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トップインタビューKRB(Keith Ragtime Band)- KEITH自ら"最後のバンド"と語る、ARBの楽曲を伝承していくバンドが待望の本格始動

KEITH自ら“最後のバンド”と語る、ARBの楽曲を伝承していくバンドが待望の本格始動

2026.10.01

 社会の底辺で生き、日々の労働に従事する人々の葛藤や苦悩を赤裸々に描いた、気骨ある"WORK SONGS"が絶大な支持を得たARB(Alexander Ragtime Band)が活動休止となったのは2006年3月のことだった。それから20年ものあいだ、ARBが残した不朽の名曲はKEITHの芸能生活40周年記念ライブ(2013年)やバンドのデビュー40周年記念ライブ(2018年)、2025年以降に毎年行なわれているKEITHの生誕祭ライブなど折々に息を吹き返すことがあったものの、継続的に演奏される機会には恵まれなかった。唯一のオリジナルメンバーとしてARBの楽曲を後世へ伝えることを自身の使命とし、ずっと待ち続けてくれるARB KIDSのことを常に第一に考えてきたKEITHとしては実に口惜しい歳月だったはずだが、ついに機は熟したと言っていいだろう。WOLF & THE GOODFELLASのWOLF(vo)とシズヲ(gt)、4-STiCKSの柳沼宏孝(ba)、そしてKEITH(ds)から成る"Keith Ragtime Band"="KRB"の結成である。彼らの実質的な活動開始宣言となるこのインタビューでは、KEITHの悲願だったバンド結成に懸ける思いとそれに応えるメンバーの心意気が語られている。ARBの屋号を頑なに守り抜いてきた男が至高の"ARB SONGS"を蘇生するに相応しいと認めた無二の面子、彼らの奏でる"WORK SONGS"の最新形にぜひ期待していただきたい。(Interview:椎名宗之)

ARBの楽曲を本来の形のままやりたい、そのまま残したい

──WOLFさんとシズヲさんが遅れていますが、先に始めましょう。今年の6月11日にKEITHさんがX(旧Twitter)で「元気なウチにARBの楽曲を伝えていく為に熱い漢達と新バンドを作り全国を周りたいと決意しました」と宣言し、その動向が注目を集めていますが、ついに正式な発表を伝える準備ができたということで。

KEITH:ようやくね。パーマネントのバンドをやりたいとずっと思ってたし、残された時間もあまりないから。今までセッションはいろいろとやってきたけど、自分が本当にやりたいバンドをどうしても作りたかった。

──ARB第3期のギタリストだった白浜久さんがさる7月18日に亡くなったこともありましたし……。

KEITH:とても残念だった。サンちゃん(シンコーミュージック独立後から第2期前半までのベーシスト、野中“サンジ”良浩)もそうだし、時間が限られているのを意識せざるを得ない。抜けた人たちもそれぞれARBの曲をやってるけど、俺からすると、今の自分の解釈でやりたいようにやってるように見える。俺はARBの楽曲を本来の形のままやりたいし、そのまま残したい。

──柳沼さんはKEITHさんから新バンドの構想を受けて、二つ返事で応えたんですか。

柳沼:いや、最初は丁重にお断りしました。あまりに畏れ多いし、荷が重いですから。

KEITH:だけど『MINAINO ROCK FESTIVAL』や自分の生誕ライブでここ数年ずっと一緒にやってきてるし、俺としてはヤギちゃん以外に考えられなかった。

柳沼:そう言っていただけてとても光栄ですが、その場限りで終わるセッションと継続していくバンドは違うじゃないですか。

──今年の『MINAINO ROCK FESTIVAL』が終わった直後にKEITHさんから連絡があったとか。

柳沼:「バンド名を考えてよ」とKEITHさんが言うので「何のバンドですか?」と聞いたら、新しいバンドを組むと。メンバーを尋ねたら「ヤギちゃんと……」って言われて、ちょっと待ってくださいと(笑)。そこからKEITHさんが構想するバンドの話を聞いたんです。

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──ARB唯一のオリジナルメンバーであり、バンドの屋号を背負い続けてきたKEITHさんからご指名を受けるなんて、とても名誉なことじゃないですか。

柳沼:だからこそなんですよ。KEITHさんと共にARBの楽曲を守り継いでいきたい“自称ARB”はいっぱいいらっしゃるし、その人たちから僕は罵声を浴びることになるので(笑)。

KEITH:でももう何度も共演してるし、こっちの気持ちもわかるじゃない? 阿吽の呼吸というかさ。

柳沼:まあ、5、6年はご一緒してますからね。

KEITH:もちろん誰でもいいってわけじゃないし、自分にとって最後のバンドは気持ちが合う人と一緒にやりたい。もう悩むのはイヤなんだよ。ARBの楽曲を本来の形で残したいという俺の気持ちに納得してくれる人じゃないとダメだし、楽曲に対する理解もないとダメ。面白いのは、同じARBの曲をやるにも弾く人によってニュアンスが変わるし、全く同じにはならない。それを去年と今年の『MINAINO ROCK FESTIVAL』で確認できたから、このまま同じメンバーでバンドを続けていきたいと思ったわけ。

──こうして新たな形で不朽のARBナンバーを届けることに異を唱える人たちがいるかもしれないけど、KEITHさんとしてはそうした意見も甘んじて受け入れますと?

