伊東潤・著『男たちの船出~千石船佐渡海峡突破~』は、瀬戸内の塩飽の船大工たちが佐渡の荒波に立ち向かう大感動作。胸が抉られるような人間ドラマ。頁をめくるたびに和船の奥深さ、繊細さを嫌というほど思い知らされた圧倒的な大傑作。
男の浪漫の波しぶきにずぶ濡れになった幸せな時間だった…ありがとう伊東潤さん♪
この瀬戸内は塩飽の船大工たちが佐渡海峡の荒波に立ち向かう物語に感動。読後に出るのはため息ばかり。そしてふと、その昔、佐渡で素潜りで遊んでいたときを思い出していた。
ウツボに威嚇され、危険なゴンズイとニアミス、思いきり冷たい日本海の海中を楽しませてもらっていたが、ある日、小木港で、いわゆる有名なたらい船に乗ることになったのだった。
思ったよりかなり大きなたらい型の丸い船(?)に、三角の編み笠、前掛け、裾から覗く赤い襦袢(?)のシニアなお嬢さんと同乗。
お嬢さんはそれは器用に櫂を操り、漕いで前へ進むという不思議なたらい船。ちょっとした会話と笑いの中で、櫂を漕がせてもらえば、ものの見事にスイスイ進むではないか。ちょっと驚いた表情の船頭のお嬢さんに笑みを投げると、何かメモをしている様子。
「お客さん、降りたらあの受付のところに行ってください」と指示され、窓口の札を観ると「たらい船 操縦士免許」と書いてある。お嬢さんのメモを渡すと、その「たらい船 操縦士免許」なる表彰状のような立派な免許証をいただいた。いくらかの支払いがあったのだろうが、いくらだったか覚えてはいない。ただ言われたのが、この免許は全国でも2000人くらいしかいないそうで、もの凄く嬉しかった。
自分の親父は戦車も運転できる特殊免許も持っていたが、このたらい船操縦士免許となれば、どんな免許より勝てる。
伊東潤さんの『男たちの船出~千石船佐渡海峡突破~』を読んでしまったもので、ついついあまり話したこともない数少ない自分の自慢できる佐渡の「たらい船 操縦士免許」の話をしてしまったのであった。
▼伊東潤・著『男たちの船出~千石船佐渡海峡突破~』