マンガ、エッセイ、装丁、切り絵、路上観察など多彩な分野で活躍する久住昌之。彼のもう1つの顔「ミュージシャンQusumi」の待ちに待ったニューアルバムが届いた！ 前作『自由の筈』（名盤!!）から4年以上たっているが、ライブは頻繁に行っており、そのためか1曲1曲じっくりと時間をかけて作られている感じだ。この熟成感が長い間寝かせたお酒のように曲に深みを与えていて、久住作品の持ち味である「ホーム感」をより引き立たせている。このホーム感とは「中学生日記」のような思春期の（恥ずかしい？）記憶の場合もあるし、なじみのラーメン屋さんの味でもあるし、あるいは遠い海の向こうのボブ・ディランやニール・ヤングのメロディーでもある。前作は「自由」がテーマだったが、今作は1曲目で歌われているような「表現行為」（ボクにしか引けない線！）がとりわけ印象に残った。今年53歳である久住さんがこれからもずっと表現を続けていく上での大切な1作がこのアルバムなのだと思う。（加藤梅造）

関連リンク

• オフィシャルサイト

​