KEITH:うん。やめたメンバーもいろいろ思うところがあるだろうけど、ARBの曲を伝えていくのが俺の使命だから。

──なるほど。KEITHさん、WOLFさん、シズヲさん、柳沼さんという、去年と今年の『MINAINO ROCK FESTIVAL』におけるKEITHバンドを経ての新バンド結成なわけですね。

KEITH:そうだね。曲に対するアプローチも各自わかってくれてるし、これでもうバンドを続けていける、このメンバーしかないと思った。去年はちょっとぎこちないところもあったけど、今年はばっちりだった。WOLFもシズヲちゃんもただ取り組むだけじゃなく、純粋にARBの曲が好きでやってくれるし、何回も一緒にやってるうちにその思いが伝わってくる。曲に込めるそれぞれの熱い思いがね。

ずっと待ち続けてくれたARB KIDSのために

──柳沼さんからすると、WOLFさんは大先輩ですよね。

柳沼:僕が18の頃から知ってます。WOLFさんはMACHIN-GANが終わってZETTが始まる頃かな。初めて観たのは西新宿LOFTでG.D.FLICKERSのオープニングアクトをZETTがやったときですね。シズヲは向こうが1個上なんだけど、バンド歴はこっちが上。西新宿LOFTという名の小滝橋大学出身で僕がずっと一番の末っ子なんです(笑)。

──バンド名は決まったんですか。

柳沼:一度、この4人で集まったんですよ。そこでいま聞いてもらったような質問をKEITHさんにしたんです。なぜ僕らが選ばれたんでしょう? みたいなことを。いくらKEITHさんという御大がいても、罵声を浴びるのは僕らなんですよ、って(笑)。でもKEITHさんから新バンドの構想を聞き、そこまで言っていただけるのは光栄なことだし、ここはお引き受けしようと全会一致で決まりまして。バンド名についてはその後、WOLFさんが一晩考えてから連絡をくれたんです。「ヤギ、“KRB”(Keith Ragtime Band)でどうだ?」って。KEITHさんはオリジナルメンバーだけど、僕らはARBをリスペクトする立場だから、“Respect ARB”みたいな感じがいいんじゃないかと僕は思ってたんですよ。UP-BEATの楽曲を演奏するバンドとして、広石(武彦)さんが“Respect UP-BEAT”と名乗ってるみたいに。でもWOLFさんの言うKRBというネーミングを聞いたときに、ドンピシャだなと思って。それが一番わかりやすいと感じたし。

──KEITHさんもKRBに異存はないと。

KEITH:俺は正直、名前は何でもいいのよ。ただ俺の名前を全面に出すのはちょっと恥ずかしい。あくまでバンドだし、バンドというのは4人で一つの集合体だから、俺一人が前に出るのは違和感がある。

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──KEITHさんらしいですね。今回の新バンド結成も、「朗報!! 今まで支えてくれたARB KIDSの皆さんへ」と真っ先にARB KIDSへ向けて報告をしていたのが常にファンのことを第一に考えるKEITHさんらしいと思ったんです。

KEITH:ずっとARBを支え続けて、待ち望んでくれてるわけだからね。脱退したメンバーもARBの曲をライブでやってるけど、俺は正統派って言うとおかしいかもしれないけど、楽曲本来の形で次の世代へ手渡ししたい。よく元のアレンジを変えて演奏されることがあるけど、ファンの人たちが望んでるのはそういう形じゃないと思う。そのままのイントロを奏でれば大きな歓声もあがるしさ。ローリング・ストーンズだってずっと同じアレンジでやってるでしょ? そういう俺の発想に共感してくれるメンバーをずっと探してた。

──リハーサルでスタジオに入ったりは?

柳沼:これからです。

KEITH:ステージは二度やってるし、持ち曲もあるから何の心配もない。

柳沼:確かにしっくりきたというか、グルーヴが確立してきてるのは自分でも感じたんですよ。

KEITH:今年の『MINAINO ROCK FESTIVAL』を観た人が「去年と変わってしっくりきた」と言ってくれたし、俺自身もそう感じた。これならいけると思ったし、俺自身がもうこれ以上待てないって感じだった(笑)。新しくバンドをやるのは俺の夢だったから。

柳沼:僕もARB KIDSの皆さんから身に余る言葉をかけていただいたんですよ。「自分のベースはオマケみたいなものです」と自虐的に言ったら「そんなこと言わないでください」とARB KIDSの方にお叱りを受けて、今のKEITHさんとのリズムセクションを誉めていただきまして。KEITHさんが常に大事にしてきた、ARBを待ち続けてきた人たちから言われたことって一番重要だし、響きますよね。

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