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ナレーター東出昌大が取材で的確な三島観を披露して驚いた
「学生達が起こした国を麻痺させるほどの騒乱」、そして「ノーベル賞クラスの作家が武装蜂起に失敗し割腹自殺」という今の若者にとっての「日本戦後史2大疑問」が激突し火花を散らす。この長年文章でしか読めなかった伝説の論戦が、本作で生々しい映像として立ち上がる。論戦はハイレベルな知と知の対決だが、映画では適宜解説が入り理解の助けとなるし、流れもよく整理されている。当時の騒乱の映像を観るだけでも価値はあるし、50年経った為に出てくる新事実にも驚かされる。これから長年秘められていた三島の様々な新側面も明らかになってくる事に期待したい。まずはこの討論の全映像を観てみたいところだが…。新型コロナ渦中でも劇場は盛況な本作、観客は当時を知る中高年層が多い印象を受けた。しかし、三島でも学生運動でも「でっくん」でも興味を持つきっかけはなんでもいい。また違った混乱に遭っている現代の若者こそ観るべき映画だ。(多田遠志)