洋泉社 / 1,050yen
毎年この時期になると発表される『映画秘宝』のベスト＆トホホ、各月の中でこのランキングの掲載される号は格段の売れ行きを見せるようだ。ベストはもちろん、単なる「ワースト」ではなく「期待したけれどもがっかりだった」を意味する「トホホ」という枠組みは実にユニークである。ネットニュースに2013年度総合のランキングが掲載され「俺の大好きな映画がこんなランキングだなんて！」などと立腹する人々も多いようだが、むしろ集計結果よりも選者個人個人のランキングをつぶさに見ていくのが楽しい。選者１人１人のベスト＆トホホは多種多様、「こんな映画があったのか！」「これはノーチェックだった」と、ランキング発表後は見ていなかった作品のチェックに忙殺されるのが常だ。まだまだ映画の世界の裾野は広い。毎年そう思わせるランキングである。（多田遠志）
