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トップレポートWALTZMORE、Lym、あるゆえ という新進気鋭3組がつくる"新しい時代''はすぐそこに迫っている── Flowers Loft 3rd Anniversary『ENDSCAPE vol.19』ライブレポート

WALTZMORE、Lym、あるゆえ という新進気鋭3組がつくる"新しい時代''はすぐそこに迫っている── Flowers Loft 3rd Anniversary『ENDSCAPE vol.19』ライブレポート

2023.03.19

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 2023年3月7日(火)下北沢Flowers Loftにて、“Flowers Loft 3rd Anniversary『ENDSCAPE vol.19』”が開催された。出演はあるゆえLymWALTZMOREという、今後の音楽業界を牽引していくであろう注目の3バンド。世代も違う、共演も多くはない組み合わせだが、コロナ禍でもそれぞれのシーンで活躍し着実に力をつけてきた3組が、コロナ禍にたちあがったライブハウス・Flowers Loftの3周年を共に祝おうと集結した。
 

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 まずはトップバッター、一番手として登場したのは、あるゆえ。一曲目に選ばれた人気曲「讃美歌」は、まさにこの日のはじまりに相応しいといえる。続いて披露された「ライブハウス」でも、ボーカル・紫月の声に呼応するように観客の拳が上がり、フロアの熱も高まった。
 事前に行なわれた出演バンド3組のボーカリストによる対談でも語られていたが、ライブの打ち上げの飲みの席で決まったという当イベント。レアな対バンであるがゆえに、「うちらだけうるさいと思われてるんじゃないかな…」との不安もあったそうだが、それは他2組からの「おまえららしくやれ」という激励と、観客の笑顔で打ち消されたようだ。「トッパーということもあって、気合い入れてきました」と、「毒を塗って」「生きていたいんだ」など“あるゆえらしい”人気ナンバーが立て続けに力強く披露された。
 

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 あるゆえは出演バンド3組の中で唯一Flowers Loftへの出演がはじめてだが、そんな様子を全く感じさせない堂々としたステージだった。楽曲から次の楽曲へ、その間もメンバーの鳴らす音や表情、振る舞いで、楽曲の世界観がしっかりと作り込まれていて、楽曲が披露されるたびに、その歌詞の情景、世界へ強く引き込まれていくのを感じた。

あるゆえ全体2.jpg 「やさしい言葉はかけてやれないけれど、この音楽があんたの体の一部になって戦ってやれるように、わたしはずっとここで歌っている」「私たちの音楽があんたの武器と盾になれるように音を鳴らしていく」と、紫月の心からの、ありのままの言葉は、きっと観客にも響いただろう。最後に披露された「騒音楽」では、フロアでも力強く上がる拳が見られた。
 

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 続いて、二番手に登場したのはLym
 まずは「朝が来ないように」「8mg」「二番煎じ」と、Lymの持ち味ともいえる切ないラブソングが続けて披露され、会場の雰囲気はがらりと変わる。切なくも心地よいメロディーとサウンドが観客を包み込んだ。あるゆえに続いてのステージだからこそ際立ったのは、ボーカル&ギター・たかぎれおの歌声によって広がる悲しくも美しい楽曲の世界観だろう。あるゆえのような力強さとは違う、けれど同等に強く惹きつけられるような魅力がある。

Lym vo2.jpgLym gt.jpgLym ba.jpgLym dr.jpg あまり多くは語らず淡々とライブをこなしているように見えたが、後半では3月25日から東名阪を回るリリースツアー『0→1 エイジ “MARCH”ツアー』についての思いが語られた。ライブ中盤で披露した「君が冷めても」の歌詞にある“上書きされていく”という表現も交え、「上書きされるっていうことは、その前にちゃんとセーブデータがあったんです。ここに僕らがいたこと、あなたが聴いていること、僕らがライブをしていることは消えない」「悲しみとか辛いこととか、生きていく上でたくさんあるとは思うけど、良い意味でも悪い意味でも上書きして、どんどん前に向かっていこうという思いでツアーをやることにした」という。新曲「March」のタイトルには、“3月”の他に“行進”の意味もある。春らしくさわやかなサウンドにのせられた「幸福な毎日じゃないけどそれくらいが良い」というメッセージは、コロナ禍を乗り越えてステージに立つ彼らだからこそ、響くものがあったのではないだろうか。

