▲写真左より和嶋慎治、鈴木研一、ナカジマノブ
人間椅子が表紙巻頭を飾った『ヘドバン Premium Vol.2』の発売記念トーク・イベントが、1月23日(木)LOFT9 Shibuyaにて開催された。今回のテーマは同誌に掲載された「100の質問」の回答を、3人であれこれ徹底深掘りしていこうというもの。司会はヘドバンの梅沢編集長が担当。3人が話し始めると〈音楽話は全く抜き〉状態で抱腹絶倒のやりとりが始まり、最初の質問で予定時間の半分近くを使ってしまったため100問は無理な状態に。今回はその中からエピソード満載の盛り上がりを見せたQ&Aをいくつかセレクトしてレポート。
Q:好きだったアイドル
和嶋:大学に入った頃に番組『夕やけニャンニャン』が始まり、初期は国生さゆりさんとか渡辺美奈代さんとかの王道メンバーじゃない人がよかったので、今回選んだのはおニャン子クラブの初期メンバーの福永恵規さん(1曲シングルを出したけどあまりヒットせず)、永田ルリ子さん(シングルは出していないが文字が可愛いので彼女のフォント『ルリール』が流行った)、あと生稲晃子さん(水着写真掲載のアイドル雑誌別冊も購入)。昨年出した自選詩集『無情のスキャット』のトークイベントの際に漁った古い資料の中から、なぜか生稲さんの当時の住所が書いてあったステッカーを発見、なぜ書かれたのかは謎で、ちょうど生稲さんが外務政務官になられたので、“しっかりやってくださいね”ってお祝いの電話をしようかと思った(笑)。
鈴木:和嶋君が一番熱量があったのは熊田曜子さんだと思うんだけど。
和嶋:それ20年くらい前の話、写真集もDVDも買いましたよ。
ノブ:俺が人間椅子に入った時(2004年)、熊田曜子さん一直線だったもの。
和嶋:だからアイドルは30代まで引っ張ってましたね。
梅沢:鈴木さんのアイドルは岡田有希子、石井めぐみ、三浦理恵子。石井めぐみさんだけちょっと古いですね。
鈴木:テレビドラマ『噂の刑事トミーとマツ』(1979年)の婦人警官役。本当に暇つぶしに見るような刑事もの、今だったら絶対放送NGみたいな内容で(ナヨナヨした国広富之が、“お前なんか、お◯こお◯なのトミコだ!”と言われると急に力が湧いてきて犯人を逮捕する設定)、そこに出てくる婦人警官がなんか地味で清楚な感じが可愛くて。
梅沢:三浦理恵子さんは。
鈴木:レッド・ウォーリアーズのダイヤモンド☆ユカイさんと結婚して、僕はファンをやめた。
和嶋:正統的なやめ方ですね。グループでしたよね、CoCoのメンバーでしたっけ? レコーディングの時に会ったのは?
