こんにちは、今野亜美です。
実はもうすぐ誕生日。かつては嬉しかったはずの『誕生日』。気がつけば複雑でしかない『誕生日』。歳をとる。目指すは“老い”ではなく“進化”。と、言いつつ、周りはプチ結婚ラッシュ。だんだん落ち着く同世代に心がザワつく今日この頃。
先日、久しぶりに有楽町へ。「良いお店があるよ」と教えていただき、向かったのは居酒屋『日の基』さん。ガード下、昭和レトロな空気漂う良い雰囲気のお店。開店間もないが、店内にはすでに多くのサラリーマンのおじちゃんたち。黒ホッピーとモツ煮込みを頼む。
「女性でホッピー、珍しいねぇ!」。突然声をかけてきたのは、隣のおじちゃん二人組。仕事帰り、上司と部下の関係。二人で飲みに来て仕事の反省会をしているというが、そうは見えない仲の良さ。仕事論。愚痴。おじちゃんたちの熱いトークバトルを聞く。
一瞬の沈黙。上司のおじちゃんが呟く。「そういえば、夢があるんだよね」。なんの脈絡もない、突然の告白。「いやいや、もうないでしょ! 人生もう終わってるんだから!」。部下のおじちゃん、笑ってツッコむが、上司のおじちゃんは真面目な顔。「どんな夢ですか?」。聞いてみると、返ってきたのは「ピアノが弾きたい」という意外すぎるもの。「今やらないんですか?」。聞けば「今は違う」と返される。「むかしテレビであるおじいちゃんがピアノを弾いていてね」、おじちゃんは語る。「その人は60過ぎて定年後からピアノを始めた人なんだけど、その姿がかっこよくて。だから俺も60過ぎたら始めるって決めてるの」
日本酒片手に呂律は曖昧だが、語るのは、迷いのない真剣な夢。からかわれようと関係なく、自分の夢を語るおじちゃん。そして、年齢関係なくやりたいことを始め、その姿で人に夢を与えたおじいちゃん。どちらも素敵だ。もうすぐ、ひとつ年齢を重ねる。これから周りはさらに落ち着いていくだろう。それでも、夢を持つことを恐れずにありたい、と思った。