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keme / 永遠の旅

2010.02.01   MUSIC | CD

BQGS-21 2,300yen (tax in) / 3.03 IN STORES

 先日、ボルテイジレコードのサミー前田氏からこのCDを渡されたのだが、まずはこのジャケットにグッときてしまった。女性の顔がアップになった粗い粒子のモノクロ写真は70年代のエレックレコードの作品を思わせるが、中ジャケットのハーモニカホルダーを付けてギターを弾いている姿などは、まさにエレック在籍時の若き吉田拓郎の佇まいだ。まさかこのkemeというアーティストがキノコホテルのギタリスト・イザベル=ケメ鴨川と同一人物だとは言われなければわからないだろう。期待して音の方を聴くと、まずはバンドサウンドで聴かせる1曲目の『7分間のキス』にぶっとぶ。ハスキーボイスで歌い上げるkemeの力強い歌は、あのカルメンマキをも彷彿とさせる。2曲目は一転してしっとりとした弾き語り。ギター1本で歌われるkemeのざらついた歌声がより胸に迫ってくる。フェイバリットだったのはこれもまた弾き語りで歌われる『餌付け』。暗い部屋で一人、深夜ラジオを聴いているかのように、kemeの歌が孤独な世界を包んでいく。過剰に装飾された音楽とは違った、歌の持つシンプルな強さを存分に味わうことができる良盤だ。(加藤梅造)

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