こんにちは、今野亜美です。
先日、山に登りました。美味しいビールが飲みたくて。言わずもがな、いつでもビールは美味しいのですが。前回のコラムに書いた「野毛山動物園」での話。あれ以来、忘れられずにいたあのとき飲んだ一杯。きつくて仕方のなかった「野毛坂」を登ったからこそ出会えた極上の一杯。あれこそ、私の究極のメニュー。そして、思いました。「次は山だ」と。
向かったのは「高尾山」。照り付ける太陽。永遠と続く過酷な山道と階段。……後悔。「一杯」を飲むための道のりとして、あまりに過酷。朦朧とする意識。片道2時間弱。日が沈みだす頃、到着した山の頂。美しい景色を見渡す。ところでここは私のゴールではない。掴みたい、あの黄金色の輝き。オンリーワンのゴールがある。充分すぎる疲労感。当初の予定は「徒歩にて登って下って酒場へ向かう」。躊躇いなく変更。「ロープウェイ」にて山を下る。2時間弱の道のりが約6分に。ロープウェイってすごい。向かったのは「高尾駅」。調べておいた良さげなお店、駅前すぐの「あさかわ食堂」へ。
厨房を囲むようにして置かれたカウンターに、テーブルと小上がりの席。「いらっしゃい」。ママさんの柔和な笑顔に癒される。シンプルな店構えの中に感じる温かな空気。で、早速「生、ひとつ!」。念願。すべてはこの瞬間のために。カラカラの喉で、いざ「いただきます」。美味しいを超えて……もはやヤバい。
とり皮、とりモモ、ハツの串3本にポテトサラダを注文。美味しい。続々とやって来る常連さん。「山行ってきたの? すごいね、暑かったでしょ?」。そんな話になる。「本当に心折れそうでしたよ〜」と言えば、隣の常連さん「俺も毎日心折れてるよ、仕事でね」。そして、ゴクリと一杯グラスを煽り、「だからこそ、酒がウマイのっ」。幸せそうな顔。いつでもお酒は美味しい。でも疲れた時はより美味しい。いろいろな意味での「山登り」。それが「極上の一杯」の隠し味なのかもしれない。
今野亜美
2014年、アイドルグループ『清 竜人25』のメンバー「清 亜美」として活動開始。
2017年6月、幕張メッセイベントホールで行なわれた『ラスト♡コンサート』をもってグループは解散。
同年6月19日、「今野亜美(いまのあみ)」としてソロ活動を開始。
大のお酒好きで、アイドル時代から発信している1,000円で居酒屋を旅するブログが話題になっている。