自己紹介、得意ですか? こんにちは、朗読詩人の成宮アイコです。
先日、教師を目指す人向けの雑誌の取材で学生時代のお話をしてきました。学校の記憶がぽかんと抜けていることが多いわたしに、意味のある答えができただろうか。とにかく、先生は「先生」という生き物じゃないし、生徒は「生徒」という生き物じゃない。好きな人がいたり忘れたいことがあったり秘密の日記を書いてたり、怠けたりする同じ人間、ということだけでも伝わればいいなと思っています。
その翌日は樹海のトークイベント、翌々日にはライブハウスで朗読、次は毒親や機能不全家庭について、自分の生い立ちとともにお話ししました。と、書いていて、たしかにこれは一見、ジャンルがバラバラに見られるかもしれないな、と思います。
その翌日は樹海のトークイベント、翌々日にはライブハウスで朗読、次は毒親や機能不全家庭について、自分の生い立ちとともにお話ししました。と、書いていて、たしかにこれは一見、ジャンルがバラバラに見られるかもしれないな、と思います。
「生きづらさ」や「メンタルヘルス」をテーマにこういった文章を書いたり、ルポライターさんの取材に同行させてもらったり(時には過酷な現場に行くことも)、トークイベントでおしゃべりをしたり…ということは、わたしの中ではすべて地続きなので不思議はないのですが、やはりパッと見わかりにくいようで、「活動を簡潔に説明するとしたら何て言いましょうか?」と聞かれることがたびたびあります。社会で紹介されるためには、明確な説明が必要になることが多いようです。
自分じゃない他人のことを知りたい。それも、人間関係の間ではなくて、それぞれがひとりぼっちでいる時のことを。
なにをしていて、なにが好きで、なにを考えて、なにを支えに、どんなふうにひとりの時間を生きているのか。それを知ったときに、案外自分と同じように、洗い物をためこんだり、深夜のスーパーで安くなったシュークリームを買っているかも…と想像するとほっとするのです。(詳しくはTABLOのコラム「半額のケーキを全部食べたり、嫌いな人のSNSを見すぎてアドレスを手打ちできたり、ひとりの部屋でしていることは愛おしい」をご参照ください)というのが、こういった活動の共通点です。
しかし、これも一言ではないし、ぼんやりとした理由にとられてしまいそうです。
そんな経緯で、これまでは、「生きる方向へむかうアジテーションがしたい」と言ってきたのですが、いつからか、わたしはわたしだけじゃなく、みんなでやりたいと思っていました。
結果、最終的には、「踊り念仏」的なことがしたいです。
でも、これは、「同じことをみんなで輪になってやる」のではなくて、「わたしたちがそれぞれひとりずつでいること」をみんなでやりたいのです。それぞれの生きていることを、それぞれが叫び、沈黙し、踊り、勝手にすることをみんなでやりたい。
つまり、ただなにをするわけではなく、それぞれが生活を生きていれば成り立つものでもあるのですが、できることならばその様子を、伝えたり伝えられたりする場所がときどきでもあったらいいな、と思ったのです。他人が自分と同じように感情を持って生きている、ということに触れるのは、自分と世界の接点が増えるような気がします。
つまり、ただなにをするわけではなく、それぞれが生活を生きていれば成り立つものでもあるのですが、できることならばその様子を、伝えたり伝えられたりする場所がときどきでもあったらいいな、と思ったのです。他人が自分と同じように感情を持って生きている、ということに触れるのは、自分と世界の接点が増えるような気がします。
ここ数年、「あなたの言葉を朗読します」という企画をし、募集した詩やテキストを読むイベントの開催もしてきたのですが、それはそれで継続しつつ、もう少し踏み込みたい。そんなわけで、10月27日から東京でオープンマイクのイベントを始めることにしました。イベント名は「ハロー言葉」。あなたが書いたものを、あなたの声で聞きたいのです。
これまでにも、金沢、富山、名古屋、とオープンマイク+ライブの形式で呼んでいただき、その後もイベントは地元の方々によって続いているようです。そんなふうに各地に、みんながそれぞれでいられる支店のようなものが増えていけばいいなと思っています。
Aico Narumiya Profile
朗読詩人。「生きづらさ」や「メンタルヘルス」をテーマにした詩の朗読をしたり、文章を書いている。朗読ライブが『スーパーニュース』や『朝日新聞』に取り上げられ、新潟・東京・大阪を中心に全国で興行。赤裸々な言動により、たびたびネット上のコンテンツを削除されるが絶対に黙らないでいようと心に決めている。趣味はアイドルとプロレス。