鈴木:それは永作博美さんがいたribbon。三人組なのに会った時は一人いなかったので、その子のサインはマネージャーが書いてた。
和嶋:でも同じレコーディング・スタジオにアイドルがいて、とりあえず感動しましたよね。
鈴木:ローリング・ストーンズとかビートルズとか、好きなバンドのLPって全部持っていそうでちょっと欠けてたりするでしょ、僕は岡田有希子さんのLPは全部持ってます。
全員:へぇ~~~。
梅沢:そこまで好きだったんですね。
鈴木:いや、そうでもないんだけど(笑)。
和嶋:鈴木君はロックのレコードもいっぱい持ってたけど、アイドルのレコードもいっぱい持ってた、聴かせてもらいに行ったもん。俺、おニャン子クラブが好きって言っても全然レコード持ってなかった。
鈴木:おニャン子クラブのジャケットのひどいところは、全員が同時に揃うことがないから、集合写真に明らかに別に何人か撮ったものをくっつけて。
和嶋:ゆうゆ(岩井由紀子)がそうでしたよね。アルバム・ジャケットなのにそのコラージュの比率とかがすごく変で、ひとしきり笑えたのを思い出しました。
鈴木:和嶋君はうちに来てひとしきり突っ込んで帰っていくんだよね、この扇風機の箱の文字が間違っている──とか。言われて初めて気がついた。文字に関してすごく拘りがあって、文字に何かあると突っ込むよね。〈葬儀屋の謳い文句がすごい変だ〉ってレコーディング最中、ずっと言ってたよね。
和嶋:〈星空のざわめき~〉じゃ浮かばれないでしょ。
梅沢:じゃあ、次はノブさん。
ノブ:僕のはいいんじゃないですか。
梅沢:せっかくだから、河合奈保子さん。(写真を投影)
全員:あ~いいですね~、昭和のアイドル。
鈴木:高い声が出て、すごく歌が上手い。
和嶋:上手い方ですよ。マンドリン・クラブだった。
鈴木:さすが詳しい。
梅沢:同じ系列で柏原芳恵さん。
全員:いいですね~。
梅沢:この辺の共通項は水着だし巨乳で。
ノブ:この二人だけで共通項って、僕ももう一人書いてるじゃないですか、田中好子さん。僕はお三方ともレコードとかは知らないんですけど。共通項は……ぽっちゃりしてる……僕はぽっちゃりしてる方、大好きなんで。
和嶋:キャンディーズの中ではぽっちゃり。(藤村)美樹ちゃんはスレンダー。
鈴木:僕、美樹ちゃん派。
ノブ:じゃあ(伊藤)蘭ちゃんですか?
和嶋:まぁ……そうかなぁ……でもこれが大人になるとちょっと変わるんですよ。小学生の頃はピンクレディのミーちゃんが健康的で好きだったのが、おじさんになると断然ケイちゃんなんですよ。これなんでだろう。
鈴木:自分もそう。
和嶋:当時も大人の人はケイちゃん好きだった。
ノブ:こういった話になると二人(和嶋、鈴木)からすごい熱量を感じるんです。僕はそこまでではないんです、他の人もそんなに知らないし。その頃はアイドルというよりアニメのほうが好きで。アニメの女性じゃなくてアニメが好きだった。『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』とか。みんなが学校でアイドルの話をしてる時、僕は家でセル画を描いてましたから。
全員:へぇ~。
ノブ:だからアイドルって言われて思い浮かぶのは数人しかいなくて、紐解くとこういう方々で。で、これは昔から〈アイドルとか手の届かない人たちより同級生のほうが絶対可愛い〉ってずっと言ってました。
和嶋:たしかに、その通りですけど、それを言うと身も蓋もないというか。アイドルを好きな人はそこにイメージを持つのも楽しいんです。
ノブ:分かります、分かります。僕はその頃、たまたま先にアニメを好きになったんで、そちらを掘り下げてしまった。
鈴木:人間椅子初代ドラマーの外崎力君もアニメが好きだった。「鉄格子黙示録」とか全然違うドラムパターンだった。
和嶋:ドラムやる人はアニメが好きでリアリスト。
鈴木:覚えて、います~か~♫ 飯島真理「愛・おぼえていますか」。こんなにいい曲が世の中さあるんだべか……って思ってたさ。
ノブ:そういう意味では、僕は歌ってる声優さん、例えば潘恵子さん、堀江美都子さんとかすっごい好きだった。ちょっとした握手会とか行ったことありますよ。
和嶋:そっちに行ったんですね。
ノブ:だから完全にオタクのほうだったんですよ。
梅沢:お二人はアニメは?
