envyとOLEDICKFOGGYがツーマンツアー『DAWN HOPE TOUR 2025』を開催する。それぞれが独自の世界観を放ち、バンド自身がカルチャーとしてその存在を発信し続けてきた両バンドが2025年にツーマンツアーという形で交わることを、誰が想像していただろうか。まさに事件ともいえる今回のツアー開催に寄せて、envy深川哲也氏、OLEDICKFOGGY伊藤雄和氏の対談を決行。このツアーで何が起き、何が生まれ、それが何に繋がっていくのか。ぜひその目で確かめて欲しい。(Interview:柴山順次 / Photo:Chabo)
一緒にツアーを回ることでお互いの価値観を知り、ツアーが意味あるものになっていくのが一番良い(深川)
──今回のツーマンツアー、物凄く意外な組み合わせだなと思ったのですが、envyとOLEDICKFOGGYの出会いはどのような感じだったのですか?
伊藤:共通の知人もいたりしつつ、7年前くらいからenvyのギター信くん(河合信賢)と飲むようになって。
深川:逆に自分は最近まで全然面識がなくて。ギターのノブさんを通して話を聞いていた感じですね。
──深川さんはOLEDICKFOGGYの存在はご存知でしたか?
深川:バンドは知っていました。でも聴いたことはありませんでした。今回のツアーの話を頂いて、ちゃんと聴いてみた感じです。
──では、深川さんとOLEDICKFOGGYの出会いは本当に最近の話なのですね。
深川:そうですね。まだ1回しか飲んだことないです。
伊藤:俺はずっと聴いていましたけどね。好きだったので。一緒にやりたいなって思っていました。
深川:音楽的に合うかどうかはちょっと分からないと思い、「対バンすることでどういう相乗効果になるかな」と思いいろいろ考えたんですけど、広中さん(広中利彦|OLEDICKFOGGYマネージャー)からの強めのオファーもあり、一緒にやるのも面白そうだなと思いました。今は日本のバンドと国内で一緒にツアーを回ることも少なくなってきたので。
──今回のツアーが初対バンですよね?
伊藤:はい。初めてですね。
深川:ほとんど会ったこともないし、話したこともなかったので。でも一緒にツアーを回ることでお互いの価値観を知り、ツアーが意味あるものになっていくのが一番良いですよね。毎日顔を合わせてライブ後には飲むことになると思います。
──伊藤さんは念願のenvyとのツアーだと思いますが。
伊藤:もちろん僕も嬉しいですけど、お客さんが凄く喜ぶんじゃないですかね。うちとenvyって、とても意外じゃないですか。
──めちゃくちゃ意外ですよ。
伊藤:ですよね。だから、みんなびっくりすると思います。
深川:OLEDICKFOGGYとenvyの両方好きなお客さんっていますかね?
伊藤:いるんじゃないですか?
深川:前にOLEDICKFOGGYとTHA BLUE HERBが一緒にやっていたじゃないですか。そこはお客さん同士も含めて共鳴し合う感じがするんです。でもenvyとはやってみないと本当に分からない。もちろんやることに意味があるので楽しみではあります。
伊藤:やってみた結果、「全然合わねぇな」ってなるかもしれないですよね(笑)。
深川:お互いバンド同士が良くても、お客さんの反応が全然良くなかったりしたら嫌だね(笑)。
envyのメンバーはみんな「酔っ払い」で、意外とちゃんと喋ってくれる人たち(伊藤)
──お互いどのような印象をお持ちですか?
深川:自分は本当にバンド名しか知らなかったんですけど、マネージャーの広中さんに「一度ライブを観て欲しい」と言われて横浜にライブを観に行ったんですよ。そしたら物凄く熱量の高いライブをしていて。「こういうバンドなんだ」「歌いいな」と思いました。ラスティックとかも普段聴く機会がなかったのでとても新鮮でした。
伊藤:僕は一方的に知っていたので、イメージとしてはやっぱり難しい人たちの集まりなんだろうなと思っていて。でも信くんと仲良くなって分かったことなんですけど、みんな「酔っ払い」でしたね。あと意外とちゃんと喋ってくれる人たちなんだなと。
深川:自分は人見知りなんです。こちらから話題を作って話すとか上手く自分を打ち出せないというか。でも時間が経ってお酒を飲んだり話したりすることによって自分を知ってもらい仲良くなれるみたいなことが多いです。だからツアーが始まれば同志になっていくんじゃないかと思いますね。
──今のところ、まだお2人の目が合ってないですもんね。
深川:基本、あまり目を見て話さないです。人見知りなので(笑)。
伊藤:横浜のライブのとき、日本酒を一升瓶差し入れしてくれたじゃないですか。自分で飲んで帰りましたもんね。
深川:気分良くなって飲んで帰っちゃいました(笑)。
──ボーカリストとしてはお互いどのように感じていますか?
深川:音源を聴いて思ったのは、伊藤くんは歌が上手い。惹き込まれる印象。声も良いから本人に聞いてみたら「ボイトレに行ってる」っていうので自分も行ってみようかなと思ったんですけど、いろんな人に聞いたら「哲さんは行かないほうがいいかも」って言われました。良い部分が全て消されると。
伊藤:あの発声はボイトレじゃ教えてくれないですよ。
──ボイトレの先生も困りますよね(笑)。
深川:興味はあるんですけど。伊藤くんから聞いた丸1日コースがあると。行ってみようかなと思っていますが、多分行かないと思います。
伊藤:歌、嫌いになりますよ。
深川:でも伊藤くんは良い声していると思う。叫んでいるようにメロディを歌える人に憧れます。自分の周りにはいないタイプですね。声は枯れない?
伊藤:最近やっと枯れないようになりましたけど、さすがにこれだけツアーを回っていると枯れますね。3日連続ライブをやって、1日空けて、声が復活する前にまたライブが始まるから、あと1日あれば良いんですけど。
深川:自分は大体2日目まで喉の軽い違和感があり、辛いです、だけど3日目くらいからはもうずっと一緒です。枯れては復活の繰り返しの経験があるのでもう枯れないです。ボーカリストが枯れると終わりですからね。落ち込みます。
伊藤:どっちにしても声帯的には良くないんでしょうけどね(笑)。