2016年は同世代や後輩、そして異ジャンルとの2マンライブや、事務所(PS COMPANY)主催の全国ツアーにZEAL LINK主催の全国ツアー、そして7月中旬から都内での4週末に渡っての主催ワンマン「週末ヒーローズ」に、今年初の名古屋と大阪での「週末ヒーローズ出張編」開催など、活発的なライブ活動を繰り広げているVo.景夕、Gt.タイゾ、Ba.結良、Dr.靖乃の4人組バンド"Kra"が、15周年を迎える9月に渾身のミニ・アルバムを2枚同時リリースする。
"宇宙トラベラー"と題して『CORE盤』と『CELL盤』の2つのコンセプトに分けた今作品の拘りや聴きどころなどを中心に深く掘り下げて聞いてみた。これを読んで再びKraワールドに浸ってみると、また別の世界が見えるかも!?
[interview:河西香織(新宿LOFT)]
この1年で変わったこと
——昨年の9月にRooftopのインタビューをさせて頂いた時に、いろいろと新しいことに組み込んでいきたいとのお話が出ていて、2016年は事務所(PS COMPANY)主催のツアーやZEAL LINKツアー、そして今年も開催したKra主催の「週末ヒーローズ」と活発な活動を行ってきてますが、この約1年の間でここが変わったという点はありますか?
靖乃:個人的には、去年、今年と今までのKraの流れの中から考えると、11月15日にユナイトとやらせてもらうのもそうなんですけど、2マン・ライブが増えてる気がしますね。今年の前半はずっとイベント・ライブで全国を回っていて、もちろんそれはそれで自分たちにとって、ちょっとでもキャッチしてくれる層を広げるために大事な活動ではあるんだけど、どうしても演奏時間がある程度ないと、Kraっていうバンドを理解したなっていうことに繋がるまでにはだいぶ時間が掛かるだろうなっていう部分とかも含め、ちょっと懸念事項に近いかなっていうのがあったりもして。すごく魅せることが出来るバンドが周りに何組かいる中で、そういうバンドたちと2マンや3マンで、より各々の世界を魅せつけられるっていう形のイベントを共有して一緒に作り上げる機会が増やせてるのは、Kraっていうバンドにとってはすごいプラスだなって思ったりはしますね。
——今まではそんなに2マンをやってないんですか?
靖乃:そんなに2マン・ライブがいっぱいあったかな? っていう感じが自分の中では残ってて(笑)。2バンドだと8人や9人で、2月にLOFTでやった時のMSI(Mix Speaker’s,Inc.)との2マンだと合わせて10人とかの集いになるから、単純に相手のバンドと話も増えるし、仲良くなれるんです。すごい近くに感じられるようになるなっていう部分も含めて、その中で、絶対的に面白いものに繋げていけるなっていう充実感も含めて、Kraっていうバンドにとっても、自分自身にとっても、すごいプラスに作用してるなって感じてます。
——結良さんはどうですか?
結良:ツアーに回ったりして変わったことは…、まだ分からないですね。
——まだ足りない感じですか?
結良:いや、来年また同じようにツアーを回ってる時に、今回のツアーの成果が分かるんじゃないかなって。それか、次の(9月17日からの)ワンマン・ツアーの時に分かるんじゃないかなって思いますね。まだ結果が出る間ではないと思ってるから。何が変わったかって言ったら、体力の衰えが激しいんで、ちゃんと筋トレしなきゃなって思うようにはなりました。ちゃんと鍛えとかなきゃ、単純に保たないなって。この間、誕生日を迎えてまた1つ歳を重ねて、やっぱりその都度衰えていくから、その分やっとかなきゃダメだなっていうのは、今回のたくさんのライブを回ってる中では思いましたね。ツアーの後半くらいで、僕、結構ライブ中にこけることが多くなっちゃって。
——足に疲れがきたりとかですか?
結良:足にきてるのか、体調不良の時もあったんですけど。その辺が普段から筋トレをしておけば、もうちょっと予防できたことなのかなとは思ったので。気付いたところは今のところそんな感じですかね。
——これからは毎日走り込んだり?
結良:走るのはちょっと。体力の方は大丈夫なんですけど、瞬間的な筋力の方が圧倒的に衰えるんで、そこはちょっとやってかないときついなって。ベース重いし(笑)。
——確かに(笑)。ではタイゾさんは?
タイゾ:個人的にはそんなに変わってない気はするんですけど…。何だろうな?
——例えば、2マンが増えて、より相手のバンドと話す機会が増えたという話がありましたが、前まではあんまり話せなかったけど、グイグイいけるようになったとかは?
タイゾ:グイグイは俺、性格的にいけないんで(笑)。ただ、MSIさんと2マンをやった時は、seekさん(Ba)やAYAさん(Gt)が話しかけてくれたので、人見知りな私としてはすごい助かりましたね。
——Chantyさんはどうだったんですか?
タイゾ:最初の2マンは全然しゃべらなかったんですけど。あっ、打ち上げではちょっと話したんですけどね。EDGEで最初に「人見知らない」っていうChanty主催の2マンをやらしてもらった時の楽屋とかは全然しゃべらなくて。
——EDGEって楽屋は1つですよね?
