その正体は「毒」
新しく生まれてくる文化には「毒」がある。それは、批評であり、権威への懐疑であり、なによりも新しい表現のことだ。読者はここに提示される「毒」の豊かさに驚くに違いない。「反復と変奏の時代」に気鋭の劇作家・宮沢章夫が語る、画期的サブカルチャー論! とある。名コピーである。ふっと本屋で手に取った。いわゆるサブカル、80年代の逆襲なのだ。そうなると80年代の日本のサブカルチャーを切り開いてきたトークライブハウス「ロフトプラスワン」と極めて同調する。
サブカルは死んだのか? 勿論、宮沢さんはロフトには何度も出演していただいている。帯に「気鋭の劇作家がサブカルチャーの命脈をひも解く」とあるが考えてみれば宮沢章夫ってすごい。この本は戦後70年を10年ごとに区切り、映画・音楽・漫画などジャンルを横断しながら読み解いていく。巻末には「サブカルチャー詳細年表」を収載。サブカルの歴史無くして日本の文化は語れないと思う。(平野悠)