疑問、投げかけていますか? こんにちは、朗読詩人の成宮アイコです。
SNSで流行っている匿名で質問ができるサービス「質問箱」。わたしも利用しているのですが、日々送られてくる悩みを読んでいると「悩みを打ち明けたら、『みんな頑張っているんだから』と言われました」というメッセージが目につきます。
わたしは猫舌なので、熱いラーメンが食べられません。レンゲの上で冷ましておそるおそる口に入れます。ああ、いっそ、太麺 / 細麺とか、油の多め / 少なめとかのように、熱め / ぬるめの選択肢を作ってほしい。カウンターに座るなり「太麺、油多め、ぬるめ!」と注文ができたらどんなに良いことか。
しかし、世間一般的な舌温度耐久度は相当レベルが高いようで、みんな熱々ラーメンや炊きたてごはんをおいしそうにホフホフと食べています。いちいちレンゲで麺を冷まし、お茶碗のご飯にお箸を差し込んで空気を入れてなんとか冷ましながら食べるわたしよりも、明らかにおいしそうです。ですが、頑張って熱いものを口に入れると涙が出て吐き出してしまいそうになりますし、熱さで味がわかりません。同じ温度のラーメンは、ある人には適温で、ある人には熱すぎて無理ゲーなのです。
そんな時に「みんな頑張っているんだから」と言われても無理なものは無理です。熱い食べ物は凶器です、冷ます時間をください。
もうひとつ、相談をしたときに言われたくない言葉をこの場面で言い換えてみましょう。
「もっと熱いラーメンを食べてる人もいるんだから」
だからどうした! 誰かがもっと熱いものを食べていようが、今まさにわたしに降りかかっている目の前にあるラーメンが熱くて食べられない現実も、猫舌の特徴も消えません。ラーメンの話だからこんなふうに笑って返せますが、真剣に悩んで、相手の負担にならないように我慢をして、でもやっぱり耐えられない、と勇気を出して相談をした場面でも同じように笑えるでしょうか。
誰かの好きなものが自分は苦手だったりするように、自分にとっては言われても平気な言葉が、誰かにとっては致命傷になるかもしれないのです。感じ方は人それぞれです。人には長所があるように弱点があります、仕方のないことです。
みんな頑張っているんだから悩むな? みんな頑張っているんだから傷つくな? みんな頑張っているんだから…だから何だって言うのでしょう(この件については、『TABLO』というニュースサイトにて掘り下げています。こちらから飛べますので読んでいただけたら嬉しいです)。
というコラムを書いていたら、悲しいことに、韓国のアイドルが自死をされたニュースを耳にしました。その方が生前に言っていた言葉をSNSで読みました。とても優しくて、とても悲しい言葉です。「『皆そうやって生きてるの。あんただけが大変なわけじゃないよ』。僕はこれが世界で一番悪い慰め方だと思います」(SHINee / ジョンヒョン)
自分の目の前にいる人が心を持っている人間だということを忘れずにいよう、ということを2018年最初の宣言にしたいと思います。