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トップインタビューANTENA - 新宿LOFTでの活動再開ライブを前に、活動休止の真意とこれからについてフロントマン・渡辺諒が語り尽くす

新宿LOFTでの活動再開ライブを前に、活動休止の真意とこれからについてフロントマン・渡辺諒が語り尽くす

2025.01.10

 2025年1月19日(日)、新宿LOFTで活動再開ライブを行なうANTENA。メンバー4人が再びライブハウスに帰ってくるその日を前に、フロントマン・渡辺諒(Vo&Gt)はどんな思いでいるのか。また、活動再開に至ったときから今に至るまで、おそらくファンの方も知りたかったであろう質問をぶつけてみたが、包み隠すことなく実に大いに語ってくれた。そんなインタビューをお届けする。
 インタビュー本編の前にひとつ余談を。作業部屋と称する場所にいる彼とZOOMを繋いで話し始めると、傍らにはおとなしいワンちゃんが。「だから家から出ることがなくなった」と微笑み、愛犬の話から始まったインタビューだったが、これまでわたしが何度か行なってきたインタビューの中でいちばん表情が穏やか、且つ笑顔も多かったと感じている。それは大切なペットが側にいたからというのはもちろん、2年超の活動休止の期間が彼にとって良い作用をもたらしているあらわれとも感じたのだが...『起きた!』とタイトルがついた活動再開ライブで答え合わせをすることにしよう。ということで、プレミア化しているライブのチケットを持っている方は絶対に集合ですよ!(Interview:高橋ちえ)

ANTENAの活動休止は“音楽を長くやっていくための修行期間”

──そういえば以前、森良太さんと対談したとき(記事はこちら)も最初にペットのお話で盛り上がりましたね。

渡辺:そうでした(笑)、“犬派か猫派か”で。俺は完全に犬派ですね。

──犬派の渡辺さん、ANTENA活動休止中もソロ活動をコンスタントに続けていたようにお見受けしてました。

渡辺:そうですね。ANTENAが活休して2年半になりますけど、ガツガツやってましたね。

──活動休止を発表した2022年の2月に、「現活動を1部とするのなら2部の活動に向けた準備、充電。修行期間として過ごす」とメッセージを寄せて。

渡辺:だから活動休止の期間も全然、暗い感じではなかったんです。そもそもコロナ禍で自分たちのバンド周りの環境が大きく変わっちゃったことが(活動休止を)考えるきっかけになって。2017年にメジャーデビューしてから、初めてフルアルバムを出せたのが2020年1月で、過去最大キャパでのツアーも決まって全公演ソールドアウトが見えている状況で「2020年はやるしかないぞ!」っていうモードだったんですけど、コロナでイベントが流れ始めたとき、ただ時が流れていくのを待つというのは、音楽を長くやっていくためにはどうなのだろうか…と感じ始めたんですね。もしもツアーがそのまま行なわれていたら次の景色に向けて何かをできたと思うんですけど、自分たちにとってまだ見たことのない規模へのステップがなくなってしまって、今までと同じ気持ちで音楽をやろうとしたらただ船が沈んでいっちゃうような…そんな感じがして。お客さんも含めて一緒に音楽を長くやっていくとしたら、ここで一旦、骨太な体作りをしていくことが必要なんじゃないかなと思ったんですよね。

──メンバーともそういう話し合いを?

渡辺:動員の浮き沈みもありながら、初めてステップアップをしている、一歩一歩ちゃんと上っているという実感を得ていたときだったので、ツアーがなくなったときにさすがにちょっと、しんどいんじゃないか…っていう、モチベーションの停滞感みたいなものを皆、口にはしなかったけど多分、思っていたと思うんですね。それで俺が「活動休止して、骨太になるための修行期間を設けたほうが良いと思う」って話をしたら、「話してくれてホッとした」って。

──そうでしたか。活動休止中にメンバーの皆さんと連絡をしたりすることは?

渡辺:それこそZOOMを使って、月に1回ぐらいのときもあればちょっと時間が空くこともあるし、特に決め事があるわけでもなく。皆で話した後にご飯に行くということもありましたし(笑)、活動休止中に人間関係のブランクが出ることもなかったですね。本当に充電期間と言うか…改めて、ANTENAというバンドとの向き合い方をそれぞれが、それぞれの中で向き合い直す時間だったのかな、と思います。

──渡辺さん自身は、“ANTENAとの向き合い方”はどうなりましたか?

