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ミニマルミュージックを生み出した音楽界の巨人、テリー・ライリーの全貌に迫るディスクガイド『テリー・ライリー完全版』が4月30日発売

2025.04.25

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ミニマリズムの創始者として音楽史にその名を刻み、現在も精力的な活動を続ける世界的音楽家、テリー・ライリーのレコード、CDを網羅したディスクガイド『テリー・ライリー完全版』(松村正人編)が4月30日(水)に株式会社河出書房新社より刊行される。
2024年までの全音源解説、ともにグループ活動を行なう横尾忠則へのインタビュー、作曲家カール・ストーンとの特別対談などを収めた、初のアーカイヴブックだ。

ミニマリズム、インド古典音楽、即興音楽──すべてを統合、昇華させる巨人、テリー・ライリー

 

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本書カバーより(写真|三浦麻旅子)
 
特定のフレーズや音型の反復を元に楽曲を組み立てる「ミニマルミュージック」。
20世紀後半以降に隆盛を極めたジャズやロックといったポピュラーミュージックへ多大な影響を与え、テクノをはじめとするエレクトロニックミュージックの土台ともなったこの音楽ジャンルの生みの親ともいえる、米国出身の音楽家、テリー・ライリー。
 
2020年より日本に移住し、近年ではNHKクラシックTV『巨匠 テリー・ライリー降臨! ~変わり続ける音~』、同スイッチ・インタビュー『テリー・ライリー×久石譲』をはじめ、テレビ番組でもお目にかかることの多い現代音楽界の巨匠、初のアーカイヴブック。
 
本書では、そんなテリー・ライリーの数ある作曲作品より、レコード、CD、カセットなど音源化された作品を網羅(一部デジタルリリース含む)。
53の短いフレーズを複数の演奏者が任意に繰り返しつつ進行する代表作「インC(In C)」から、英国のロックバンド、ザ・フー「ババ・オライリー(Baba O’Riley)」の雛型ともいえる、「ア・レインボウ・イン・カーヴド・エア(A Rainbow in Curved Air)」などの代表作はもちろん、2000年代以降のオーケストラ作品、器楽曲、合唱曲など、ミニマルミュージックのイメージだけでは括られないライリーの広大な音世界に深く分け入っている。
 
テリーさんのメロディにはアラビックなニュアンスからアフリカ、アジア、いろんなメロディの要素があり、もうひとつベースにジャズのニュアンスがある。
それがテリーさんの音楽に多くの人を惹きつける大きな要素になっている。
──久石譲(作曲家/指揮者)
※本書帯推薦文より

『テリー・ライリー完全版』の内容

レコードデビュー前の歴史にはじまり、時代も国や地域も異なる演奏家たちによる「インC」だけで構成した第2章、ミニマルミュージック以外の多様な作風を解説する第3章や、2025年6月の90歳(!)を記念したコンサートでも来日予定のグラミー賞を3度受賞する世界的な弦楽四重奏団、クロノス・カルテットとの諸作や、近年の知られざる傑作群まで、長く多彩なキャリアを俯瞰的に捉える世界に類のない試みと言える。
 

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本書P58~P59より(画像をクリックすると拡大します)
 
第1章 アーリー・イヤーズ──柿沼敏江、松村正人
第2章 「In C」の世界、世界の「In C」──湯浅学、吉本秀純、松村正人
第3章 テリーのスタイル──畠中実、大西穣、吉本秀純、松村正人
横尾忠則 インタビュー
第4章 クロノスとの出会いを経て──高見一樹、松村正人
テリー・ライリー、その即興としての人生 藤枝守
ヨシダダイキチ インタビュー
第5章 さらなる発展──dj sniff、湯浅学、松村正人
クロノスタシス テリー・ライリーとジャズ 高見一樹
ライリーのインナーフロンティア──純正律の使用法から考える 大西穣
第6章 21世紀のテリー・ライリー ──高見一樹、吉本秀純、松村正人
サラ インタビュー
第7章 現在から未来へ──大西穣、持田保、高見一樹、吉本秀純、松村正人
本当に大切なのは空を飛ぶこと 西村紗知
宮本端 インタビュー
特別対談:テリー・ライリー×カール・ストーン
著者一覧
 
本書執筆陣は、柿沼敏江(アメリカ実験音楽)、藤枝守(作曲家)、湯浅学(著述業)ほか、クラシックや現代音楽に精通した書き手から、ロックやジャズ、実験音楽まで、幅広い作風に対応するエキスパートが勢揃い。
 
60年代のニューヨークでサイケデリック、ヒッピームーブメントに触発され、2022年からはテリー・ライリーとグループ活動を行なう横尾忠則、近年の活動を語る上では欠かすことのできない、ヨシダダイキチ(シタール奏者)、サラ(弟子/継承者)、宮本端(プロデューサー)といったキーマンへのロングインタビューも読み応えたっぷりだ。
 

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本書P72~P73より(画像をクリックすると拡大します)
 
圧巻は、自身も70年代から活動する作曲家、カール・ストーンが聞き手を務めた巻末の特別対談。
テリー・ライリーが、自身の幼少期に触れた音楽体験からミニマルミュージックの誕生秘話、演奏家としての即興の心得までを縦横に語る、作品解説と併読することで音楽が何倍も楽しくなる、絶好のテリー・ライリーガイドだ。
 
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ザ・フーから、トム・ヨーク、ジェフ・ミルズ、フアナ・モリーナ、細野晴臣、坂本龍一、久石譲、宇川直宏まで、その他枚挙にいとまが無いほど数多くのミュージシャン、アーティストへ今現在も絶大な影響を与え続ける、偉大なるコンポーザー、パフォーマーの豊かで自由な作品たちを、ぜひ本書を片手にご堪能いただきたい。
 
【テリー・ライリー(Terry Riley)プロフィール】
1935年カリフォルニア州コルファックス生まれ、レディングで育ち、サンフランシスコ州立大、サンフランシスコ音楽院、カリフォルニア大学バークレー校などでピアノと作曲を学び、ラ・モンテ・ヤングやポーリン・オリヴェロスなどと出会う。1960年代初頭に渡欧、スペインからフランスに移り、ラジオ局で「ザ・ギフトのための音楽」の制作に着手し、帰国後の1964年に「インC」が完成。ミニマリズムの発端となる。その後、再び渡欧を試みるも、ニューヨークの地に留まり、永久音楽劇場に加わり、サックス演奏も開始。1968年には初演から4年がすぎた『インC』がレコード化。翌年の『ア・レインボウ・イン・カーヴド・エア』とあわせ、ロックやサイケデリック文化といった同時代と共振する作曲家像を確立。1970年代にはプラン・ナート師に師事し、北インド音楽に深く傾倒する一方で、クロノス・カルテットとの委嘱により、記譜による作曲も再開。2020年より日本に拠点を移し、作曲、即興、演奏が協和した音楽活動をつづけている。

商品情報

テリー・ライリー完全版

編者:松村正人
仕様:A5判|並製|240頁
発売日:2025年4月30日
税込定価:2,860円(本体2,600円)
ISBN:978-4-309-25793-8
デザイン:渡辺光子
発行:株式会社河出書房新社

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