"ARB KIDS"にとって7年ぶりの祝宴だ。日本のロックに"WORK SONG"=労働歌を重要なモチーフの一部として取り入れた至高のバンド、ARBの唯一のオリジナル・メンバーであるKEITHが来たる2月6日(木)に73歳の誕生日を迎え、その祝祭ライブ『Keith BIRTHDAY NIGHT 2025 ~The beginning of a new legend~』が誕生日当日にホームグラウンドである新宿LOFTで開催される。KEITHとARBの音楽に多大な影響を受けたバンドマンが一堂に集結して不朽不滅のARBナンバーを一気呵成に聴かせる趣向のライブは、2018年10月に行なわれたARBのデビュー40周年記念ライブ以来、実に7年ぶり。デビューから47年、実質的な活動休止から19年を経ても色褪せることなく、むしろ深みと説得力を持って響きわたるARBナンバーを次世代へ継承することが自身の使命と語るKEITH、今回のライブの制作を一身に担う傍らベーシストとして出演も果たす柳沼宏孝(4-STiCKS)に、出演者の顔ぶれや選曲、企画の真意などを聞いた。このライブを機に、いつだって僕らの胸を躍らせ無邪気にさせるARBの珠玉の歌が再び脚光を集めることを願ってやまない。(Interview:椎名宗之)
自分の誕生祝いはやっぱりLOFTでやりたかった
──今回のバースデイ・ライブはどんな経緯で企画が立ち上がったんですか。
KEITH:俺が前からずっとLOFTでやりたくてね。3年前に古希の記念ライブを吉祥寺のGBでやってもらったことがあったけど、やっぱり自分の誕生祝いはLOFTでやりたかった。それでヤギちゃん(柳沼のこと)に相談したら乗ってくれて。
柳沼:他でもないレジェンドからのご相談でしたから。ここ何年か『MINAMINO ROCK FESTIVAL』でステージをご一緒させていただいているのもあるし、僕が4-STiCKSでデビューする前からKEITHさんにはお世話になっているので。
──KEITHさんが不滅のARBナンバーを新宿LOFTで奏でるのは、2018年10月に行なわれたデビュー40周年記念ライブ『ARB SONGS ALL TIME BEST』以来、約7年ぶりとなるんですね。
KEITH:うん。あとは年に一度、南野ちゃん(4-STiCKSの南野信吾)のイベントに呼んでくれて。単なるわがままかもしれないけど、誕生日にライブをやるならやっぱりLOFTがいいなと思って。
──とても豪華な顔ぶれがKEITHさんのお祝いに駆けつけることになりましたが、今回は意図的にKEITHさんより下の世代にお声がけしたそうですね。
KEITH:そうそう。仮に歴代のメンバーを呼ぶと「なんで自分は呼ばれないんだ?」みたいに感じる人も出てくるだろうから。それで自分より下の60代、50代の面々に声をかけたわけ。ヤギちゃんは取りまとめるのが大変だったと思うけど。
柳沼:最初の打ち合わせで「元メンバーを呼ばなくていいんですか?」と訊いたら、誰を呼んで誰を呼ばないというのは偏りが出るし、それよりもLOFTをベースにした下の世代と一緒にやりたいというKEITHさんの意向があったんです。
──ゲストの人選やセクションの組み合わせはどう決めていったんですか。
KEITH:ヤギちゃんがほとんど決めてくれた。俺は担がれた神輿みたいなもので(笑)。
柳沼:もちろんKEITHさんに相談しつつでしたけどね。各セクションについてはどうしようかな……せっかくなのでこのインタビューで公表しちゃいましょうか。曲目は伏せることにして。
──ありがとうございます。ではまず、ボーカル=オカダヨシアキさん(THE MINKS)、ギター=シズヲさん(ex.ニューロティカ)、ベース=柳沼さん、ドラム=KEITHさんというセクションについて聞かせてください。柳沼さんは制作のみならずベースを弾くという大役まで務めるということで。
【SECTION #1】Vo. オカダヨシアキ(THE MINKS)|Gt. シズヲ(ex.ニューロティカ, ex.WOLF&THE GOODFELLAS)|Ba. 柳沼宏孝(4-STiCKS)|Ds. KEITH(ARB)
柳沼:僕は最初、ベースを弾くのはお断りしていたんですよ。
KEITH:せっかく企画してやってくれるんだから、ベースも弾いてよと俺がお願いしたんだけど。
柳沼:御大にはそう仰っていただきましたけど、なんせこの面子ですから制作だけで手一杯で。でも某ベーシストのスケジュールがどうしても合わないということで、僭越ながら弾かせてもらうことになったんです。
KEITH:ここ何年も一緒にやってるからヤギちゃんなら大丈夫という安心感もあったしね。
柳沼:そう言っていただけるだけで光栄ですし、弾いてみたい曲もあったので、僕で良ければ…という感じです。
──オカダさんとシズヲさんは接点がありそうでなかった感じですよね?
柳沼:セッションするのは初だと思います。KEITHさんは岡田ヨシアキ心唄バンドで一緒にやってるし、僕もヨシアキさんとは昔から顔見知りなのでバランスは取れているんじゃないですかね。今回は、KEITHさんがヨシアキさんに「『××××××××××』(当日をお楽しみに。以下同)からスタートしてほしい」とリクエストしたんです。
KEITH:みんな「魂こがして」や「野良犬」とかを期待するかもしれないけど、今回は最初に「××××××××××」から始めたくて。
柳沼:その辺りが今回の肝なんです。良い意味で期待を裏切る選曲が多いはずです。