一風変わったホラー作品として多くのファンを持つ『見える子ちゃん』が実写映画化される。ホラー要素はもちろん、コメディ・ドラマと多面的な魅力をもつ本作。主人公である四谷みこをどのように演じていったのか主演・原菜乃華に聞いた。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]
『見える子ちゃん』だとスグにわかる脚本でファンとしても嬉しかった
――原菜乃華さんは怖いものが苦手とのことですが、どれくらい苦手なんでしょうか。
原菜乃華:ホラー映画を全然観たことがないくらい苦手なんです。
――演じられた四谷みこ(以下、みこ)くらい苦手なんですね。
原:はい。
――ホラーが苦手な原さんが、『見える子ちゃん』主演に決まった時のお気持ちを伺えますか。
原:原作漫画『見える子ちゃん』が好きでもともと読んでいたので、怖い気持ちより出たいという思いの方が強かったです。原作がコメディ要素も強い作品なので、これならホラーが苦手な私でも挑戦できると思いました。
――原作からのファンなんですね。最初に脚本を読まれた際いかがでしたか。
原:撮影に入るのが楽しみになる脚本でした。原作漫画『見える子ちゃん』にある要素はもちろん盛り込まれていて、原作を読んだときに感じたテンポ、コメディとホラーがMIXされた独特の雰囲気が脚本にしっかりと描かれていて、これは『見える子ちゃん』だとスグにわかる脚本でファンとしても嬉しかったです。
――出演するにあたってみこというキャラクターをどのように作り上げていかれたのですか。
原:しっかりとした原作があるものなので、ひたすら読み込みました。みこがどういう怖がり方をするのか、どんなトーンで話すのか、感情が表情に出やすい子なのかを原作から汲み取っていきました。
――怖がり方・霊の見え方で参考にした作品はありますか。
原:霊役の方もCGではなくその場にいてくださったので、参考にした作品は特にないです。
――しっかりとメイクもされて現場にいらっしゃったのですか。
原:はい。
――メイクされた霊役の方が本当に走って追いかけてきたからこその迫真の演技だったんですね。
原:しっかり怖がっていました(笑)。
安心して演じることができました
――本作ならではという要素はありましたか。
原:『見える子ちゃん』は普通のホラー作品と少し違った作品で、みこが怖がっていることが周りの人に気づかれてはいけないんです。でも観客のみなさんには霊がいることが分かっていてみこが怖がっていることが伝わらないといけないので、その塩梅が難しかったです。
――確かに、そういった本作ならではのニュアンスは中村義洋監督と話し合って進められたのでしょうか。
原:最初から最後まで細かく演出をつけていただいて、話し合いながら進めていきました。
――中村監督はホラー作品を今までにも撮られていますが、ホラー作品制作の経験が豊富だからこその技法を感じられたりしましたか。
原:本作は意外とバンっといったジャンプスケア的な要素がないので、ホラー映画ならではの表現だなと感じることはなかったです。撮影中はどちらかというと青春やコメディにフォーカスしているなと感じていました。
――確かに青春映画の要素も強いですね。
原:もちろん『見える子ちゃん』なので怖がっている演技をしなければいけません。そういった点は中村監督から「ちょっとした目線の動きや瞬き、そういう細かいところで伝わるから。お客さんから観えている景色とみこが見ている景色は同じだから、安心して抑えてもらって大丈夫。」とアドバイスをいただけたので、安心して演じることができました。
――本作ではすぐにそうだと判断できない霊も出てきます。一目で分かる霊と分からない霊とで対峙するときの演じ分けはどのようなことを意識されましたか。
原:その点は特に難しかった部分でした。観客のみなさんを驚かせないといけないので霊と対峙するときは、等身大の女の子のリアクションになるように意識しました。そんな中でも心の内で秘めている感情とのギャップを表現できるように表情を意識しました。
――その点がばっちり表現されていて素晴らしかったです。
原:ありがとうございます。
――青春映画のようだったとのことですが、どのような撮影現場でしたか。
原:同年代の方が多かったので、実際の学校にいるような和気あいあいとした現場でした。
――現場で学生時代を思い出すようなことはありましたか。
原:昼食の時などは高校のお昼休みのようでした。百合川ハナ(以下、ハナ)役の久間田琳加さんと二暮堂ユリア(以下、ユリア)役のなえなのさんと同じ部屋だったこともあって特によく話しました。本当に二人がハナとユリアでよかったと思っています。二人と一緒にいたことでさらに青春映画のように感じられたんだと思います。
――遠野善先生役の京本大我さんはどんなかたでしたか。
原:現場でもすごくたくさんいろんなことを話しかけてくださって、面白くて素敵な方でした。
――中村監督はどんな方ですか。
原:常に私たちのことを気にかけてくださる方でした。撮影中もカットがかかるたび走ってきてくださって、同じ目線に腰をかがめ「ここはこういうシーンだから、もう少し目線のお芝居を増やしていいかも。」や「今のお芝居がすごくよかった。」などしっかり言葉で伝えてくださる方で、しっかり私たちを見てくださっているなと感じることができたので迷わずに進んでいくことができました。
――熱く優しい方なんですね。
原:本当に優しくて朗らかな方で「ホラー撮っているけど、ホラー苦手なんだよ」って(笑)。常に笑いの絶えない現場でした。