それぞれの道で音楽と歌のアプローチを行ってきた、約30歳離れた二人の音楽家がこのたび邂逅。2017年から共演を重ねてきた灰野敬二と蓮沼執太による初めての共作楽曲「潜(英題:Latency)」 が本日7月11日(金)に配信リリースされた。
蓮沼が楽器演奏と歌詞を手がけ、灰野がその音楽と言葉に応えるように、その場でメロディーを作り、声を重ねることで完成した。新曲「潜(英題:Latency)」は、蓮沼が奏でるフィードバックによるエレキ・ギターの響きとアナログ・シンセサイザーの旋律が共鳴する中、灰野の声と深いエコーが絡みあう、唯一無二のトラックである。
今回撮りおろしされたアーティスト写真は池谷陸が撮影。ジャケットのアートワークは小池アイ子が担当した。楽曲のコンセプトでもある口から発生する「うた」をモティーフとしており、灰野と蓮沼のそれぞれの口元で言葉が表現されている。
【灰野敬二|Keiji Hainoプロフィール】
音楽家
1952年5月3日千葉県生まれ。アントナン・アルトーに触発され演劇を志すが、ザ・ドアーズに遭遇し音楽に転向。ブラインド・レモン・ジェファーソンをはじめとする初期ブルースのほか、ヨーロッパ中世音楽から内外の歌謡曲まで幅広い音楽を検証し吸収。1970年、エドガー・アラン・ポーの詩から名を取ったグループ「ロスト・アラーフ」にヴォーカリストとして加入。また、ソロで自宅録音による音源制作を開始、ギター、パーカッションを独習する。1978年にロックバンド「不失者」を結成。1983年から87年にかけて療養のため活動休止。1988年に復帰して以来、ソロのほか不失者、滲有無、哀秘謡、Vajra、サンヘドリン、静寂、なぞらない、The Hardy Rocksなどのグループ、experimental mixture名義でのDJ、他ジャンルとのコラボレーションなど多様な形態で国際的に活動を展開。ギター、パーカッション、ハーディ・ガーディ、管楽器、弦楽器、各地の民間楽器、DJ機器などの性能を独自の演奏技術で極限まで引き出しパフォーマンスを行なう。200点を超える音源を発表し、確認されただけでも2,000回以上のライブ・パフォーマンスを行なっている。
【蓮沼執太|Shuta Hasunumaプロフィール】
音楽家、アーティスト
1983年、東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織して、国内外での音楽公演をはじめ、映画、テレビ、演劇、ダンス、ファッション、広告など様々なメディアでの音楽制作を行う。また「作曲」という手法を応用し物質的な表現を用いて、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンス、プロジェクトを制作する。
最新アルバムに『unpeople』(2023)。東京2020パラリンピック開会式にてパラ楽団を率いてパラリンピック讃歌編曲、楽曲「いきる」を作詞、作曲、指揮を担当。近年のコンサート・パフォーマンスに「unpeople 初演」(草月プラザ石庭『天国』/ 2024)、「ミュージック・トゥデイ」(オペラシティ・コンサートホール・タケミツメモリアル / 2023)など。
主な個展に「Compositions」(Pioneer Works 、ニューヨーク/ 2018)、「 ~ ing」(資生堂ギャラリー、東京 / 2018)などがある。また、近年のプロジェクトやグループ展に「Someone’s public and private / Something’s public and private」(Tompkins Square Park 、ニューヨーク/ 2019)、「FACES」(SCAI PIRAMIDE、東京 / 2021)、など。第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。