1950年代、アマゾン川流域で「テラ・プレタ」と呼ばれる黒い土が発見された。他の土はあっという間に開墾・耕作すればダメになるのに、この黒い土だけは違った。耕作しても劣化しないのだ。手入れもしていないのに収穫量が数倍多く、ダメにならない。一体どうしたことなのかと調査してきた。2000年を過ぎてから分かったのは、この土は約4000年前から人為的に作られたものだったということだ。成分を調べると、土に炭と炭を作るときに発生する木酢液を混ぜたものだったというのだ。
もうひとつ、アマゾンはアグロフォレストリーと呼ばれる「森と一体化した農業」の故郷でもある。これを体系化したのは日本人移民の人だった。彼は何度開拓しても土はすぐ荒れてしまうのに、なぜ先住民の人たちは耕作しているのに土地がダメにならないのか、学んだ結果だった。どちらもルーツはそこに長年住んできた人たちにある。
環境問題の解決策は地域の知恵にあるとぼくは思う。学者の研究室ではない。地域の現場にあるのだ。確かに学歴が高ければ、知識は比例して増えることだろう。しかし現場で必要なのは知識ではない。実際に解決することのできる知恵なのだ。その多くは人手でこねくり回した複雑なものではない。ここにもある、あそこにもある、ありふれたものを活かす知恵なのだ。外界に背を向けて研究室で見つけられるものではなく、現場で土にまみれる中から見つかるのだ。
さて、ありとあらゆる有機物は焼却せずに炭にしよう。ゴミ焼却場を叩き壊してその跡地に炭作りの釜を作ろう。実はこれも、岐阜県の石屋「博石館」が作り上げた「炭化炉」がある。有機物なら何でも炭にしてしまう優れモノだ。しかも燃やすのに石油は一切使わない。有毒物質を含むものは炭にできないから、最初からそんなものは作らせなければいい。今まで作ってきたモノは、技術をこねくり回した複雑で効率が悪いモノが多すぎる。そろそろそんなダメな巨大技術は捨て去って、本当に役立つローテクに戻った方がいいんじゃないか。アマゾンの奇跡の土で、地球を蘇らせよう!