンドが解散した後は半年以上やってなかったし、いろいろ病んでたんですよ。でも気持ちを改めて、もうちょっとまっすぐな音楽をやろうと思い、バンド名を“まっすぐにする人”ってことでストレイテナーにしました。
 
──ひねくれた音楽というと、どんなものを聞かれてました? 
 
ホリエ:小さい頃は普通にJ-POPとかも聞いてたけれど、高校生になってから洋楽を聴き始めました。最初はランキングに出てきたものから聞いて、それからGREEN DAYとか、Blurとかradioheadとか。イギリスのバンドが暗くなった97年辺りの影響がすごく強いです。というか、地方に住んでいるとインディーズの情報ってあまり入って来ないじゃないですか。だからテレビで見る音楽以外はほとんど知らないしっていうところで、日本のロックに飽きてしまってたんです。おかげで洋楽を聴くようになったから逆に良かったのかもしれないですけどね。
 
──私も地方出身者なのですが、やっぱり地方だと東京のインディーズの状況も入ってこないですもんね。それで東京に出て俺らが変えてやるぜ!! と。
 
ホリエ:そうです。高校時代は真剣に思ってました。でも、東京来たらかっこいいバンドがすごくたくさんいて、かなり衝撃受けました(笑)。だから東京に来てからですね、インディーズのシーンに影響を受けるようになったのは。
 
──そういえば、先ほどの話に戻るんですが、ストレイテナーの楽曲も聞き易いんだけどちょっとひねくれた感じのするものが多いですよね。
 
ホリエ:そうですね。バンドを結成した当時から、コピーではなくてオリジナルでやっていたうえのひねくれ方かもしれないですね。でも、聞き易い中にも奥ゆかしさみたいなのがあるというのが出てればいいかなと。日本語だしすごいストレートに音楽をやってるんだけど、洋楽っぽい感じがするって言われると一番嬉しいですね。“和”よりは“洋”が好きなんで。
 
──では、先日発売した「Silent Film Soundtrack」ですが、これはいつぐらいから作られていたんですか? 
 
ホリエ:レコーディングは1月の終わり。曲は1年以上前からあった曲とかバラバラですね。
 
──それをアレンジして。
 
ホリエ:そう、出すなら今だと。
 
──タイトルの由来は。
 
ホリエ:ストレイテナーの楽曲と詩のイメージが詰まったタイトルです。この4曲のタイトルからってよりは総合的にって感じですね。
 
ナカヤマ:4曲とも全面に押し出したいんでどうかなと思ったんですよ。表題曲みたいなのを作るんじゃなくて、他のタイトル考えて…。そしたらこのタイトルが浮かんで、いいじゃん! みたいな。
 
──手応えはどうですか? 
 
ナカヤマ:バッチリなのは毎度あるんですけど…。バッチリです(笑)。
 
ホリエ:今までで一番良くできてます。ミックスとか音作りとか。だいたい、できてからリリースまでの間に「あ~ここをこうすれば…」ってのがあるんですけど、今回はそういうのがないですね。
 
──今を詰め込んだ集大成的な仕上がりということでしょうか。では、今回の聞き所なんかをお話してください。
 
ホリエ:聞き所は全部です! 1曲目はテンポが早くて美しいメロディー。2曲目はブリティッシュロックを感じるテイストを出した曲。3曲目はストレイテナーらしい昔からある曲。4曲目は…。
 
──4曲目は英語の歌詞なんですね。なぜこれだけ英語で? 
 
ホリエ:もともとメロコアが好きなんで。今回シングルに入っている曲の中では一番新しいんですよ。
 
──ということは、一番最近の曲が英詩って事は、これから先の予告みたいなものだったりするんですか? 
 
ホリエ:いや、たまに英詩で作りたくなるんですよ。
 
──日本語の詩の方は日常的な詩とはかけ離れた感じですが。
 
ホリエ:日常的な歌詞とかあんまり好きじゃないんですよ。メッセージ的なものは詩のどこかに潜んでいればいいかなと。逆に歌詞を書き進めていくうちにストーリーが出てきて、それでメッセージみたいなものが出てくる。最初からこのメッセージで曲を作るってのは一切ないですね。それで、できてから自分で逆に影響受けちゃうみたいな。
 
──自分自身が影響されていると。でも、その分もっと多くの人がホリエさんの詩に影響されているんじゃないですか。
 
ホリエ:すごい悲しい曲だと思う人もいれば、勇気づけられました! ってポジティブにとる人もいますね。ライブでもそうですよ。パーティー的なアプローチを求めてくる人もいるけど、精神的に泣きを受け取りに来る人もいるし。
 
──私はけっこう泣きなタイプの受け取り方をしましたね。特に3曲目は詩が印象的でかなり好きな曲です。
 
ホリエ:これはSWORDの話、剣にまつわる物語ですね。僕の場合普段はぼんやりした詩を書くことが多いんですよ。はっきりとしたイメージが浮かばないというか、人それぞれ取り方が違うような詩を書くことが多いんです。でもこれは珍しく生々しいですね。先に行った勇者の後を旅していて、まだ自分は未熟だって言う詩なんですけど。
 
──ナカヤマさんはホリエさんの書く詩をどう受け取りますか? 
 
