前回から続いて、「性的同意」について考えたいと思います。
性に関する言葉って、新しいものが次々と出てきますよね。私が在籍するレズっ娘グループでは、HPの「レズ風俗用語」が充実しています。https://lesbian.jp/lword/
そこでは性的同意を、「2人以上で性的行為を行う際の同意を指しますが、パートナーに対しても、性的行為をしたいと思う方が性的同意をとる責任を持ちます」と説明されています。
“NO means NO(NOは、NOを意味する)”って、当たり前のことを言っているようですが、日本では「イヤよイヤよも好きのうち」なんて長く言われてきました。
これからは“YES means YES”の考えが大事ですね。「Yes以外はすべてNo」という意味で、相手が黙っている、つまりNOと言わない状態を勝手に「YES」だと思ってはいけないということです。
そして、セックスをすることに「YES」だとしても、それは何をしてもいいわけでない──。
お客様をご案内しているとき、私たちキャストは常にそのことに気を配っています。性的なふれ合いができるウェルネスコースを予約されたけど、はじめてみたら無理をしているんじゃないか、本当は痛いのに私たちに気を遣って言えないんじゃないか。
そこで、レズっ娘グループでは「セーフタップ」というルールを設けました。
プレイ中に痛かったり不快だったりして「このプレイをやめてほしい」という状態になったときは、相手のからだやベットなどを『3回』叩く……これが中止の合図です。
キャストがセーフタップをするシーンもあるかもしれません。いずれにしろ、お互いに負担なくプレイを中断でき、気持ちを切り替えることができます。
乱暴なプレイだから、痛く、つらくなるとは限りません。繊細な場所に触れるわけなので、本人にしかわからない加減というものがあります。
実は、私はご案内中にセーフタップを使われたことがほとんどありません。以前から、みなさん言葉で伝えてくださっていましたし、私もその都度その都度、お客様が受け答えしやすいよう確認してもきました。
私はリバタチなのでタチのプレイが多く、空気を作る側にいると感じます。お客様の身体の状態や態度などで察知したときは、ゆっくりとしたやさしいプレイに変えて様子をみるなどします。
特に最初の挿入時は、繊細さと慎重さを求められます。
たっぷりと濡れた状態を作ってからでないと、絶対に指入れしません。まずは小指からはじめることもあります。
私がよかったと思っているのは、ルールができたおかげで「どちらにも、これ以上はダメだよという限度がある」という認識が共有されるようになったことです。
キャストは経験を積むことで相手の状態を察知することができるようになり、敏感に対応できるよう努めていますが、プレイに不慣れなお客様がその加減をつかむのはむずかしいと思います。
それがこのルールによって「加減をしたほうがいいときもある」「それを過ぎてしまったら、いったん中断すればいいんだ」ということが伝わりやすくなりました。
「これ以上は無理だと伝えたらやめてくれる」「しんどいときはちゃんと伝えてくれる」というのは、安心感になります。伝えてもいいんだという認識をお互いに持つことができたら、そのうち言葉でも伝え合うことができるようになると思います。
そしたらプレイの幅も、きっと広がりますよね!
私はセーフタップのルールは、「お互いを思い合った性行為をしようね」というメッセージだと思っています。
【ゆう プロフィール】
永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025