ミュージシャン寺尾紗穂は、2006年にデビューして以来、シンガーソングライターとして高い評価を受けながら、独特のポジションで活動してきた。先日発表した7作目のアルバム『楕円の夢』はキャリアの1つの到達点となる作品と絶賛され、路上生活者のダンスグループ「ソケリッサ!」とのライブツアーも大きな話題となっている。一方、彼女は音楽活動と並行して執筆活動も行っているのだが、ここ数年フィールドワークのように取り組んでいた原発労働者への取材が1冊の本として発売された。福島原発事故後、彼女の代表曲の1つであり、被曝労働者のことを歌った「私は知らない」が広く知られるようになったが、もともとこの曲は福島の事故前に樋口健二著の『闇に消される原発被曝者』に衝撃を受けて書いた曲だ。本書もまた樋口健二の仕事を自分なりに受け継ぐ形で執筆に至ったとのことだ。今まで隠され続けてきた被曝労働者の実態に迫る力作だ。(加藤梅造)
