Lym全体2.jpg 最後は疾走感のあるお別れのナンバー「変われない私へ」で締めた。
 

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 そして最後に登場したのが、WALTZMOREだ。
 1月にリリースしたばかりのアルバム『CHILDREN』の一曲目でもありリード曲でもある「FESTIVAL」で祝祭のはじまりを告げる。「ステンドグラス」「SWAN DIVE」「アイの映画」とテイストの異なる楽曲が立て続けに演奏される中で、ボーカル&ギター・こうのいけはるかは冒頭からアコースティックギター、エレキギター、ハンドマイクを楽曲ごとに持ち替え、WALTZMOREの幅広く自由なサウンドを体現しているようだった。

WALTZMORE vo2.jpgWALTZMORE gt.jpgWALTZMORE ba.jpgWALTZMORE dr.jpgWALTZMORE pi.jpg MCでは「紫月ちゃんも話していたけど…」と、改めてこうのいけからも当イベント開催にあたっての経緯が語られた。ボーカル同士の交流がきっかけだったことについて、ドラム・木挽祐次から「いいなぁ… ドラムはそういうのないから」と笑いを交えてのコメントが入るなど、メンバーのその人柄で、トークでも観客を和ませた。「あるゆえもLymも好きだから、『ENDSCAPE』という大好きなイベントで一緒にできて、当日を迎えられてうれしい」と話すこうのいけの笑顔からは、主催である彼自身もこの日のイベントをとても楽しみにしていたであろうことが感じられた。演奏の合間、ステージ上で目線を交わしたり、フロアの観客を見るメンバーの表情からも、それは十分伝わった。その後も「メランコリア」など『CHILDREN』の収録曲が中心に披露され、フロアの観客もメンバーと共に体を揺らし、この時間を楽しんだ。

WALTZMORE 全体2.jpg 終盤には、現在開催しているWALTZMOREの全国ツアー『祝祭』についての話も。ツアーの中でこうのいけは「1、2年前では考えられないほど、ライブハウスが息を吹き返しているような、新しい時代がすぐそこに迫っているかんじが体感できて、すごくワクワクしている」という。その思いは、あるゆえ、Lym、そしてFlower Loftの観客も、少なからず、この日ここで感じたのではないだろうか。「ゆっくりでも、まだ誰も到達したことがないような
場所へ。この音楽で一緒に旅をしながら掴み取っていきたいから、これからもついてきてほしい」とファンへの思い、そして改めて観客への感謝が伝えられ、最後は「from 1995」「COLD CITY GIRL」の2曲で、“夜の向こう”──この先の未来へ向けて、この日のイベントを締めくくった。
 
 ボーカリスト同士の交流から生まれた当イベント。飲みの席での「やろうよ!」が実現することは、3年前まではさほどめずらしくなく、むしろライブハウス、アーティストにとっては日常的だった。少しずつ日常を取り戻していく中で、コロナ禍を乗り越えたアーティストたちは着実に力をつけ、前へ進んでいる。こうのいけの言うとおり、彼らがつくる“新しい時代‘’はすぐそこに迫っているのだろう。
 ボーカリスト3人だけでなく、バンド同士が仲間としての絆を深めたであろうWALTZMORE、Lym、あるゆえ。3組それぞれの今後の活躍が楽しみなのはもちろんだが、またいつかこの3組が「またやろうよ!」と集結し、この日のような“最高の景色”を見せてほしいものだ。[ライブレポート:たまきあや(Flowers Loft)/ 写真:丸山恵理(Loft Project)]

Live Info.

Flowers Loft 3rd Anniversary『ENDSCAPE vol.20』

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2023年4月21日(金)下北沢 Flowers Loft
OPEN 19:00 / START 19:30
前売¥3,400 / 当日¥3,900(共にドリンク代別¥600)
チケットはe+にて発売中(詳細はこちら
問い合わせ:Flowers Loft 03-6407-9520

Flowers Loft 3rd Anniversary『ENDSCAPE vol.21』

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2023年4月29日(土)下北沢 Flowers Loft
OPEN 18:30 / START 19:00
前売¥3,000 / 当日¥3,500(共にドリンク代別¥600)
チケットはe+にて3月19日(日)よりプレオーダー受付開始
問い合わせ:Flowers Loft 03-6407-9520

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