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INTERVIEW

トップインタビューエミとゲル - オリジナル・アルバム3作目は「1969年に公開された映画『太陽の猫たち』のオリジナル・サウンドトラック・アルバム」(というコンセプト・アルバム)

オリジナル・アルバム3作目は「1969年に公開された映画『太陽の猫たち』のオリジナル・サウンドトラック・アルバム」(というコンセプト・アルバム)

2025.12.02

急遽、和製マージービートにも挑戦

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──さらに、かなり意外なのは初期ビートルズ・サウンドっぽい「のっぽのミッシェル」ですね。ゲルさんのビートルズ好きはどれくらいなのでしょうか?

ゲル:サウンドエンジニアとして、例えば「64年のギターで66年のスネアで68年のキックで69年のベースのサウンド」の注文に応えられるくらい好きですね(笑)。ただ今まで直接的にビートルズ風の作曲をしていなかったことに気づきました、アルバム制作中の最後に。エミとゲルとしても、スパイダースをはじめ多くのGSが挑戦している「和製マージービート」を1曲くらいは書かないと……ということで急遽追加した曲です。

──エミさん、今回のレコーディングで印象に残ったところなどがあれば教えてください。

エミ:毎度のことながらゲルさんの的確なディレクションでスムーズに進んだので、特別なエピソードが少ないんです。テストで歌って、ここはもうちょっとこうかな、よしいこー、ハイオッケー、じゃ次〜、といったテンポ。レコーディングってOKが出ても時間の許す限り何度も録り直したくなってしまうけど、ゲルさんがオッケーって言ったら間違いないので、各曲歌ったのは2回くらいです。エミとゲルのバンマスとしても、エンジニアとしても、それほど信用できるお方! ということですね。

──2023年4月にファースト・アルバム『ゴールデン・ヒット1965–1971』、2024年2月にカバー・アルバム『クリーム・ア・ゴーゴー』、同年11月にセカンド・アルバム『魅惑のエミとゲル~ヒット&モア』、そのほか7インチ盤やLPレコードなどもあり、コンスタントにリリースがあるわりにはライブの本数は少ないですが、どちらかというとレコーディング・アーティストというスタンスなのでしょうか?

ゲル:ライブももちろん好きなのですが、本業がレコーディングエンジニアということもあり、どうしてもスタジオワークに注力しがちになってしまいます。

エミ:ゲルさんが多忙な分、私はよくバーやライブハウスで、エミとゲルの曲を歌うソロライブをやっています。

──2025年6月に開催された『デビュー60周年記念公演~下北沢の奇跡』は、タブレット純さん、元ファントムギフトのナポレオン山岸さんのゲスト二人を迎えて開催され、大変盛り上がったようですね。印象に残っていることがあれば教えてください。

ゲル:もう何度も御一緒していますけど、プロとして場数を踏まれたお二人なので細かい打ち合せは不要だし、本番はやはり圧倒されましたね。

エミ:ナポレオン山岸さんは伝説のギタリストなので、どんな曲でもナポレオンスタイルのプレイでした。お酒の呑みっぷりも相変わらず(笑)。

──エミさんはタブレット純さんとは個人的に古くからの仲とのことですが?

エミ:芸人になる前の田渕純時代、もう20年くらい前かしら。私がドラムを叩いていた女性バンドにボーカル「田渕純子」として加わってライブをやったりお酒を飲んだりしていました。(プロデューサーの)サミー前田さんが女装を勧めたらそれ以来、目覚めてしまったみたいで……。

──2026年2月1日東京フラワーズロフト、1月24日名古屋TOKUZOで開催される発売記念公演、これはどんなステージが期待出来そうでしょうか?

ゲル:今回のアルバム中心のセットリストになりますので、今までで一番GS色、ガレージパンク色が強いステージになると思います。

──次回の東京では、ギャランティーク和恵(星屑スキャット)さんがゲスト出演します。ゲルさんは過去に楽曲提供されたとのこと。

ゲル:はい、和恵さんのアルバム『Urban Lights』(2022年)に「今だけ抱きしめて」という80年代AOR風楽曲を提供させていただきました。次回、再度の共演がかなって大変嬉しいです!

エミ:和恵さんは、エミとゲルの初ライブ(2022年1月22日名古屋TOKUZO)にも出演していただいたし、和恵さんが経営するゴールデン街の「夜間飛行」も大好きなお店です。

──お好きなサウンド・トラック・アルバムがあれば教えてください。

ゲル:『黄金の七人』『ザ・ナック』『パルプ・フィクション』『プレイガール&プレイガールQ〜ミュージックファイル』『ルパン三世 '71 ME TRACKS』。あと90年代に発売された邦画劇伴の編集盤『GO CINEMANIA REEL』シリーズには多大な影響を受けています。

エミ:タイガース『世界はボクらを待っている』、『スパイダースの大進撃』、オムニバスの『Mera…Mera Mera』あたりはずっと好き。

──録音に使われたゲルさん所有スタジオはヴィンテージ機材が揃ったスタジオで、これまでにいろんなアーティストが録音しています。今回の録音でエンジニアとして苦労話があれば教えてください。

ゲル:今回のアルバムは「映画の撮影スタジオで、少ないマイクをミュージシャンが囲んで一斉に演奏、録音した」という設定があるので(笑)、それ風のサウンドになるよう心掛けました。実際は私が多重録音しているのですが……。ドラムはたった1本のマイクで録っています。

──最後に、これからエミとゲルを聴く新しいリスナーにメッセージをください。

ゲル:我々を糸口に、素晴らしき「昭和40年代カルチャー」の世界に分け入ってもらえたなら、これ以上の喜びはありません!

エミ:昭和の文化に詳しくない人も詳しい人も、どちらでも楽しめるアルバムだと思います。お酒のオトモにも最適。踊りながら聴いてね。

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エミとゲル『太陽の猫たち』

発売日:2025年12月3日(水)
レーベル:P-VINE / VOLT-AGE
品番:PCD-27096
フォーマット:CD28頁ブックレット付 / 各配信
価格:2,700円(税込2,970円)

【収録曲】
①太陽の猫たち
②甘く甘くハートが
③サイケデリックNo,1
④のっぽのミッシェル
⑤劇伴その1
⑥思い出に一人ぽっち
⑦トッペツニャーモン
⑧劇伴その2
⑨男と女のシャロック
⑩ヘイ・リトル・ベビー
⑪浜辺のイエイエ
⑫劇伴その3
⑬メス・アラウンド
⑭女が死んで行く時に
⑮劇伴その4

LIVE INFOライブ情報

エミとゲル太陽の猫たち.jpg

エミとゲルのアルバム『太陽の猫たち』発売記念公演
【出演】エミとゲル(松石ゲル vo,g / エミーリー vo,ds / 千晃 key / ジミー岩佐 b / NOAH g / なつき ds)
【ダンサー】パラレルシスターズ
【日時】2026年1月24日(土)17:00開場 / 18:00開演
【会場】名古屋|今池TOKUZO
【チケット】前売予約¥3,500+オーダー
*公演詳細はこちら
 
エミとゲルのアルバム『太陽の猫たち』発売記念公演
【出演】エミとゲル(松石ゲル vo,g / エミーリー vo,ds / 千晃 key / ジミー岩佐 b / NOAH g / なつき ds)
【ゲスト】ギャランティーク和恵
【ダンサー】パラレルシスターズ
【DJ】サミー前田
【日時】2026年2月1日(日)17:45開場 / 18:30開演
【会場】東京|下北沢Flowers Loft
【チケット】前売予約¥3,500+オーダー
*公演詳細はこちら
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