パリ・オペラ座、 ミラノ・スカラ座、世界有数の歌劇場で喝采をあびた名作がキャストを一新し、 三島没後50周年というメモリアル・イヤーに新たな姿をみせる。
2020年は三島由紀夫の没後50周年。 映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』のロングラン・ヒットも記憶に新しく、 コロナ禍で制作された舞台『MISHIMA2020』には今をときめく豪華俳優陣が集い、 改めて”三島由紀夫”という巨星の輝きを再確認させるものだった。 三島由紀夫に関連した、 今年上演される一連の芸術作品の掉尾を飾るのが、 東京バレエ団による『M』 。 国内のみならず、 パリ・オペラ座、 ミラノ・スカラ座、 ベルリン・ドイツ・オペラなど、 世界の著名な歌劇場でこれまでに上演を重ね、 絶賛を博してきた。
タイトルの『M』は三島のイニシャルであり、 振付家モーリス・ベジャールの「M」であり、 三島作品を語るうえで欠かせない”海”をあらわすフランス語の「Mer」、 そして「死=Mort」など、 複合的な意味をこめてつけたものだとベジャールは語る。
振付家ベジャールは 「私は詩人を愛するためにこれを創作した」 と生前語っており、 本作はこの偉大な作家の生涯や著作を物語るのではなく、 三島由紀夫の人生・文学・思想・美学をまるごと一つのバレエにするという、 大胆な試みのもとに創作された。 作品中には『金閣寺』、 『鹿鳴館』、 『禁色』、 『仮面の告白』そして『豊穣の海』など、 様々な作品を想起させる場面がもりこまれ、 まるで美しい絵画のような場面が次々と展開し、 やがては三島の自決へとつながる壮大なドラマをみせる。
本作の上演にあたり、 東京バレエ団では1993年の初演時に「IVーシ(死)」の役を演じた小林十市(元モーリス・ベジャール・バレエ団)をはじめ、 初演時から作品に関わってきた5名がリハーサルを指導。 バレエ作品では珍しく、 上野水香 、 柄本弾 をはじめ、 バレエ団のプリンシパル(最高位ダンサー)が全員同じステージにたつ という、 まさに56年の伝統を誇る東京バレエ団の総力を結集した舞台。 また、 演奏には日本を代表するピアニストの一人、 菊池洋子 も特別に参加することが発表された。 10年ぶりに蘇る傑作『M』。 今年随一の見逃せない舞台。
Live Info.
東京バレエ団 モーリス・ベジャール振付「M」
2020年
10月24日(土)14:00 東京文化会館
10月25日(日)14:00 東京文化会館
11月21日(土)15:00 神奈川県民ホール