梅雨だね。毎日、雨がぽつぽつ。雨って靴下がびちょりと濡れてちょっとブルーなんだけど、公園の緑は土やほこりが洗い流されてすごくキレイな青々した緑になるし、カエルはゲロゲロと大きな声で鳴くし、雨は雨でその時にしか感じられないもの、見れないものがあるから嫌いじゃない。
眠りにつくときには1日の中でおきた嬉しいことをなるべく思い出すようにしてる。
例えば、1日の中ですごく悲しいことがあったとしてもずっと悲しい気持ちじゃなかったと思うの。嫌なときのことを思ったり、考えながら眠っちゃうと次の日も悲しい気持ちになりそうじゃない? もちろん、ひとり反省会もよくするし、時には朝起きたら笑っちゃうほど目がぱんぱんに腫れあがり“すんごくブルーなんだけど!”と、思う日もなくはない。
目覚めたとき、カーテンの隙間から光が差し込んでいるのをベッドの上で感じ、それがとても心地よくて、今日は何が起こるんだろうってわくわくする。洗濯物を干した日に雨が降ってくると本当についてないなとちょっぴりブルーな気持ちになる。公園で遊んでる子どもたちが手を振ってくれたりするときゅんきゅんする。
ずっとずっとハッピーは続かないし、ずっとずっとブルーな日も続かない。毎日の生活はちょっとのハッピーとちょっとのブルーでできてると思っている。
わたしが小学生くらいの頃に「小さなことでも嬉しいな、幸せだなっていっぱい感じるんだよ。相手にしてもらって自分が嬉しいって思ったことは他の人にもしてあげる。独り占めとおこんじょはダメよ。」と、お庭の手入れをしながら祖母がよく言っていた。“ちいさなしあわせ”をみつけるのは決して上手くないんだけど、きっとこうゆんが毎日の生活の中でのちょっとあると幸せなんだろうな、と思える心が穏やかになる作品をご紹介致します。
しりとりってみんなが遊べるけど
大人になるともっともっとおもしろい
益田ミリ「しあわせしりとり」
株式会社ミシマ社 / ¥1,620
毎日の生活の中で些細なことに目を向ける
雲のうえの存在でも同じように「くそして生活はつづく」
星野源「そして生活はつづく」
文春文庫 / ¥626
わたしが知ったのは3年前くらいだった。それまでも音楽はもちろん、ラジオをしていることも演劇をしていたことも知ってはいた。けど、そのレベル。すごく失礼な話なんだけど、わたしの中では“知ってはいるけれど、さほど興味がない。”の分類に属していた。
こんな生活をしている人間が星野源さんに親近感を抱くはずなんてない、と思うんだけど…
―そういった理由で、私はいつも携帯電話の料金を支払うことができないのである。
「そういうのを残念な人って言うんですよ、星野さん」
「残念な人?」
「外側はしっかりしているのに内側はダメな人のことです。仕事はキッチリやるのに、身の回りの生活が全然できないっていう残念な人」
―「そして生活はつづく」料金支払いについて―
手に取って読んで頂きたいので、深堀はしないのですが…この“料金支払いはつづく”がはじまりの物語。手に取ってすぐに読み始める物語が“料金支払い”ですよ? 大人になって、ひとり暮らしをしたことのある人はきっと経験したことがあるはず。そこにはじまりの扉を持ってくるなんて…共感からスタートしてしまうし、意外とこんな生活感もある人なんだな、と勝手に身近に感じてしまう。“星野源”という敷居がわたしの中で一気に低くなった話でもある。
いまだに読みながら「あ~、それわかるな。」と思わず独り言がもれたり、ふと笑ってしまったり。きっと誰もが経験をしたことがあるであろう日常生活が、星野源さんの目線で、自分のダメなところやつまらない生活もちょっと笑えてしまうような発想、思考で綴られていて、芸能人なんだけど、芸能人ではない。…ん~、同じ人間だ! 同じ人類なんだ! と、思える!(笑) 文字だと何度も読み返しができるし、他人の脳みその中身を覗き見できているような感覚になって何回も楽しめるのがいいですよね。面白いんですよ。文章。もちろん、文章だけではなく、ラジオもすごく面白くて。気が付いたら好きになっていて、毎週火曜日は欠かさずに聴いている。
…一気に読んでしまった。読めてしまった作品。
なんだか“何もないこの生活も悪くはない”と思えてしまう。“何気ない日常生活”の何気ないところをいかに自分の人生として置き換え、どうしたら面白くできるのか、を教えてくれる。そんな感じ。
今回、ご紹介をした2冊。益田ミリさんの「しあわせしりとり」はちいさなしあわせの見つけ方としての気づきとしてご紹介。星野源さんの「そして、生活はつづく」は何気ない日常生活も決して悪くはないなと今の自分も環境も楽しめる意識としてご紹介。
毎日をなんとなくだらだらと過ごしがちだけど(最近は梅雨にも入ったし、更にだよね)、意識をして毎日に目を向けてみると思わぬ発見に出会えるんじゃないのかな? って。だって、どうせ同じ時間を過ごすならわくわくして過ごしたいじゃない!(笑)
文章:おくはらしおり SNS:https://pomu.me/okuhara1990/
サムネイル:さの さくら SNS:Twitter @sacla07