鬼才・川口潤監督によるブッチャーズのドキュメンタリー映画が早くもDVD化された。『NO ALBUM 無題』を発表した2010年のバンドの姿(メンバー間の軋轢や金銭問題を含む)を淡々とありのままに捉えた映画本編の素晴らしさはこれまで本誌で何度も伝えた通りだが、ブッチャーズの熱心なリスナーのみならず、バンドという奇跡の集合体を愛するすべての人に見て欲しい作品である。ブッチャーズという特定のバンドの映画でありながら、ステージに立つ演者にもオーディエンスにも心当たりがあるだろう"それでもバンドを続けることの意義"という普遍的なテーマを軸に据えているからだ。秘蔵ライブ映像、インタビューのアウトテイク、「日本列島縦断kocorono旅2010」と題された映像特典も大盤振る舞いだし、初回封入特典の結成初期のロゴ布バッチ、過去のフライヤーを満載したB3変型ポスターも嬉しい。僕はこの先、このDVDを何度も見返して自分の足元がブレていないか確認をし続けるだろう。(椎名宗之)
bloodthirsty butchers / kocorono
2011.07.08 MUSIC | DVD