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安倍晋三元首相銃撃犯を描いた問題作『REVOLUTION+1』の記憶も新しい、足立正生監督の最新作『逃走』が2025年3月よりユーロスペースほか全国の劇場で順次公開となる。
本作で語られるのは、半世紀に及ぶ逃亡の末に末期がんで孤独に亡くなった、東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡だ。
本作監督の足立は映画監督・若松孝二作品の脚本を量産、大島渚作品にも参加するなど異色の世界観を多数書き上げてきた。その後、日本赤軍に身を投じ、27年間日本を離れ、帰国後再び映画監督として活動を再開した。
「偽名で生きた内田洋から桐島聡への回帰、そこには多くの謎があり、逃亡生活の終焉と自らの死を予感した“革命への確信”その証は、映画でしか描けない」と始まった本作のプロジェクトは、足立が自ら脚本も担当し、夏にクランクイン、そして荒々しいスピードで劇場公開となる。
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▲足立正生監督
主演の桐島聡には、今回、足立監督が出演を熱望した古舘寛治。名バイプレイヤーとして数々の映画・ドラマに出演し、近年では、マーク・ギル監督『レイブンズ』(2025)やピエール・フォルデス監督『めくらやなぎと眠る女』(2024)、レオス・カラックス『アネット』(2022)、一木正恵監督『アナウンサーたちの戦争』(2024)など国内外の監督からの信頼も厚い。本作では謎の多い桐島を寡黙に佇む立ち姿からも、さまざまな感情を想起させるような奥行きのある演技で魅せる。
そして、『半世界』(2019)で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第34回高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞し、話題作への出演が続く杉田雷麟が若い頃の桐島を演じた。
また、桐島と恋仲になる女性に中村映里子、桐島と共に逃走する宇賀神寿一にはタモト清嵐、そのほか吉岡睦雄、松浦祐也、川瀬陽太、足立智充など個性的な面々が脇を固める。
撮影監督を務めたのは、足立正生と日本大学芸術学部映画学科からの学友であり、是枝裕和監督作品や多くのテレビドキュメンタリー、記録映画などのカメラマンとして知られる山崎裕。足立監督とは『断食芸人』以来9年ぶりとなる。
エグゼクティブプロデューサーには、「ライブハウスを創った男」と称され、1970年代以降の日本ロック史を語るうえで切り離すことのできない、ロフトグループの創業者・平野悠。
音楽は、ノイズ的な作品からポップスに至るまで数々の映画・ドラマ音楽を手掛ける大友良英。
挿入曲には、1969年にバリケード封鎖された早稲田大学構内で行なわれた山下洋輔トリオによる壮絶なフリージャズライブ音源「Dancing古事記」が使われている。
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また今回、劇場公開決定とキャスト解禁に合わせて、本作のタイトルも『逃走』に決定し、キービジュアルも解禁となった。
左側には晩年の桐島を演じる古舘、右側には青年期の桐島を演じる杉田が逆さに配置され、全体的に赤と黒と白のコントラストを基調としたデザインで構成されており、物語の緊張感や不穏な予感を強く印象づけるビジュアルが完成した。
商品情報
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映画『逃走』
監督・脚本:足立正生
出演:古舘寛治
杉田雷麟 タモト清嵐 吉岡睦雄 松浦祐也 川瀬陽太 足立智充 中村映里子
遊屋慎太郎 小橋川建 神嶋里花 永瀬未留 さいとうなり 伊島空 東龍之介 神田 青
瓜生和成 宮部純子 大川裕明 小水たいが 浦山佳樹 枝元萌 木村知貴
内田周作 佐藤五郎 岩瀬亮 輝 有子 信太昌之 大谷亮介
企画:足立組
エグゼクティブプロデューサー:平野悠 統括プロデュ―サー:小林三四郎
アソシエイトプロデュ―サー:加藤梅造 ラインプロデューサー:藤原恵美子
音楽:大友良英 撮影監督:山崎裕 録音:大竹修二 美術:黒川通利 スタイリスト:網野正和
ヘアメイク:清水美穂 制作:渡辺美穂 編集:蛭田智子 助監督:鎌田義孝 山嵜晋平 スチール:西垣内牧子
題字:赤松陽構造 キャスティング:新井康太 企画協力:寺脇研 宣伝デザイン:100KG
字幕制作:スタンスカンパニー 英語字幕:桜本有三 挿入曲:「DANCING古事記」(山下洋輔トリオ)
【2025年|日本|DCP|5.1ch|110分】(英題:ESCAPE)©「逃走」制作プロジェクト2025
配給・制作:太秦 製作:LOFT CINEMA 太秦 足立組
©「逃走」制作プロジェクト2025
2025年3月よりユーロスペースより全国順次公開
【STORY】
社会運動が高揚していた1970年代の日本、新左翼過激派集団「東アジア反日武装戦線“さそり”」のメンバーであった桐島聡。若き桐島は重要指名手配犯とされ、いつ逮捕されるかわからない緊張感の中、逃亡を続けていた。生活を繋ぐため日雇い仕事を転々とし、数十年前からは「内田洋」という偽名を使い、神奈川県藤沢市内の工務店で住み込みの仕事に就くようになる。1960〜1970年代のブルースやロックを好み、月に一度、音楽好きが集まる藤沢市内のライブバーに足を運んでいた。趣味を楽しむ一面があったものの、かつての仲間たちの存在が常に脳裏に影を落としていた。メンバーの獄中闘争、超法規措置により国外に出る仲間たち、自ら命を絶った者──。桐島はそうした仲間たちの姿を思い浮かべながら、日本社会の欺瞞や凋落を孤独に見つめ続けていた。2024年、70歳となった桐島は末期がんと診断され、病院のベッドで生死の狭間を彷徨う。薄れる意識の中で浮かんでくるのは、東アジア反日武装戦線としての活動、仲間と逃亡を続けていた当時の記憶。彼が生涯を賭けて追い求めたものは何だったのか。半世紀にわたる逃亡生活の果てに、彼は何を得ようとしたのか。死の間際に「私は桐島聡です」と名乗り出て何を表現しようとしたのか。足立正生監督が自らの半生と重ね合わせながら、桐島の苦悩と決意を描き出す。
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