和嶋:全然興味ないですね。ちょうど『ガンダム』が流行った頃だったけど。
鈴木:『ガンダム』も『エヴァンゲリオン』も全部一緒に見えるもの。
和嶋:その頃からロック、洋楽に興味が行ったから。
鈴木:『ジャイアント・ロボ』は好きだったけどね。
最初の質問で40分くらいを費やして、「これだと10問くらいで終わりそうです」と梅沢編集長。続く「好きな男優」「好きな女優」の質問が終わった段階でノブさんは「今日、この会やってよかったですね、二人の知らないところすごく知れて」と一言。この後、下記の質問が挙げられた。
Q:好きな歌謡曲/Q:好きなドラマ/Q:好きな食べ物/Q:好きなラーメン/Q:最近感動したことは/Q:初恋は何歳
この後の流れの中で異様な盛り上がりを見せたのが、下記の質問。
Q:生まれ変わったら男と女どっちがいい?
梅沢:鈴木さんだけ「女」なんですよ。
鈴木:絶対「女」がいい。
ノブ:俺も「女」って書いてる。
梅沢:本当だ、ノブさんはどんな理由があって?
ノブ:単純に。できれば可愛い子ちゃんがいいんですけど、あらゆる人に甘えまくりたい、可愛い子ちゃんとしてちやほやされたい。で、手玉に取りたいですね男を。
和嶋:男からしたら最悪なことかも。
梅沢:鈴木さんはなぜ?
鈴木:女の人に生まれたら城田優(好きな男優)と付き合うことができる。
和嶋:それは思いつきで言ってる?
鈴木:城田優と付き合って尽くしてみたい。
ノブ:尽くす女性になりそうだものね。
鈴木:そっちがいいですね。
ノブ:料理とかも上手いし。オダギリジョー(好きな男優)は?
鈴木:にも尽くしたい。
ノブ:今、すごくいい顔した、女性を感じた。
梅沢:鈴木さんが城田優にそこまでとは。
鈴木:カッコいいじゃないですか、歌も上手いし、色白いし、背高いし、肩幅広いし、いいとこずくめ。
和嶋:(鈴木さんを指差しながら)色白いし、背高いし、肩幅広いし。
鈴木:いや、こういうんじゃなくて、一般的なああいう人に生まれたかったな。
和嶋:僕は「男」なんですね、即答ですけど、次も次も次も男でいたいかな。別に差別してるつもりはないんですけど、自分で何か表現したい、行動したいって気持ちがあるから。もちろん女性だって作家、漫画家とかたくさんいらっしゃいますけど、男ならではの力強い表現というか、決断とかそういうものをするためには男じゃなければできない、男性的表現をしたいということですかね。(鈴木さんに)女性に生まれ変わりたいと聞いてびっくりしたんですよ、それは考えたこともない。
ノブ:意外と即答でしたね。
鈴木:(和嶋さんに)なんだったら付き合いますか?
梅沢:ぎゃはははは(場内ざわめく)。
和嶋:来世でお願いしますよ。
鈴木:料理、洗濯、掃除、全部やりますよ。
和嶋:ただ、俺、来世でオダギリジョーさんみたいに生まれるかどうかは保証ないです。
鈴木:最低でも、自分より背は高く生まれて欲しいですね。
和嶋:じゃあ来世は男(和嶋)、女(鈴木)、女(ノブ)で生まれてくるということで。で、可愛い子ちゃんちゃん(ノブ)に翻弄されるわけでしょ(笑)。
鈴木:三角関係だ。
和嶋:翻弄されて、俺は騙されてんのかな……と思いながら、鈴木君のところに帰っていくわけですよ。やっぱりそんなことはするもんじゃないな、俺は間違ってたって。
鈴木:相手が和嶋君だと思うとイマジネーションが広がらない、やっぱり城田優くらいじゃないと。
和嶋:多分、すれ違うかな。
鈴木:出会うことがないな。
和嶋:いや、出会ったとしても、この人じゃない! って思う。
鈴木:お互いにね。
和嶋:俺は「(鈴木)研子を幸せにしてやれない、彼女の望む男ではない」と思う。
ノブ:俺、今、息ができないくらい笑った。
和嶋:というように、「男」は自分勝手に好きなように生きる……という甘えですかね。
ノブ:僕、熊田曜子さんそっくりになります。
