「わたしだったら死ぬね」
レジ打ちのアルバイトをしていた時に先輩から投げかけられた言葉です。始業に遅刻し、営業中にレジの横でお絵描きをし、おもちゃのブロックで遊び、大きな段ボールに入って隠れていたらそのまま寝てしまって、帰る時にわたしを起こしてくれた先輩に苦笑まじりに言われた、忘れられない一言です。
「わたしがあなただったら恥ずかしくて生きていられない」「死んだほうがマシ」
寝起きのぼんやりした頭でそう言われたのだと理解し、笑って「ですよね!」と返しました。わたしは図々しいのです。
わたしはソロで地下アイドル活動をしてるのですが、まれにバンドセットでライブをすることがあります。そういう時は、ライブ前に楽器の人たちと集まり練習をするのですが、その練習に遅刻して終了時間の5分前に着いたことがありました。「そこまで遅れたら普通は来れないよ」と呆れ顔で言われ、「そうなんだ」と思いながら「ですよね!」と笑いました。どうやら、終わる寸前に行くのは一般的には間に合ったことにはならないらしく、それならお休みしたほうがマシのようです。毎月1日に更新されるはずのこのコラムも、今締め切りを29日過ぎて書いていますが、もしかしたらお休みしたほうがマシだったのかもしれません。
信じてもらえないと思うのですが、わたしはふざけたり、積極的にさぼろうと思ってこんな感じの人生になってるわけではありません。開き直ってるわけでも、無気力なわけでもありません。とくに遅刻には本当に気をつけていますので、家を出る予定時間の6時間前に起きて支度を始めます。地下アイドル活動においても生半可な覚悟ではなく、「わたしはどんな時もかわいく自信満々で輝いている責任がある!」とプロ意識を持って真剣に取り組んでいます。ただ、どういうわけか家を出る10分前にパンを温め始めたり、やる気でメラメラ燃えている時に、その場所がお布団の中だったりするのです。
どうしてわたしは死なないのだろう。いつも気持ちと行動がちぐはぐで迷惑をかけてばかりで、他の人がわたしだったら死んでしまうほど恥ずかしい人生なのに、わたしはへらへらと笑って生きています。真面目に生きてる人にたいして失礼なんじゃないかと申し訳なく思ったりもします。でも、なんかこんな感じの人生になっちゃってるのです。他の人はきっと遅刻もせず、お仕事中に自分だけブロックで遊んだり、やりたくない作業を頼まれても段ボールの中に隠れることなく頑張って生きているのだと思います。毎日を一生懸命生きるってどんなに大変だろう、と心の底から尊敬します。もしわたしが他の人と同じきちんとした生き方をしたらどうなってしまうのでしょう。温めすぎて硬くなったパンをかじりながらそんな想像をして、「わたしだったら死ぬね」と思いました。