東日本大震災を知らない子どもたちへ記憶を引継ぎ、希望を伝える、石井麻木による写真絵本『ただいま、おかえり。3.11からのあのこたち』が2月22日(水)に世界文化社より発売される。
本書は、東日本大震災から毎月東北へ通う写真家・石井麻木が、震災を知らないこどもたちへ、震災直後から現在までの12年間の東北の様子を届ける写真絵本。
震災の悲しみを伝えるとともに、日々を生きることの大切さ、日常が決してあたりまえでないこと、毎日を大切に生きていこうという、生きるメッセージが込められている。
12年間、月命日に東北へ通い続ける写真家
「月命日にひとりでいたくない」。その声を聞いてから、毎月月命日に東北へ通い続ける写真家・石井麻木。その写真とことばで構成された写真本『3.11からの手紙 / 音の声』(シンコーミュージック・エンタテイメント)を2014年に刊行。同タイトルの写真展『3.11からの手紙 / 音の声』を全国各地で開催し、東北の様子を伝える活動を続けている。
震災を知らないこどもたちへ 震災から12年
あのとき0歳だったこどもたちは小学校を卒業する年になった。写真展で伝えていること、東日本大震災の悲しみ、その後の笑顔の軌跡、決してあたりまえではない日常の大切さ、命の尊さを、震災を知らないこどもたちにも伝えたい、繋げていきたいという想いから、この写真絵本が生まれた。震災で亡くなられた方の13回忌をむかえる2023年3月11日。あらためて、東日本大震災と、何気ない日常の尊さについて思いをはせるきっかけになることを願う。本書にはそんな意図が込められている。
「かなしみからもよろこびからも眼をそらさずに向き合う」
どんなに心を砕いても追いつけないかなしみがある。
それでも知った者の責任として、こういう現実がある、こういう心情を知った、そして自分になにができる、それはかなしみからもよろこびからも眼をそらさず向き合うことでした。
(本書 あとがきより)
なお、本書の印税と収益は、著者本人の意思により震災遺児支援を行なっているあしなが育英会に全額寄付されるという。
写真・文 / 石井麻木からのメッセージ
この写真絵本を作らせていただくにあたり、震災直後からの12年分の写真をすべて見返しました。さまざまな想いがめぐり、何度も何度も写真を入れかえました。
きのうという日があったこと、今日笑っていられること、あしたまた逢えること、なにひとつあたりまえじゃなかった。
なにげない挨拶や交わすことばが、伝えられるうちに声を想いを届けることが、いちにちいちにちを懸命に過ごすことがどれほど尊いものだったか、あらためて気付かせてくれたのは東北の地でした。
抱えきれないほどのかなしみもくるしみもひとつひとつだきしめながら過ごしてきた12年間。
そのなかから届けたいものがあります。
いま、そこにいてくれること。
いま、ここにいるから伝えられること。
13回忌をむかえる今年、あの日を知らないこどもたちにも伝えられたら、繋げていけたらと、すべての想いを込めてこの写真絵本をお届けさせてください。
【著者プロフィール / 石井麻木(いしい まき)】
写真家。東京都生まれ。写真は写心。一瞬を永遠に変えてゆく。毎年全国各地で個展を開くほか、CDジャケットや本の表紙、映画のスチール写真、ライブ写真やアーティスト写真などを手掛ける。作品に『3.11からの手紙 / 音の声』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、『みんな、絵本から』(文・柳田邦男、講談社)、『CD絵本 空より高く』(作詞・新沢としひこ 作曲・中川ひろたか、クレヨンハウス)などがある。