日本を代表する作家、 三島由紀夫。 今年は三島が没してから50年となる記念の年。 三島の主要作品を刊行してきた新潮社の取り組みを一挙にご紹介。 (敬称略)
新潮文庫全作品のカバーリニューアル
これまで新潮文庫の三島由紀夫作品の装幀は、 白地にオレンジ色の文字を配したおなじみのデザインと、 写真を使ったデザイン、 そして絵を使ったデザインが混在していました。 没後50年を機に、 金銀箔をほどこし、 デザインを統一。 名作にふさわしい色味と輝きを吟味し、 華やかでノーブルな装幀に仕上げている。 ぜひ店頭でチェックしよう。
秘蔵「肉声」音源の限定公開
特設ウェブサイトでは、 三島が「わが友ヒットラー」を朗読した秘蔵音源を限定公開。 10月30日、 こちらのURLからアクセスが可能。
豪華執筆陣による解説を新収録
以下の作品には、 豪華執筆陣による新解説を収録。 次の50年に三島を読む導きとなるもの。
『愛の渇き』石井遊佳(作家)
『金閣寺』恩田陸(作家)
『春の雪 豊饒の海(一)』小池真理子(作家)
『花ざかりの森・憂国』佐藤秀明(日本近代文学者)
『潮騒』重松清(作家)
『宴のあと』辻原登(作家)
『真夏の死』津村記久子(作家)
『仮面の告白』中村文則(作家)
『午後の曳航』久間十義(作家)
『サド侯爵夫人・わが友ヒットラー』平野啓一郎(作家)
『禁色』森井良(フランス文学者)
新編短編集『手長姫 英霊の声 1938 -1966』を刊行(10月28日発売)
短編の名手でもあった三島の短編集を新たに編み、 刊行。 三島がはじめて小説を書いたのは日中戦争が泥沼化していく1938年、 13歳の時。 本書は、 その処女作「酸模(すかんぽう)」から、 時代の流れにそって各年代から九篇を精選。 二十代の作品からは奇癖をもつ女を描く「手長姫」や兄妹の異様な短篇「家族合せ」、 虚ろな日本人の姿を切り取った「S・O・S」、 三十代は技巧冴える「魔法瓶」、 怪談「切符」、 四十代の問題作「英霊の声」など。 いずれも新潮文庫初収録の作品。
「芸術新潮」12月号特集は「21世紀のための三島由紀夫入門」(11月25日発売)
三島の命日に発売される「芸術新潮」12月号の特集は「21世紀のための三島由紀夫入門」。 昭和、 平成が終わった今、 三島由紀夫の作品と人生はどのように読まれ得るのか、 これから三島文学と出会う若い人たちに向けて、 新たな入門篇となる特集。 アーティストたちの語り合う「三島由紀夫」像は新鮮で必見。
特集目次
「杉本博司、 森村泰昌、 柳幸典、 会田誠、 小田原のどかーーアーティストたちから三島由紀夫への手紙」
「グラフ 三島由紀夫ポートレイト」 細江英公「薔薇刑」から、 愛猫とたわむれる珍しい写真、 東大全共闘討論会スナップまで、 イメージの中の三島由紀夫の魅力を探る。
「三島文学の森を歩く」 (選・解説 平野啓一郎)三島由紀夫の小説や戯曲、 評論の中から作品15本を厳選。 三島文学の深い森の中へ分け入り、 踏破するための一本の道を平野啓一郎氏の案内で歩く。
「美輪明宏、 高橋睦郎、 横尾忠則が語る いまむかし三島由紀夫」 生前の三島と交流があり、 かつその後の半世紀を表現者として歩み続けた3人がそれぞれに語る三島。
「年譜 三島由紀夫と昭和」 (解説 白百合女子大学教授・井上隆史)
「エッセイ 俳優としての三島由紀夫」 (文 四方田犬彦)
「新潮」12月号特集「三島由紀夫没後五十年」(11月7日発売)
三島由紀夫が遺作『豊饒の海』をはじめとする傑作を多数掲載した文芸誌「新潮」ももちろん三島由紀夫を特集します。 文学シーンの最前線を走る作家たちによる、 三島トリビュート競作「私の『仮面の告白』」、 そして評論と貴重なエッセイを掲載。
創作・私の『仮面の告白』
上田岳弘「下品な男」/高山羽根子「その一匹を殺したのは誰か」/舞城王太郎「檄」/三国美千子「お面」
評論
平野啓一郎「『豊饒の海』論 第一回」(短期集中連載)/大澤信亮「平岡少年とキリスト」/鈴木涼美「ニセモノの少女」/浜崎洋介「『われら』への道」
特別エッセイ
黒田夏子「あくるとしの三十三さいたち――『定本三島由紀夫書誌』制作のころ」