孤高のパンクロッカーの生き様
ザ・スターリンの中心人物としてその名を轟かせた遠藤ミチロウは1982年にメジャーデビューし、ザ・スターリン解散後はソロ活動し、昨年膵臓がんであることが判明し、闘病を続けていたが、今年4月に死去した。
ほぼデビュー時代から付き合っているので、『ユリイカ』から原稿依頼を受けて当時のライブハウスでの様子を書いたが、うまく書けた自信はない。ミチロウは東京ロッカーズなどが80年代初頭に巻き起こしたパンクムーブメントから少し遅れてやってきた。正統派パンクより過激でスキャンダラスなハードコアパンクとして。じゃがたらや非常階段とちょっと距離を置いた感じだったが過激に登場した。この時代、私はハードコアパンクに恐怖を感じていた。お客さんは音楽よりも、怖いもの見たさで混乱や暴力を期待していて、ついに私は「ロフトハードコア演奏禁止令」を出した(詳しくは本書を)。
あれからミチロウはギター一本で歌うようになり、その歌心は何度聞いても感動的だった。孤高のパンクロッカーの生き様を網羅した優れた追悼本。(平野悠)