タイゾ:1つですね(笑)。ギターの千歳くんとちょろっとしゃべるくらいだったんですけど、そこから結構、全体的に仲良くなれたんで、何回かやらないと無理ですね、俺は。1回じゃやっぱり対バンって時点で、俺個人としては壁を作ってしまってるんで。
——ライバルって感じですか?
タイゾ:一応、対決なんで。馴れ合いって言うか、仲良しこよしの空気はあんまり好きじゃないんで。だからと言って別にピリついてる訳ではないんですけど、一線は置いておかなきゃいけないなっていうのが、昔からあって。でも2マンとかやらしてもらって、仲良くなれて嬉しかったですね、本当に。いっぱいバンドがいる対バンだと、なかなかね。
——みんなバタバタでなかなか話す機会とかないですもんね。
タイゾ:そうなんですよ。意外とみんなチェキを撮ってたりとか、本番前は忙しそうだなって。仲いい人は増えたってとこですかね。あんまりライブは関係ないですけど(笑)。
——では景夕さんは?
景夕:ライブのステージングとかは、多分変わってはいないと思うんですけど、(お客さんから見たら)ちょいちょいは変わってるとは思うんですよ。でも自分で気付けるほどではないので。ツアー中、特にZEAL LINKツアーとか、いろんな人のライブに乱入することが多くなったなって。前は、事前打ち合わせで「この曲の時に出てきて下さい」とか、もちろんそういうのもあったんですけど、それ以外でも俺が聞いてなくて、「この時に出るって言ってたんですよ。一緒に行きましょうよ」って言われたら、「あっ、じゃあ行こうかな」とか。そういう風なのが増えましたね、今回の事務所のツアーとZEAL LINKツアーで。
——皆さん、かなり仲良くなったんですね。
景夕:ずっと一緒に回ってるバンドが何バンドかいたので、そのバンドは結構絡みが多かったんですよ。「あっ、俺はこうやって友達を作ればいいんだ」って分かったんで(笑)。俺ももちろんタイゾみたいに、ちょっとした壁はあるんですけど、それよりももっとその人たちを自分の中に取り込みたいって言うか。そこで「この人はこういう人だから、じゃあ俺はこういうことをしてやろう」とか、そういう楽しみが増えるようになったかもしれないですね。
——そういうのって、きっとライブにも出てるんじゃないですか?
景夕:出てるんですかね?
タイゾ:最近、あんまり人見知りに見えないんですよね(笑)。「あれ?」って思って。
一同:(笑)
景夕:なるべくしゃべって、いろんな情報をもらって。その方が楽しいし。精一杯しゃべってるんですよ、こっちは。何とか向こうが気を遣わないように、人見知ってる感じをそんなに出さずに。だから頭フル回転で疲れるは疲れるんですけど、一回仲良くなっちゃえばいいなって思って。でも基本的に、一番最初のきっかけは向こうから話かけてもらわないとしゃべれない。
タイゾ:そうだよね。
景夕:ねっ。だからそれを考えるとのってぃ(靖乃)って(笑)。同じパートのドラム同士だったら、機材の話とかからポンポン入れるし、「あそこのところ、ああいう風にやってるんやね」みたいに行くから、こいつは本当にすげーなって思う。
靖乃:“ザ・人見知らない”やからね(笑)。
景夕:一回でいいからのってぃが人見知りを発揮して(笑)、しゃべれない人っていうのを見てみたいですね。
——いるんですか?
靖乃:なんかね、ある程度のところまではいくけど、ここから先は入ってこないで欲しいって言う人には、無理矢理は入って行かへんから。俺も距離を置いてる人って言うかさ。「わーい」って行って、わちゃわちゃってする人と、「あっ、どうも」っていう距離間でおる人っていうのはやっぱりいてるけど。それでも他の人よりは、「わっ」って入っていくのは早い方かなとは思うけど。
——初めましてで、自分からいけるってことですか?
靖乃:そう。「俺はこんな感じやけど、どう?」って言うか(笑)、全部開けていくけどっていう感じかな。それで「あっ、そういうのは別に欲しくないんで」みたいな感じの人は、「あっ、じゃあまた」っていう感じはあるけど。いろいろ話のネタはいっぱいあるんで、共通の会話があったらしゃべれる方が面白いかなって思うし。
——景夕さんはその面白みを知ったってことですか?
景夕:うん、まぁ。
靖乃:景夕も最近ね、そういうのが多い気がするかな。共通の話題とかも、今までやと、景夕が持ってるものに共通項を持ってる人は別に来てもいいよっていう(笑)、「入国を許そう」みたいな感じがちょっとあったのが、相手のテリトリーにあるものにも自分自身から興味を示したりとかっていうことが、単純に増えたような気がしますね。
景夕:分からなかったら聞けばいいんだって。「それって何なんですか?」って。
——大人になりましたね(笑)。
景夕:大人になった(笑)、やっと。
一同:(笑)