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のん が『PURSUE TOUR -最強なんだ!!!- in Zepp Haneda』で力強く魅せた"わたしだからできること"

2023.07.10

7月9日、Zepp Hanedaにて、『NON PURSUE TOUR -最強なんだ!!!-』が開催された。この公演は2ndアルバム『PURSUE』を引っ提げて行なわれている、のんにとって約5年ぶりとなる単独ツアーの初日。怒りや違和感と対峙しながら自分の弱さも受け入れて逞しく生き抜いてきたのんの生き様を、包み隠すことなく音楽に刻み込んだライブを届けた。
 

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『NON PURSUE TOUR -最強なんだ!!!-』は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとのコラボ曲「Beautiful Stars」からスタート。ライブタイトルにもなっている《最強なんだ、私》というフレーズを、ギターをかき鳴らしながら高らかに歌い上げる。のんがギターを抱えながら歌うとき、広げた両足の幅は彼女の勇敢さを、ギターをかき鳴らす勢いは彼女の意志の強さを、顔から溢れ出る表情は彼女が手にした自由を表しているように見える。

LINE_ALBUM_2023.7.10_230710_2.jpgそこからは、《最強なんだ、私》と言えるようになるまでの心の動きを表現するようなセットリストだった。VJをバックに歌い始めた「へーんなのっ」では多くの人が見て見ぬふりする変なことを彼女は直視していることを表して、GO!GO!7188の二人が書き下ろした「ナマイキにスカート」では、世の中の多くの事象ものん自身も目に見える表面的な部分だけが真実ではないことをはっきりした物言いで歌ってくれる。
 

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怒りも悔しさも泣きたい気持ちも発露した「むしゃくしゃ」の曲中では、ステージ上で倒れ込んで「あー、もう無理だ! もう歌えない! 疲れた! 頑張れって言われたら歌える気がする」「もっと!」と嘆くシーンも。すると会場からは愛のこもった「頑張れー!」が飛び交う。かつては明るく屈強な姿を届けることこそがスーパーヒーローだと思っていたのんが、弱さも情けなさも人に見せることで誰かにとっての「太陽」になれることを知って、それこそが自分の目指すヒーロー像であると自覚した変化が見えるシーンだった。

LINE_ALBUM_2023.7.10_230710_9.jpg続けて、自分の置かれた状況も心の中の本音も赤裸々にグッドメロディに乗せた「薄っぺらいな」で、さらにオーディエンスを引き込んでいく。
 

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LINE_ALBUM_2023.7.10_230710_8.jpgLINE_ALBUM_2023.7.10_230710_3.jpgLINE_ALBUM_2023.7.10_230710_1.jpg

中盤では、ひぐちけい(Gt)のアコースティックギターとのんの歌だけで、敬愛する忌野清志郎「I LIKE YOU」、キリンジ「エイリアンズ」のカバーを繊細な歌声で丁寧に紡ぐ。開場中のBGMでは忌野清志郎の楽曲も流れていたが、のんが怒りも社会への反抗心もユーモラスなロックンロールへと変える姿は忌野清志郎の魂を受け継いでいることを改めて提示する演奏だ。
 

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そして、のん自身が監督したミュージックビデオも話題の「荒野に立つ」を披露。20代の人生経験と感情を詰め込みながら、自分にしか見えていない行先を強い目力で照らすように歌う。「今まで自分が話さなかったようなことをヒグチアイさんに打ち明けて作ってもらった曲。自分の分身みたいな曲が誕生したと思って興奮してます」とこの曲を紹介し、最後の《同じだねと笑ってくれた》というフレーズには応援してくれるファンへの想いを込めたことを語った。
 

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温かな拍手に包まれる中、「次はぶち上げていくぞ! 準備はいいかー!」と盛り上げて「Oh! Oh! Oh!」へ。続けて演奏したのはサディスティック・ミカ・バンドのカバーで、初期にリリースした音源では高橋幸宏が演奏している「タイムマシンにおねがい」。これまで自分に愛情を注いでくれた人たちの想いを絶やさずに未来へと歩んでいく意志を込めて歌い上げているようだった。
 

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「鮮やかな日々を」では「一度やってみたかった」と、オーディエンスにスマホライトをステージにかざすことを呼びかけた。そして名残惜しそうに最後に歌ったのは、柴田隆浩(忘れえらんねえよ)が書き下ろした「この日々よ歌になれ」。孤独になっても、笑われても、「こっちを見てる」で歌うように好奇の目にさらされても、自分の「好き」と思う気持ちを大切にしながら、怒りを生きる原動力とロックンロールに変えて自身の表現力を磨いてきた。その集大成が『PURSUE』であり、この日のライブだった。
 

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アンコールでは、1stアルバム収録の「スーパーヒーローになりたい」を演奏。かつてはスーパーヒーローに変身したい想いを音楽に託していたのんだが、現在は、20代を自分の足で歩んできたからこそ《最強なんだ、私》と歌えるようになり、さらにはただファンタジックなスーパーヒーローでなく「あなたと同じように弱いところがある人間だ」という姿を見せながら誰かの生きる勇気になろうとしている。
 
のんが見せる明るさやエネルギッシュさは、歯の奥で食いしばっているものがあるからこそ醸し出せる懐の大きなものだ。これまではあまり表に出すことのなかった、その「食いしばってるもの」を音楽で放出することを決めたのが今作『PURSUE』であり、誰かの人生を演じるでも、誰かに自分の人生を語らせるでもなく、自分で自分の人生を語ってみせたのが『PURSUE』だ。最後は《わたしだからできること/見つけたんだ》《この声を届けるよ 世界中》と音楽への想いを伝えるかのように「わたしは部屋充」を歌って、この日のライブを締めくくった。
 

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7月13日には30歳の誕生日を迎える、のん。9日からは「“好き”をつらぬく9日間」としてライブ、アートブックやLINEスタンプの販売、動画コンテンツの公開など、リアルとデジタルを交差しながらのんの「好き」を目一杯表現する『NON FESTA』が開催されている。自身の生き様を屈託なく創作に昇華する術と環境を手にしたのんは、これからも我々の想像を超える芸術作品を生み出してくれるのだろう。なお、『NON PURSUE TOUR -最強なんだ!!!-』東京公演の模様は7月20日までアーカイブ配信されている。[Text:矢島由佳子 / Photo:南賢太郎(FOCUS STUDIO)]
 

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▼PURSUE TOUR  - 最強なんだ!!! -@Zepp Haneda 配信詳細はこちら

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