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【復刻インタビュー】ちわきまゆみ&森若香織('99年11月号)- 俺らの生き様、見ておくんなせえ

1999.11.13

女性ツインボーカル......なんて豪勢な響きなんだろう。しかもそのふたりが、80年代から女性ロッカーとして常に最先端を走り続ける、ちわきまゆみと森若香織のお二人とくれば、まさに盆と正月が一緒に来たような贅沢ではあるまいか。それぞれがアルバム「ポッパーモスト」と「W RainboW」を同時期に出したという理由で実現した今回だけの特別ライブは、EL-MALOのアイゴンをはじめバックもモストなメンツ。これを観ずして何を観る! 11/28は迷わず新宿ロフトへ集合すべし!(Interview:加藤梅造)

バンド派 vs 宅録派

──今回、対バンという形じゃなくて、二人で一緒にやろうと思った理由は?

ちわき:森若が途中でBGMが流れたりするのがイヤで、一気にやりたいと。

森若:待ってる間って疲れちゃうの。あと、一緒にコーラスとかもやりたかったし。

──もともと仲良しなんですよね。

森若:仕事じゃなくて遊びのほうが多いよね。

ちわき:一時期は、つき合ってるんじゃないかっていうぐらい会ってた(笑)。

──ちわきさんも森若さんも、80年代から女性シンガーとして目立つ存在でしたが。

森若:ちわき、目立ってた! 私はすごい好きでよく観に行ってた。

ちわき:私もよくゴーバンズは観てましたね。

──お互いにファンだったと。ライバル視したことはないんですか?

森若:ライバル!? 「負けたくない!」とか?(笑)

ちわき:スポーツみたい(笑)。それは全然ないなあ。自分はソロだったから、ゴーバンズを観ると、「ああ、バンドっていいなあ」ってうらやましく思ってました。

森若:わたしは単純に、ロックの女の人って感じで好きだった。

──森若さんもゴーバンズ解散後はソロとしてやってるわけですが。

ちわき:香織ちゃんがソロになった時、「いらっしゃい。一人の世界に」って言ったの。

森若:そう。それで「いやだなあ」と思った(笑)

ちわき:一人は大変だよ、全部自分でやらなきゃならないんだよって。

森若:そうそう。脅されたの。でもバンドのほうが楽しい。だから今回もライブはみんなでやりたいなって思って、「やろうやろうやろう」って誘ったの。

ちわき:私は森若に誘われるまで、ライブをやるつもりはなかったんです。

──そのへんは、バンド派と宅録派との違いですかねえ。

ちわき:なのかな。やっぱり彼女はライブがすごい好きだから。今回、私こんなにFULLに歌うの11年ぶりだから。どうしましょう、みたいな(笑)

──練習してるんですか。

ちわき:それはまだです。曲順だけ決めたの。おととい二人で。

森若:しりとりみたいに。

──しりとり?

森若:別々のアーティストの曲を交互にやるのって難しいんだけど、それがすんなりつながったの。

ちわき:碁みたいですよ。その手できますか。じゃあ、私はこれで、みたいな。

──じゃあ、勝負はライブまでもちこしですね。

森若:「勝負ライブ!」(笑)

ちわき:それもいいわね。

人力宅録ロックンロール

──「ポッパーモスト」についてですが、これは85年から88年までの間の音源に限定されてますよね。僕はこのころ高校生だったんで、すごく懐かしかったんですが、同時に今聴いてもまったく遜色ないですね。

ちわき:たぶんそうだろうなと。時代感が、今これを出しても大丈夫になったのと、あと、中古盤屋とかで探すと、この頃の自分のレコードが結構あるんですよ。しかも高い。だから、ここらで一回一枚にしたほうが、みんなのためだと(笑)

──当時の最先端のものって、今聴くと結構恥ずかしかったりするんですが、これについてはそんなところがないですね。

森若:あのねえ、メロディーがいいんだと思う。私はこれを聴いて、すぐちわきに電話して感想を述べたんです。それでライブやりたいなって思ったの。存在として「ちわき様はやるべきだな」と思って。しかも自分も一緒にやろうと(笑)。

──当時、そういうポップな部分をどのぐらい意識していたんですか?

ちわき:これは世界一ポップだと思ってやってたんです。でも今ふりかえると、マニアックでしたね。とにかく音で埋めたいっていうのがあって。私と岡野くんは、はじめて作ったレコードだったから、空いてるところは全部アイデアで埋めてしまった。

森若:それすごいわかる。持ってるアクセサリーを全部つけるみたいな。

ちわき:だからこれはすごいジャンクで、8チャンの宅録からやってますから、今考えると「人力宅録ロックンロール」ですね。今だったら一発でできることを、何回も手間をかけてやってるから。そういうふうに聴いても面白いと思いますね。

──レコーディングの現場とか大変そうですね。

ちわき:すごかったですよ。岡野くんも私もお互い思うのは、二度とやりたくないっていう(笑)。今ならもっと楽にできるからね。

──ありあまる情熱をすべて注ぎ込んだという感じですね。

ちわき:当時、世界で自分たちが一番ポップだし、私たちの周りにある才能が最高だって信じてやってた。それは今でも、そう思いますね。

森若:それは端から見てても「この軍団はすごい」ってわかりました。だから私はちわきと岡野さんのやってることを、オタクなりに研究してましたね。

カンと瞬発力のロックンロール

──では「W RainboW」についてですが、ミニアルバムだからこうしよう、っていうのは何かあったんですか?

森若:うーん、そうだなあ。あんまりない、かな(笑)。

ちわき:森若さんは計画性がないですから。

森若:そういう才能ないの。だからいつも行き当たりばったりで、後からつじつまを合わせるの(笑)。

ちわき:だって、二重の虹を見たから「W RainboW」って、普通そういうふうにアルバムタイトルつけますか?

森若:そうなの。私は、「カンと瞬発力のロックンローラー」なので(笑)

ちわき:だから、突然連絡がとれなくなったりするのね。地下に籠もるみたいな。それで3ヶ月くらいするとシャバに戻ってくる(笑)。

──でも、やりたいことは絶対にやるってタイプですよね。

森若:そう。私が「やりたいやりたい」って言って、それを誰かが仕切ってくれるのが理想ですね。

──今回その役割にあたるのが、アイゴンさんになるわけですが。もともとアイゴンさんは、ゴーバンズのファンだったんですよね。

森若:ファンかどうかは知らないけど、オーディションに応募してきたので知り合ったの。19歳で、ちょーかわいかったんだよ。未成年者だから落としたんだけど(笑)。

──その話を聞いて、ああ森若さんも人を育てる立場になったんだなって思ったんです。

森若:いやあ、勝手に育ったんだよ。

──じゃあ、親父の背中を見て育ったんだ。

森若:(笑)だから、うまく言えないけど、若い時にガーっと出ちゃうような人が、音楽が好きだったらどういうスタンスでどういうふうにやればいいのかって事を知るのに少しは役立てばいいな、と思う。

──では、定番ですが、ライブに向けて一言。

ちわき:できたら若い女子男子にも来てもらいたいので、私たちの名前だけを知ってる人も、恐くないですから是非来て下さいね。見てるだけで楽しいと思うから。私も森若も、すごくみごたえのあるシンガーだから、それが同時に観れるというのは、とてもおもしろい現象だと思うんですよ。

森若:うん。ライブって、演奏だけじゃなくて視覚でも楽しめる音楽の唯一の方法だから。あとは、「俺らの生き様、見ておくんなせえ」って感じかな。

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