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虫の交尾を愛と呼んでいいのか、カエルが鳴らせる解除音とは?! 大島健夫×ぬまがさワタリの対談イベントでわかったいきものの愛の形!

2020.10.31

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 房総半島の里山を舞台にネイチャーガイドとしても活動する&現・千葉市野鳥の会会長の詩人・大島健夫が外来生物になりきってその外来生物のきもちを想像しながら話を進めていく『外来生物のきもち』。発売してすぐに重版が決定した人気書籍。その刊行を記念し、生きもの図解をウェブで発表したり生きもの本を作ったりと大人気のイラストレーターぬまがさワタリとの対談トークイベント配信が2020年10月25日(日)に配信された。

 今回は、その一部をレポート! アーカイブは11/8(日)まで購入&視聴可能。(アーカイブ購入のURLはこちら)

虫の交尾を、愛と呼んでいいのか

大島:「好きな動物の求愛行動」という質問が届いています。ぬまがささんはいかがですか?

ぬまがさ:オスのカワセミ様がメスのカワセミ様に対して、自分が取ってきた魚を差し上げるという非常にクレバーでキュートな「求愛給餌(きゅうあいきゅうじ)」という行為ですね。私は実際には見た事がないんですけど。鳥の求愛行動ってすごく面白くて、たとえばフウチョウの仲間だと、まるで団扇のような羽を広げてピョンピョン跳ねる、というすごく面白い動きの求愛行動があったりだとか、生き物が進化した結果、こんな行動が残ったんだな…というのをまざまざと見せられるときはすごく感動しちゃいますよね。

大島:僕は、鳥だとゴイサギが巣の材料を咥えて上下させて、「一緒に家を作ろう」というアピールをするのが好きですね。

ぬまがさ:え〜! かわいいな。

大島:かわいいですよね。求愛給餌にも関わるんですけど昆虫のシリアゲムシも好きです。シリアゲムシは、2億何千年も前から形が変わらずにいるすごい虫なんですけど、雌に食べ物を渡してそれを食べさせている間に交尾を済ましちゃうという、とんでもない昆虫なんです(笑)。

ぬまがさ:非常にバイオレンス!(笑)

大島:どうしてそれを身につけたの? なんでそうなるの? っていう感じですよね(笑)。その話を聞いた時は半信半疑だったんですけど、実際に見た時の衝撃ったらなかったですね。

ぬまがさ:この虫の交尾を、愛と呼んでいいのか(笑)。

大島:はたしてこれは愛なのだろうか…(笑)。

ぬまがさ:私の本の『不思議な昆虫大研究』でも話をしたんですけど、ルリイトトンボというトンボの話も壮絶でして、血生臭いのだけど興味深い内容になっています。

大島:すごい話ですよね。トンボの場合、まず雌の首を絞める所から始めるんですもんね。

ぬまがさ:それで雌がボロボロになっちゃって、そこに別の雄がどんどん集まってきちゃったりして。最終的には4連ぐらいに連なって収集がつかなくなっていくという(笑)。

大島:その話、大好き(笑)。

ぬまがさ:それに対して雌は、水中に潜って他の雄にも邪魔されないからどんどん進化したり、身体の色を変えたり、体の構造を変えることによって、雄のバイオレンスな虫の性行動にカウンターをとっていくという。

大島:人間の基準で、コンプライアンス的に見たら全てがアウトですよね。

ぬまがさ:そう(笑)。完全にアウトだし、これを愛と呼んでいいのか分からないが、雄が進化して雌がそれに対して進化していくといういたちごっこで進化していくというのはありますよね。

大島:今たまたまトンボが例に出ましたけど、トンボみたいに雄が暴力的に振る舞うのではなくて、雌が交尾中に雄を食べて自分の栄養にするパターンというのもあるんですよね。

ぬまがさ:カマキリとかが有名ですよね。カマキリの雄は頭がなくなっても交尾ができるんですけど、むしろ頭がなくなることによって、普段だったら持っている抑制力がなくなって、交尾の機械になっちゃうんですよね。それが逆に効率が良い! みたいな(笑)。その身も蓋のなさみたいなのも面白いですよね昆虫は。

大島:求愛と名付けることで愛が介在してくるけど、本当に繁殖って面白いですよね。

カエルが鳴らせる解除音とは

ぬまがさ:繁殖システムというのは、「赤ちゃんが生まれてきて良かったね」って無条件に賛美されるじゃないですか、生命の神秘みたいな。でも、おぞましい部分もあると思っていて、有性生殖のシステムのところに異性愛システムという…生き物のシステム全体が持ってるものも同時にあるなと思うんですよ。昆虫の性を観察すると、あまりにも身も蓋もなかったり効率重視だったり、逆に清々しいというか。普段は隠されがちなおぞましさもちょいちょい出てくる部分があって、逆にそこは好きなんですよね。

大島:昆虫って、有性生殖の一つの極北みたいなところありますからね。

ぬまがさ:「愛ってなんだよ、うちらは増えるシステムのためにやってるから!」みたいな(笑)。「残酷とか知らねーし、頭食べりゃいいじゃん」みたいなね(笑)。

大島:僕は、カエルが繁殖行動をする時に違う種類のカエルに抱きついちゃって、最終的に締め殺しちゃうという場面をよく見るんですよ。例えばヒキガエルがウシガエルに抱きついちゃう、とか。あれって、同じ種類だと解除音というのがあって雄が雄に抱きついちゃった時に、「違うぞ!」っていって外せるんですけど、違う種類だと言葉が通じないから、そのまま締め殺されちゃうっていうのがあって、そういうことを考えると理系の世界と人文科学の世界って近いんですよね。

ぬまがさ:解除音ってすごいですね!

大島:種類が違うとそれが通じないんで、ずっと締められっぱなし(笑)。

ぬまがさ:自然界を広く見ると結構いろんな形があるというか、人間が考えがちな雄と雌の間以外でも性別の枠組みを逸脱した方向に向かっているのもたくさん観察できるから、人間側の思い込みを打破してくれてるという意味でも興味深いですよね。

大島:まさかの繁殖行動から愛の話になりました。

トークの全編はアーカイブ視聴をチェック

Live Info.

【アーカイブ配信中】『外来生物のきもち』刊行記念トーク 大島健夫×ぬまがさワタリ「いきものを語るきもち」

 
《配信チケット》¥1,500
アーカイブは11/8(日)まで購入&視聴可能です!
※配信中の投げ銭(お茶爆50/100/500)も可能です!! ぜひご協力ください!!
 
【出演】
大島健夫(詩人、ネイチャーガイド、千葉市野鳥の会会長、『外来生物のきもち』著者)
ぬまがさワタリ(イラストレーター、『ゆかいないきもの㊙︎図鑑』著者)

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