朗読詩人の成宮アイコと申します。なんだそれって感じですが、簡単に言うと機能不全家庭(DV祖父&フェードアウト父)で育ち、不登校になり(お前の声キモいという軽いじめアリ)、気づいたら社会不安障害(いわゆる対人恐怖)という称号を手にしていた人間が、大きなホールから地下ライブハウスまでどこにでも行って、生きづらさと人間賛歌をテーマにした詩の朗読をギターやピアノ演奏者と一緒にやっています。いわゆるポエトリーリーディング的なアレです。しかし、どうも最近はお堅いフォーラムには呼ばれない。理由はライブ前のMC。
「よく障害は個性とか言うけど、わたしにとって病気がピークで学校に行けなかった期間は個性という言葉ではとても片付けられない地獄です。逆に『個性的であれ』っていう幻想もじゃあ没個性なわたしはどうすればいいの? って思う。某アイドルの歌詞みたいにワンオブゼムは成り下がるものじゃないし、オンリーワンもワンオブゼムも同じく尊い」
出番のあと「彼女を呼んだのは誰だ!?」と苛立っている関係者。真剣に思っていることなのにな…って思ってちょっと泣く。そして気づいた、ステージの背景に掲げられた「個性が大事〜選ばれたあなた〜」。でも、選ばれたあなたでも選ばれないわたしでも、命はたぶん等しく尊い。
ときどき、ツイッターで「自分は病名もないのに毎日がつらいとか言って恥ずかしい」という類の言葉を見かける。あなたの中に苦しい悲しいがあったら病名あるなしは関係ないし、つらさに大小はないし、それは確かにあなたのつらさだし、間違いないよ消さなくていいよ! って直接言いに行きたい。なぜなら、わたしが言われたい言葉だから。あーあ、叩いたら埃しか出ないこんな本音がいつか味方になりますように。頼むよ、ほんと。
個性的であれなんていうばかな幻想は、わたしが全部吹っ飛ばしておくからね。
こうして同じでいよう。生きたいって思う、同じでいようね。
傷つかない人間なんていると思うなよ
成宮アイコ Profile
赤い紙に書いた生きづらさと人間賛歌をテーマにした詩や短歌を読み捨てていく朗読詩人。こわれ者の祭典・カウンター達の朗読会メンバー。朗読ライブが『スーパーニュース』や『朝日新聞』に取り上げられ、新潟・東京・大阪を中心に全国で興行。赤裸々な言動により、たびたびネット上のコンテンツを削除されるが絶対に黙らないでいようと心に決めている。「詩の朗読であなたを人生の当事者にしたい」