音楽に対してあきらめてなんかいない。『JAPANIFESTA Ⅹ(テン)』でその決意を見て欲しい
──では、9月15日に新宿LOFTで開催する『JAPANIFESTA Ⅹ』について伺っていきましょうか。
松本:『JAPANIFESTA』という自主企画を3〜4回やってきましたが、これまでやらせていただいていたライブハウスがコロナ禍でなくなってしまったりして……コロナの期間というのはやっぱり切なかったですね。その切なさと、大変な時期を経ても(ライブに)来てくれる方がいますし、これまでのありがとうを内包して。ファンの方にはお馴染みのタイトルだと思ってますし、自主でやるんだったらやっぱりこのタイトルだなと。新宿LOFTで『JAPANIFESTA』の開催は初になりますけど、声をかけてくださる新宿LOFTという存在もありがたいですし。今、8人で集まれていることも奇跡に近いと思ってますし、あの頃のようにまたやれているのが僕はとても嬉しくてありがたい。これは当たり前じゃないと思っていて、そういういろいろな感謝の気持ちも込めてやりたいと思っています。
──そして紹介には“10周年、テンキュー”の文字が躍っていますね。
松本:そうなんです。気付いたら10年、ブランクがあったせいもあるんですけどあっという間でした。なのでブランクの時期を抜くと5年ぐらいではありますけど、とても濃い5年間を過ごしていたと感じてますね。YouTubeの本数もそうですけど、濃かったがゆえにブランクをあまりブランクとも感じていないというか。(ブランク後の)皆の空気もすうっと元に戻りましたし。ずっと地続きで続いていて、止まった感じが今はしてないんですよね。
──良いですね! では、今回ご一緒するバンドもご紹介ください。
松本:まずBuzz In FIVEの皆さんは、LOFTで出会わせてもらった縁のあるバンドで。今年2回、LOFTで共演をさせていただいてますけど、リハを見た時にもうビビビと来て“カッコいいな”と思ってしまいまして。(今回の)オファーも二つ返事でご快諾をいただきましてメチャクチャ嬉しかったですし、LOFTにも恩返しができたらなと思っています。SURFING in United States of America(SUSA)は活動歴がけっこう長いんですけど、ボーカルの井野洋樹さんはもともとYOGURT-poohというバンドで一世を風靡しまして。井野さんもずっと、ちゃんと音楽を続けておられて、前回『JAPANIFESTA』を開催した2017年の時は井野さんが参加されている企画バンド(電化ジェイ=ピーズ)で出ていただいて、それがきっかけで井野さんにすごく可愛がってもらえるようになりまして。井野さんのバンドってすごくカッコよくて憧れの大先輩ですけど、せっかく新宿LOFTでやらせていただくイベントですし、今回も井野さんにも出て欲しいなとお声がけをしたらこちらも二つ返事で。20代の若いバンドと、大先輩のバンドにも出ていただける。僕らがちょうど間の世代ぐらいで、僕が影響を受けたものとこれから時代を作っていく世代を企画の中に内包したかったんですよね。時代を表現できる意味のあるものにしたかったのでこのラインナップにさせてもらいましたが、僕にとってはものすごく、夢のような1日ですね。
──意味のあるスリーマンですね。そしてお話を伺っていると、松本さんはJ-ROCKがだいぶお好きなんですね。
松本:めちゃめちゃ好きなんですよ、僕はJAPANIVISTAの前に4人組のロックバンドをやっていて、下北とかそれこそ新宿LOFTに出ているようなバンドに影響を受けてまして。新宿LOFTが当時レーベルもやっていたのでデモテープも送ったんですけど、それはフジファブリックがきっかけでしたしね。
──そんなエピソードがあったとは……そこからまさに、地続きで新宿LOFTに繋がってますよね。そしてこのイベント、祝日の昼開催というのもとても良いと思いました。
松本:これは本当に新宿LOFTに無理をお願いしてすごく調整をいただいて、非常にありがたいなと思っています。なぜこのお願いをしたかと言うと、この企画をやるという発表をした時に遠方の方が「行きたいけど、日帰りはできますか」と。そうなると、夜の公演を早めて始めたとしても日帰りは無理だなというところで。遠方の方が日帰りできる時間帯でやらせてもらえないものかとお願いをしまして。新宿LOFTの方には、頭が上がりません。
──それもファンの方々を思うからこそ、素晴らしいです。
松本:遠方の方もチケットを買って来てくれるみたいなので(笑)良かったです。当時(=活動休止前)僕らのライブに来てくださっていた方も、僕らのライフステージが変わってるということは皆さんも変わっているわけで、関東近郊から離れていらっしゃる方もいるわけですよ。今回はこの時間の開催で、少しでも来やすくなるといいなという思いで。同窓会のような感じになれば良いなと思ってます、久々に皆さんに会いたいなと。4年休んでまたライブをやるから来てね、なんて言うのはバンドの都合で勝手だとは思うんです。都合が良すぎると思うんですけど、それでも皆さんがいてくれるからこそ再会もできるし、皆さんがいてくれたからこそあの時代があるので。なので、成長できている今の僕たちを見ていただいて楽しんでもらえたらという思いを強く持っていますね。
──本当にファンの皆さんあっての思いが強いですね。
松本:本当に支えてもらっていました。20〜30人ぐらい集まって焼肉オフ会に自腹で参加してくれたりとか。ファンの方がメッチャあったかかったですし、思い出しても楽しかったなぁって。
──またこれから、“楽しい”を作っていきましょうよ!
松本:だから今回……来てくれたら嬉しいですね。この10周年をやったらまた活休するんじゃないの、10周年の記念で集まっただけでしょ、みたいに思っている方がいるような気がするんです。でもここからはできるだけ、それこそコロナのような不測の事態、未曾有の危機がない限りはちゃんと続けるつもりですので、これを機に続けてガンガン邁進していけたらと思っていますので。コロナで辞めてしまったバンド仲間も多くて、それもけっこうショックだったんですよね……仕方ないことなんですけど。僕らはしぶとく続けていきたいなと思ってます、だから編成が変わるなんて本当に大したことじゃないので(笑)。
──インタビューを通して、バンドが続いていくことしか考えてない。音楽への熱い思いがしっかり感じられました。
松本:そうです、やるからには本気でやりますし、覚悟がありますので。その熱量が届くものを作っていけたら良いなと思ってますし、『JAPANIFESTA Ⅹ』でお披露目する新曲もあります。さらに新曲をガンガン作っていこう、そういうモチベーションになっているのでなるべく早く皆さんの元に届けられるようにしたいなと思っています。それぞれ生活があるというお話はしましたけど、決して……趣味バンドとしてやっていないんですよ。やるからにはガチで売れなきゃということをメンバー全員が思ってます、売れたいです。その思いはずっと変わっていないんですけど、守るものがどうしても増えてしまって音楽をがむしゃらにやるのが現実的に難しくなる中で、それでも皆諦めてはいないですよ、っていう。いろんな生き方があると思いますし、社会人をやりながら音楽をやっているバンドも増えているけど、そういう彼らも趣味としてやってるわけではないと思うんですね。ライフワークとは言えど、ちゃんと音楽で生計を立てられたらこれ以上のことはないと思うので。そのぐらいの気概を持ってやってますし、あの4年を取り戻す勢いで頑張っていきます!