レコーディングを終え、守衛さんにお疲れさんと言いながら、ジャケットを肩にかけ、駐車場に向かう。
置いてあるスポーツカーのイグニッションキーを捻り、レーシーなサウンドとともに猛然とエキゾーストノートを噴き上げる愛車で颯爽と帰路につく。
置いてあるスポーツカーのイグニッションキーを捻り、レーシーなサウンドとともに猛然とエキゾーストノートを噴き上げる愛車で颯爽と帰路につく。
そんな何気ない一瞬の憧れの絵がいつも心の安らぎのように頭に浮かんでいた日々。そしてそんな日が突然訪れた。
深夜から早朝にまでかかったレコーディングを終え、28時ころ守衛さんにお疲れさまでしたと挨拶をかわし、駐車場に向かう。置いてあるフレンチレッドのシムカ1200Sクーペのキーを捻り、リアのエンジンが元気よくかかるのを見計らってギアを入れ、クラッチを足から離すと、うっ、動かない。どうしたのだ、そのままドアを開け、下をのぞき込むのだがわからない。どうもサイドブレーキがロックしてしまったらしい。
仕方なくジャッキアップし、それから格闘すること1時間弱。まだ暗かった朝ももうすでに明るくなり手は油だらけになり、守衛さんも「大丈夫かい?」と心配してくれる始末。
やっと動き出し帰路につけたワンスアポンアタイム・ビクター青山スタジオ。理想と現実はここでも容赦なくその落差を見せつけてくれたのであった。そう、現実はこんなもんだよな(笑)。