新型コロナウイルスの感染拡大に伴った営業自粛要請のダメージから、全国のライブハウス、ミュージッククライブ(ライブバー、ライブカフェ、DJバーなどを含む)はいまだに立ち直れておらず、それどころかすでに廃業を余儀なくされた店舗や、年内の営業継続が難しい店舗も多く出始めている。
この度、SaveOurSpace、一般社団法人ライブハウスコミッション、クラブとクラブカルチャーを守る会など、音楽ベニュー関係の10団体で全国的にアンケートを実施し、その集計結果をまとめた(総回答数 433件、有効回答数 410件)。
「今の状態が続いた場合、今後のライブハウス/クラブ運営の見通しを教えてください」という質問(設問 32)に対しては、「1ヶ月もつか分からない」が1%、「3ヶ月もつか分からない」が15%、「半年もつか分からない」が44%、「1年もつか分からない」が31%と、91%が1年以内の見通しが分からないという大変厳しい結果となった。
4月、5月の売り上げについては約半数の店舗が「売上予想比で10割減収だった」と回答しており(設問11)、4〜7月にかけてはおよそ8割以上の店舗が「売上が店の維持費を下回った」と回答している(設問14)。
また、売上補填の選択肢として注目を集めているライブ動画配信についても、「ライブ配信での売上は通常時の売上と比較して10%以下」と回答した店舗が43%、全体を見ても95%の店舗においてその売上は50%以下にとどまっているのが現状だ。
「国や地方自治体からの支援が十分だと思いますか」という質問(設問19)に対しては、43%が「まったくそう思わない」、32%が「あまりそうは思わない」と回答し、「ややそう思う」6%、「とてもそう思う」1%を大きく上回る結果となった。
加藤梅造(ロフトプロジェクト代表)コメント
今年2月にイベント自粛が要請されてから約半年後のライブハウス/クラブの現状を調査した結果、予想以上に厳しい現実が数字とコメントで明らかになりました。
売上は4月、5月は9割から10割減、自粛要請が解除され営業が再開した6月19日以降も7〜9割減の状況が続いています。思うようにライブができない中、多くの店が始めたオンラインのライブ配信も、その売上げは従来の10%程度です。国や自治体からの支援も行き渡っておらず、とても十分とは言えません。今の状態が続いた場合の見通しとして、5割以上の店が半年もたない、そして実に9割以上のライブハウスが1年もたないと答えています。
一般的にライブハウスやクラブは小規模経営の店舗がほとんどで、出演するアーティストはもちろん、音響・照明・舞台など関わるスタッフもフリーランスが多く、なかなか実態が見えずらい業界ですが、今回のアンケートからは「もう限界値に来ている」という悲鳴にも近い現実が見えてきます。冬場を迎え、再び事態が悪化しないかという恐怖に脅えながら、それでも多くのライブハウスやクラブが踏ん張っているのは、いま音楽が鳴る場所を絶やすわけにはいかないという切羽詰まった思いだけなのかもしれません。政府や自治体にはこの状況を迅速に改善できるような実行性のある政策の実現を望みます。