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トップレビューポッグカウチナゲット / 妄言と連日

ポッグカウチナゲット / 妄言と連日

2010.06.01   MUSIC | CD

ABR-1104 1,000yen (tax in) / IN STORES NOW

複雑なギターフレーズがぐるぐる絡み合い、キメを多用した楽曲構成で意表を突く。少年のように澄んだ声のヴォーカルは、時に力強く、時に拙く、時にノドから血が出るかのごときハイトーンボイスで、行き場のない激情を歌いあげる。ポッグカウチナゲットという奇妙な名前のバンドが歌った、奇妙な5曲+αを収録したミニアルバム。

 サウンドはいわゆるポストロックの影響下にあるのだが、このジャンルにありがちな敷居の高さはなく、むしろその生々しい歌詞とメロディーが紡ぎ出す世界は、自然とリスナーの心に寄り添ってくる。四面楚歌で袋小路でどうにもならないんだけど、それでもどうにかしようと奥歯を噛み締めて足掻き、もがく様を綴った歌詞は、単純な「前向き/後ろ向き」の二元論なんかより数百倍的確に、鉄筋コンクリートの中を生きる若者の心象風景を描き出している。そもそも30年以上前にユーミンが走った中央フリーウェイなんて、今となってはただの高速道路な訳で、そこには恋も希望も落ちちゃいない。もの凄い誤解を恐れずに言うならば、むしろ今、この時代の、この都市のリアルを歌う彼らのあり様こそが、現在進行形の“シティポップス”なのである。(前川誠)
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