撮影:三浦麻旅子
2024年4月21日(日)、NHKホールにて、The Street Slidersのツアー『40th Anniversary Final The Street Sliders「Thank You!」』の東京公演が行なわれた。
2023年4月28日(金)豊洲PITと5月3日(祝・水)日本武道館でのワンマン『The Street Sliders Hello!!』。
同年8月11日(祝・金)北海道の『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023 in EZO』への出演。
同年9月1日(金)三郷市文化会館~10月26日(木)大阪フェスティバルホールの『The Street Sliders TOUR 2023 「ROCK’N’ROLL」』(全7本)──。
デビュー40周年の節目に2000年の解散以来22年ぶりに再集結して、The Street Slidersが行なったそれらのライブ活動の、締めくくりとなるツアーが『40th Anniversary Final The Street Sliders「Thank You!」』であり、その最終日がこのNHKホールである。このツアーは、2024年3月6日(水)立川ステージガーデンから4月21日(日)NHKホールまでの全8本が発表されたが、後日4月6日(土)日比谷野外大音楽堂公演も発表された。WOWOWで生中継されたこの日比谷野音のステージ本編のラスト3曲は、3人のホーン隊が加わった特別編成による演奏だった。
撮影:三浦麻旅子
最終日であるこのNHKホールは、HARRY(村越弘明)の「ハロー!」という叫びとギターリフで始まる「SLIDER」でスタート。このツアーは、ほとんどの場所では同曲で始まったが、4月12日(金)沖縄ミュージックタウン音市場のように「あんたがいないよる」で始まった日もあった。
ライブ前半は、「おかかえ運転手にはなりたくない」「Angel Duster」「Let’s go down the street」「のら犬にさえなれない」と、歴代のミドル~スローな曲が並ぶ構成。ZUZU(鈴木将雄)の破裂するようなスネアで始まり、蘭丸(土屋公平)のファズ・ギターが響く「Angel Duster」、後半でHARRY→蘭丸とギター・ソロを継いでいく「Dancin’ Doll」など、どの曲も、イントロが鳴った瞬間と曲が終わる瞬間に、大歓声と大拍手が、超満員の客席から湧き上がる。「すれちがい」と「ありったけのコイン」、初期と中期を代表する、歌い手の視点が対照的なスロー・チューン2曲で、そのオーディエンスの興奮は、一度目のピークを迎えた。
撮影:三浦麻旅子
日本武道館と昨年秋のツアーと今回のツアーにおいて、「それじゃあ新しいやつを」というHARRYの紹介から演奏されてきた新曲、「曇った空に光放ち」と「ミッドナイト・アワー」の2曲は、この日も9曲目と10曲目でプレイされた。2019年にツアーを行い、18年ぶりに同じステージに立って以降、活動しているHARRYと蘭丸のJOY-POPSが、2020年と2022年に発表した楽曲である。
撮影:三浦麻旅子
HARRYがメンバーをひとりずつ紹介してから(HARRYは蘭丸が「渋谷で絶好調、HARRYちゃん」と紹介)、蘭丸とJAMES(市川洋二 / ベース)が1曲ずつリードボーカルをとるコーナーに入る。日本武道館・秋のツアー・今回のツアーにおいて、ここで歌うのは、JAMESは「Hello Old Friends」か「Rock On」、蘭丸は「天国列車」か「ROCK’N ROLL SISTER」だが、この日は「Hello Old Friends」と「天国列車」だった。
撮影:三浦麻旅子
そしてステージは、本編後半のクライマックス・ゾーンへ。「ヘイ、ZUZU!」というHARRYの合図からのZUZU&JAMESの重く粘っこいリズムで始まった「カメレオン」では、サビで蘭丸がHARRYのマイクに寄り添ってコーラスを入れ、アウトロではふたり並んでステージのフロントに出てギターを弾く。サビで客席が絶叫と振り上げられた腕で埋まった「So Heavy」の間奏でも、ステージのセンター前に出て来たふたりを、大きな歓声が包んだ。
撮影:三浦麻旅子
「Back To Back」の締めで「Yeah―! Yeah―! Yeah―!」と長い三連発のシャウトを決めたHARRYの、「じゃあラスト、ね」という言葉から始まったのは、日本武道館や昨年秋のツアーではアンコールの最後に持ってきていた「TOKYO JUNK」。