ナカヤマ:レコーディングの時にだいたい見るんですがいい詩だと思ます。僕がジャケットとか作るんですけど、今回は詩のイメージがいつも以上に出たジャケですね。特に『THE SWORD』をイメージして作ったって訳じゃなかったんですけど。ホリエ君が書く詩を読んで、僕の中での世界観を作ってます。
 
ホリエ:2曲目、3曲目に生きてという感じが込められていて、それがジャケットに出ています。強く生きて死んだ…みたいな。
 
──すごいインパクトあるジャケですよ。ジャケも作られてるとなると全部自分達でやられてるんですね。
 
ナカヤマ:作品に関してのできるところはやってますね。
 
──そういえば、去年自主レーベルを立ち上げられたそうですが、それも自分達でなんでもやりたいということもあってということなんでしょうか。
 
ナカヤマ:前々作の『SKELETONIZED』がLD&Kから出てるんですけど、今のghost recordsの母体となっている人達と盤を作ったんです。そうやって手伝ってくれる人も増えて自分達でも出来るんじゃないかと思ったのと、新たな環境で出してみようってのがタイミング的ちょうどあっていたんで、前作から自主レーベルでリリースしてます。
 
──自主レーベルは好きな事が好きなようにできるからいいとよく聞きますが。
 
ホリエ:今までも好きなことはできてたんですよ。デザインも自分達でアイディアを出したりして、作業だけやってもらうっていう感じでやってたんです。でもデザインも自分達でやれるようになったし…。ただ、一番大事なのはモチベーションじゃないかと思うんですよ。今までにミニアルバム3枚リリースして、事務所にも2年近くいたんですが前に進んでいる気がしなかったんですよ。
 
──周りの人にけっこう頼っちゃうんですかね。
 
ホリエ:人のせいにはしちゃいますよね、やっぱり。でも今度は責任が自分達ですからね。
 
──では最後にライブについてお聞きします。『NEVERLAND TOUR』というツアーが行われるそうですが…。
 
ホリエ:僕らにとってツアーは修行ですね。
 
──修行というと? 
 
ホリエ:技術から、スタミナからメンタル面も含めて…。打たれて打たれて打たれまくる。だからツアーやると強くなりますよ。めちゃくちゃ成長しますし。東京ばかりでやってるとぬるくなっていくけど。
 
──今回初めてまわるところも…。
 
ホリエ:鹿児島が初めてです。CDも売ってるかどうかって感じなので、地方に開拓にっていうよりは修行に行くかんじですね。
 
ナカヤマ:修行だけどお金払ってもらってるんで、見せるとこは見せますけどね。そうそう、今回のツアーは東京以外全部BAZRAと一緒にまわるんですよ。
 
ホリエ:修行でしょ?(笑)僕ら帰ってきたら眼がでっかくなってると思う(笑)。ってのは冗談ですが、切磋琢磨しあって。BAZRAが俺達の影響を受けるのかどうかわかんないですけど、影響をあたえるぐらいの。
 
──北(BAZRA / 北海道)のバンドと南(ストレイテナー / 九州)のバンドで。
 
ホリエ:九州男児とはなにかというのをね。
 
──で、ロフトはゲストにYIELDを迎えてファイナル。
 
ホリエ:YIELDはエレクトロポップないいバンドですよ。僕らはワンマンのつもりでがんばります。
 
──ワンマン並に曲をいっぱいやってくれたらお客さん的にも嬉しいですもんね。
 
ホリエ:そうですよね。あとは体力的に鍛えていかないと。イベントなら10曲とかですけど、今回はいつもよりも長いから肉体的にね。そこをツアーで鍛え直して…。
 
──やっぱ年齢とともに体力落ちてきますよね。階段昇ると無駄に息切れしたりとか。
 
ホリエ:僕は足がプルプルしますね。
 
──(笑)。ここがふんばりどきだってかんじですかね。
 
ホリエ:肉体的にも将来的にも(笑)。僕らがロフトのライブまでにどんだけ洗われてきたかを見に来て下さい。といいつつものすごくへこたれてるかも(苦笑)。気合い入れてがんばります。CD聞いて悲しくなったりとか、震い立ったりとかいろいろあると思いますけど、ライブに来て楽しんでもらえたらと。
 
ナカヤマ:チケットの値段以上に楽しませるのでぜひ来て下さい! ツアーの最後なんでね、いろいろと鍛えられてきた成果を出しますよ!! 
 
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