ロフトブックスの奇才編集者・鬼頭が仕掛けるドマイナーな招待状だ。とても私が読める本ではないと長いことページを開く気がしなかった。それが音楽諸氏から絶賛される一冊(400P以上のボリューム)に。こんなドマイナーの長ったらしい本、売れないに決まっていると思っていたのだけれど、これがまあ売れ始め、あまりにも評判がいいので焦って読んだ。当時(今から40年前か)のパンクの盛り上がりを知っている人は、この裏面史に仰天するに違いない。その昔吉祥寺にマイナーカフェというお客さんが入りそうにない、名も知れない実験音楽の店があった。我々ライブハウス業界はほとんど注目しなかった。でも内実は素晴らしい事をやっていたわけだ。この店の伝説の数々をそれぞれの体験者、例えば鳥井賀句、白石民夫、工藤冬里、山崎春美等が語っている。…おっと、書評になっていない。すみません。とにかく日本のロック、パンクの裏面史を理解したい人には絶対の本なのだ。(平野悠)