撮影:三浦麻旅子
アンコールの1曲目は、日本武道館や『RISING SUN』や、昨年秋のツアーではプレイされなかった「いつか見たかげろう」だ。1997年11月のシングル「Shinin’ You」のカップリング曲(つまりラスト・アルバム『NO BIG DEAL』よりも後にリリースされた作品)である。いつかの自分たちに立ち戻ろうとするような、あるいはかつて失ったものをもう一度手にしようとするようなリリックのこの曲は、おそらくこの作品に続くはずだったアルバムが、作られないまま解散したことを鑑みても、その27年後の今こうしてライブで歌われていることを考えても、さまざまな感慨を聴き手に呼び起こすようで、オーディエンスみんな、なんとも言えない表情で耳を傾けていた。
撮影:三浦麻旅子
そして、約1年にわたる、The Street Slidersデビュー40周年の活動の最後の曲になったのは「風の街に生まれ」。この曲が発表された1989年でも、2024年の現在においても、スライダーズらしい、言わば「投げやりな力強さ」に満ちたこの歌を、NHKホールを埋めた全員が口ずさみ、この日のライブは、いや、The Street Sliders40周年プロジェクトは終わった。
終演SEが流れる中、4人は横一列に並び、つないだ手を二度挙げて挨拶してから、ステージを下りた。
そして、今ここにいるファンもいないファンも含めて、この1年の間にライブに参加した全員に、チケットのプレイガイドを通じて、メールで「THE STREET SLIDERS 40th Anniversary Completed! Thank you so much」というメッセージと、4人のサインを贈った。
40th Anniversary Final THE STREET SLIDERS「Thank You!」セットリスト
2024年4月21日(日)NHKホール
01. SLIDER
02. おかかえ運転手にはなりたくない
03. Angel Duster
04. Let's go down the street
05. のら犬にさえなれない
06. Dancin'Doll
07. すれちがい
08. ありったけのコイン
09. 曇った空に光放ち
10. ミッドナイト・アワー
11. 天国列車
12. Hello Old Friends
13. カメレオン
14. So Heavy
15. Back To Back
16. TOKYO JUNK
<アンコール>
17. いつか見たかげろう
18. 風の街に生まれ
【The Street Sliders プロフィール】
メンバーは、村越弘明(HARRY:Vo, G)、土屋公平(蘭丸:G, Vo)、市川洋二(JAMES:Bass, Vo)、鈴木将雄(ZUZU:Dr)。
1979年11月、府中市民アマチュアバンド・フェスティバルでZUZU、蘭丸、客に酒をぶっかけて暴れ回る村越のステージに出会う。村越、市川共に20歳、蘭丸18歳、ZUZU17歳。1982年春、福生の米軍キャンプで“リトル・ストーンズ”と呼ばれ人気を博する。12月、映画『夜をぶっとばせ』の主題歌を担当、ライブシーン収録のため、新宿ACBにてSPECIAL LIVE。1983年3月5日、アルバム『Slider Joint』、シングル「Blow The Night!」でEPIC/SONYよりデビュー。バンド結成当時から圧倒的なライブパフォーマンスで動員を増やし、1987年には初の日本武道館公演を行なう。スライダーズは時代にとらわれることなく自らのロックン・ロールを貫き、ビートを叩き出したバンドである。その人気はファンのみならず、多くのアーティストやミュージシャンからも支持を得て、日本のロックシーンの絶対的存在となる。2000年10月、689本目のステージで解散。23枚のシングルと10枚のオリジナルアルバムを残す。その作品は今も大きな影響を与え続けている。2023年はデビュー40周年を迎えた。2000年の解散から約22年ぶりに集結し、2023年5月3日日本武道館にてライブを敢行。秋には全国TOUR『The Street Sliders TOUR 2023 「ROCK’N’ROLL』を開催。また2024年春には、全国ツアー『The Street Sliders 40th Anniversary Final「Thank You!」』を開催。4月21日(日)東京NHKホールのライブをもって40周年プロジェクトを終了。