2023年6月14日に『世界で最後の花』(ジェームズ・サーバー著/村上春樹訳)がポプラ社より刊行される。
なぜ人間は戦争を繰り返すのか? 1939年、第二次世界大戦の開戦直前に、ニューヨーカー誌の編集者で小説、漫画、児童書分野でも活躍し、映画『LIFE!』の原作者としても知られるジェームズ・サーバーによって描かれた、今こそ読むべき一冊。フランス語版はアルベール・カミュが翻訳を務めた世界的ロングセラーを、村上春樹の新訳で復刊される。
内容紹介
みなさんもごぞんじのように、第十二次世界大戦があり、
町も、都市も、村も、地上からそっくり消えてしまいました。
本も、絵画も、音楽も、地上からなくなりました。人間たちはなにをするでもなく、ただそのへんにぼんやり座りこんでいました。
ある日、それまで花をいちども見たことのなかった若い娘が、たまたま世界に残った最後の花を目にしました。
若い娘は、一人の若者と一緒に、世界に残った最後の花を育てはじめます。すると……
著者ジェームズ・サーバーがこめた「平和への願い」
第二次世界大戦開戦の直前に描かれたこの本の冒頭には、サーバーの娘・ローズマリーへ捧げる一文が掲載されている。
サーバーが願った通り、ローズマリーが住んだ世界、そして、わたしたちが住む世界は「もっと善き場所」になっているだろうか。この本に込められた平和への想いを、わたしたちはどのように受け止めることができるだろうか。
なぜ人間は戦争を繰り返すのか?
わたしたちは戦争のない未来をつくることができるのか?
2022年2月にはロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まった。「戦争」は決して他人事ではない。
戦争が起こってしまう「今」を生きるわたしたちが、今こそ読むべき一冊と言えるだろう。
ニューヨーク・タイムズ紙も賞賛
「戦争に関する作品のなかで、最もシリアスで、最も皮肉とユーモアを感じる一冊である」(ニューヨーク・タイムズ紙)
村上春樹による「訳者あとがき」も収録
世界では今でも、この現在も、残酷な血なまぐさい戦争が続いています。いっこうに収まる気配はありません。それはあとになったら、当事者の将軍たちでさえ「何のための戦争だったかもう思い出せない」ような戦争であるかもしれません。そんな中で「世界で最後の花」を守るために、多くの人が力を合わせています。この本も、そんなひとつの力になるといいのですが。 (「訳者あとがき」より抜粋)