ロフトレーベルインフォメーション
CASANOVA FISHの西牧嵩大です。この連載も最後になりました。
このアルバムを出して少し時間が経ったので久しぶりに聴き返してみたのですが、やっぱりこれは良いアルバムですわ。客観的に聴いても僕は好きです。
2019年の夏、4人の若者が何もかもギリギリで挑んだ姿が克明に記録されている。7曲中4曲がレコーディング1か月前以内に生まれ、前日までアレンジをした。レコーディングは3日間、ボーカル録りは1か月で全て。でもそのギリギリさこそがこのバンドの持ち味なんだなあと思う。
先日ギタリストが脱退した。僕はみんなやりたい事をやったらいいと思っているのでそれを受け入れた。もう彼女はこのバンドにいないし、おれたちは前を向いて進んでいる。それで良いんだと思う。でもこのアルバムを無かったことになんて絶対にできないんだよね。彼女のギターがこのバンドで鳴っていたのは後にも先にも2019年の10か月間だけなんだけど、その間にアルバムを出せた事はとても意味があると思う。あの時全員が全力で、4人で一生懸命にこのアルバムを作り上げたことは紛れもない事実である。そんな内部事情も含めて僕はこのアルバムが大好きだ。バンドを辞めてしまった彼女にはもう僕らから返してやれることは一つもないけど、これから待っているどんな大きなステージでも、このアルバムからの曲をやりたいと思う。その意味をそのときお互い噛みしめられたらと思う。
20歳の僕が連ねた言葉はおおよそ的を得ている。僕もきっとこんな言葉を待っていたんだと思う。何ひとつ包み隠さないリアル。これが5年10年と経ったとき、どんなふうに響くんだろうな。楽しみです。
音楽の不思議なところは、後からまた意味をはらむところ。このアルバムは成長していくアルバムだと思う。『FLASHBACK IN MY DREAM』是非長く聴いてあげてください。
読んでくれてありがとうございました。