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トップレビュー花火 / 又吉直樹

花火 / 又吉直樹

2015.04.01   CULTURE | BOOK

文藝春秋 / 1,296yen

 本書は「文學界」を史上初の大増刷(36万部)に導いた話題作なんだそうだ。今や撃沈間近な日本の純文学界で「第二の太宰治」とまで言われているらしい。果たして日本の文学史上救世主が現れたのか? そもそもサブカル人間の私は36万部も売れている単行本を買う趣味はあまりないのだが、又吉さんはロフト系列店のトークライブに何回も出演しており、更には彼がホストを務めるEテレ「オイコノミア」という番組に私も呼ばれてご一緒した事があるのもあって、なんとなく身近に感じられる人なのだ。150ページという中編小説で一気に読み終えるほどテンポは速く、どこか明るく、テーマは漫才界の売れない芸人の対人関係の日々がそれなりに濃く切実に迫ってくる。「この本は純文学」と言えるほどの出来かどうか、太宰治と比較するにはちょっと違和感がある。だが不思議と読み終わった後に爽快感を感じるのは、おそらく著者の「伝えたいこと」が今の若者達にちゃんと伝わっているからなんだろうなと思った。(平野悠)

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