年が明けたわ。
大晦日は東京と大阪を往復して案の定泥酔状態で年を越し、そのまま空港に直行して只今海外逃亡中よ。誰にも行き先は告げて居ないわ。
まあそんな訳で、この『悦楽酒場』も無事1周年を迎えたみたいよ。こんなに続くとは思って居なかったけど。1月はのっけからレコーディングやら撮影やらで大忙しなので、新年早々、しかも異国の地にて何故他人のお悩みを聞かなきゃいけないのって感じだけど、今回のお相手は文面からはどうやら女子のようね。むむ、名前が書いて居ないわよ。
マリアンヌ様、こんばんは。『悦楽酒場』に寄せられる男衆の愚問を斬りさばくお姿にいつも感服しているひよっこデザイナー(社会人一年目)です。私の悩みを聞いて下さい。
私が勤める中堅出版社のデザイン・ルームは田山涼成似の43歳の男性室長以外、全員女性なんです。鈴木砂羽似の39歳の室長代理(お局・既婚)、お局と敵対する石田ひかり似の37歳バツイチ、お局派で矢沢心似の33歳未婚、石田ひかり派で宮地真緒似の27歳既婚、私は一番下っぱで、デザインを一から手掛けることよりも大量の流し込みをやらされるオペレーターみたいな仕事を主にしてます。
それは構わないのですが、鈴木砂羽(お局)&矢沢心グループ、石田ひかり&宮地真緒グループの派閥争いにたびたび巻き込まれるのが悩みの種です。石田&宮地グループの仕事を優先していたら、お局から「向こうの仕事ばかりしないで頂戴」と注意を受け、休日返上でお局グループの仕事をこなしたこともあります。もちろんその逆のケースを石田&宮地グループから強いられたこともあります。そして、トイレで誰かと鉢合わせるたびに「あなたはどっち側の人間なの?」といつも言われます。田山室長は我関せずで社長のご機嫌取りに忙しく、デザイン・ルーム内で勃発しているおんな風林火山のことも何ら把握はしていません。私はぼちぼちどちらかの派閥に入るべきなのでしょうか。それとも、態度保留のままやり過ごすのが賢明なのでしょうか。私が入社する前は宮地真緒が同じ悩みでさんざん迷ったらしく、今の私の立場に割と同情的なので、気持ちの上では少しだけ石田&宮地グループに傾いています。マリアンヌ様の的確なアドバイスを頂きたいです。
んま。何だか一昔前のテレビドラマにありそうな職場だこと。しかし何だかほのぼのとして見えるのは文面に滲み出ている貴女の人柄の所為かしら。
こう云う話を聞くとつくづく女ってくだらない生き物だワ、なんて思うけど、別に虐められて居る訳ではないのでしょ? まあ、体よくこき使われて居るのは事実ですけど。
派閥になんか入る必要ないじゃない。少なくともワタクシならば入らない。入ったら入ったで面倒臭そうだから。どちらかに偏らず両方の仕事を受けてしっかりこなしつつ立場は常に中立。その姿勢で仕事をどんどん覚えて誰からも文句を言われないような女になりなさいよ。ワタクシには所謂OLの経験は無いけど、腰掛けならともかく貴女がその会社及び業界で身を成したいのだったらそれが賢明だと思うわ。仕事にあぶれる人が沢山居る世の中で、職場であれこれ押し付けられるなんて寧ろ幸せだと思いなさい。貴女って、どこか飄々として居るくせにM体質で打たれ強いタイプではなくて? 絶対そうだと思うわ。そうやって夢中で仕事をこなしているうちに気付けば社内環境も変わって居るでしょうよ。
SMクラブではM女からスタートさせるお店が結構あって、それに耐えないと女王様にはなれないのね。まあワタクシだったら最初から女王様になれる店を選ぶけど。貴女にはM女として数々の試練に耐え、最終的には鈴木砂羽よりも良い女になって頂きたいの。鈴木砂羽、好きなのよね。蛇足だけど、主演映画『愛の新世界』で女王様のバイトで生計を立てる舞台女優の役を演じて居てこれがなかなか良いのよ、エロくて。そんな訳で健闘を祈るわ。
では、本日はこれにてお開き。
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