和嶋:あ~~危ない、はまっていく。嘘はつかないようにしてください。
ノブ:和嶋君にそっと近づきます。
梅沢:どんなバンドなんだよって話ですよね(笑)。
和嶋:来世も見据えてますからね。グループ組めるかどうか分からないですけど。
梅沢:男女ミックスの。
ノブ:アリです。
和嶋:いいんじゃないですか。特にリズム隊が女性だと安定したリズムが出せる。
ノブ:女だてらにあのリズム隊すげーなって言われて。
和嶋:ドラムが可愛いんだよって言われて。
ノブ:熊田曜子さんに似てんだよ……三角関係らしいぞって。
和嶋:どーも揉めてるらしいぞって。
梅沢:面白すぎますよ。……いやぁ、そろそろ時間が。
和嶋:でも、俺はこの〈生まれ変わったら何になる?〉っていうのが、一番のメインテーマだと思ってますから、ここに辿り着けてよかった。
さらに「Q:私のここが変だと思う所』について。
梅沢:「私のここが変」については、和嶋さんが風呂に入らない……というのを最後にトークを終えたいと思います。それで、このトークの第二弾をやってもいいですか、よきタイミングで?(場内拍手)。
鈴木:でもね、レコーディングが終わってからね、これから作曲期間に入りますので。
梅沢:レコーディング終わってから、トークとカラオケ大会を。
和嶋:いわゆる〈ニュー・アルバム・プロモーション強化月間〉があるので。
梅沢:その時にやらせていただければ。
和嶋:しかも、その時も新譜出しているのに、〈音楽の話〉しませんから!
梅沢:そういうことで半年くらいお待ちください。じゃあ最後に一言ずつ。
ノブ:配信を見てくださった皆様、ありがとうございました。今年も頑張りますんでよろしくお願いいたします。
鈴木:ちょっとマズイことを言っちゃったかもしれませんが、そこはカットして。SNSに載せたりしないようにね。よろしくお願いします。
和嶋:とても楽しくトークができました。さっき鈴木君も言いましたが、今年アルバム制作をします。カッコいいアルバムを作りたいと思っています、待っていてください。で、今日は1月、新年の抱負ができました。「風呂に入る」にします(場内大拍手)。
この後、プレゼント大会が行なわれた。
なお、本公演の配信アーカイブは2月6日(木)まで視聴可能。詳細は以下の通り。
『ヘドバンPremium』Vol.2発売記念トーク・イベント|人間椅子 新春公開座談会〜「100の質問」についてのあれこれ
【視聴期限】2025年2月6日(木)23:59 まで視聴可能
【配信チケット代】¥2,300
【視聴URL】https://twitcasting.tv/loft9shibuya/shopcart/348845
商品情報
ヘドバン Premium Vol.2〈シンコー・ミュージック・ムック〉
発売日:2024年11月14日
サイズ:A4判
ページ数:128ページ
ISBN:978-4-401-65532-8
¥1,870(本体¥1,700+税)
発行:シンコーミュージック・エンタテイメント
【内容】
『ヘドバン』の別冊シリーズ『ヘドバンPremium』の2号目は、今年でバンド生活35周年を迎えた人間椅子大特集!
超ロング・インタビューや撮り下ろし写真の数々を筆頭に、彼らの魅力をこれでもかと満載!
『ヘドバンPremium』 Vol.2の表紙巻頭は、今年バンド生活35周年を迎え、11月には貴重な蔵出しライヴ映像満載の映像作品集を発売する人間椅子! メンバーそれぞれが“ライヴ”をテーマに35年を振り返る超ロング・インタビューを筆頭に、名珍回答続出な「100の質問」、無人島盤や無人島本、そしてスタジオや屋外で撮影した撮り下ろし写真の数々はある意味“人間椅子写真集”とも言える内容! 他にもライターの武田砂鉄氏によるIRON MAIDEN来日全通レポ等、『ヘドバンPremium』ならではの企画が満載の一冊です!