渡辺:自分がソロでやっていることがそのままANTENAに直結していくと思ってやっていたので、ソロ活動とANTENAが離れているという感覚が全くなかったんですよね。ずっと延長線上で、ソロの先にはANTENAがある。ANTENAとして活動再開したときにパワーアップした姿を見せるために、ソロ活動の期間を設けようという感じだったので。だから、常にANTENAに活かせるものを考えたりしながらやっていたソロ活動だったと思います。ファンの皆さんも、ANTENAの活動再開を待っててくださる方もたくさんいたりするわけですし、(ソロでの)修行期間もANTENAとしての活動として、追っかけてもらおうという気持ちがありましたね。

──ソロになると他の景色が見えて気持ちがブレたりすることもあろうかと思ったりしますが、渡辺さんはソロを通してさらにANTENAに向かっていった感じでしょうかね。

渡辺:そうですね。曲の作り方にしてもライブの見せ方にしてももちろん、一人だからできることもたくさんありました。でも、一人だからできることを知って…何でもアリだな、バンドというものへのこだわりが良い意味でなくなったな、とも思うようになって。今のところは結局バンドに戻っちゃう感じですけど、バンドに強いこだわりがあるのかと聞かれたら、もしかしたらそうではないのかもしれない。でもやっぱり自分の中では、自分の音楽を伝えていく一番最初のフィルターにかけたいのは、やっぱり、ANTEANAなんですよね。自分の作る音楽が最初に通るフィルターが、ANTEANA。ということなのかも、しれないですね。

2025年が明けて心機一転、新しい気持ちで活動再開を

──活動再開の時期やタイミングに関しては、何となく考えていたのでしょうか?

渡辺:何となくですけど、(休止は)2年ぐらいかなとは思っていました。高校生で喩えると1年生で部活に入った人の集大成って高3の高総体とか文化祭だと思うので(笑)、2~3年あればある程度は形になるのかなとは思ってて。だから目安としては2年間で、その間にボイストレーニングに通い直したりピアノを始めてみたり、音楽理論とか曲作りに関する勉強をしていましたね。

──なるほど!

渡辺:逆に、“ピアノを始めてものすごく上達するまでライブをお預けして、メチャメチャ良いライブができるようになったら”とか条件を決めたとしても、やってみないとやっぱり分からないから(笑)。自分の中では“やらないことには!”って、やりたい気持ちがあるならやっちゃうほうがむしろ良くない? っていう考えの人なので。それで(活休から)2年を迎える前に「そろそろ活動再開を考えても良いかもね」っていう話を、メンバーに持ち出しましたね。

──ということは具体的にいつ頃でしょう?

渡辺:ちょうど今から1年ちょっと前…去年(2023年)の10月とか、それぐらいの頃だったと思います。自分のソロツアーの集大成の一つとして、去年11月に仙台のホール(@誰も知らない劇場)でソロワンマンをやるというのがあって、そこに向けてソロ活動をやりつつ、そのときに「2025年1月にANTENAは活動再開します」って発表しようかな…と思ってたんですよね。解禁時期も含めいろいろと見極めている中で、結果としてそこで発表はできず年を跨ぐことにはなりましたけども。活動再開に関しては、スタートを切るなら一つしっかりとした自分たちのワンマンの場所が欲しいよね、と考えたとき。年が明けて心機一転、新しい気持ちで、1月が良いね、という話になりましたね。

──活動再開ライブを発表したのは今年(2024年)2月です。

渡辺:そうですね。それで3月からチケット予約を始めた感じでしたけど、今年の10月に仙台(宮城県)で行なわれたサーキットイベント『MEGA★ROCKS 2024』に、ANTENAとしてこっそり出させてもらいました。

──なんと!?

渡辺:ソロで出演の打診を頂いていたんですけど、ずっとお世話になっている主催の方から「活動再開するなら、ANTENAで出演するのはどうでしょう?」とお話を頂いて。自分たちとしてもいきなりワンマンよりは、1回でもライブを踏んでおくとライブのイメージも掴めると思うし、バンドで出演することを決めましたね。

──そのときのライブはいかがでしたか?

渡辺:30分でやり切った感がすごくありましたし、逆にあっという間な感じもあって。メンバー的には自分たちの爆発力をお客さんに見せられた、そんな気持ち良さを持ってやってるなというのは伝わってきました。俺的にはこの活動休止期間でボイトレや発声の練習をずっとしていたので、そういうところが見せられたら良いなと思っていたんですけどすっかり抜け落ちた(笑)、っていう自分自身の課題はありましたけど、お客さんの前でANTENAの姿を見せられて、次に繋がるライブができたという手応えはメンバー皆が感じたと思うので。1月のライブに向けてこんなこともできるな、というのをそこでしっかり感じることができましたね。気心知れてる人たちだし、演奏のミスとかもそんなになかったですし(笑)。

──『MEGA★ROCKS 2024』、ANTENAとして出演できたのは本当に良いことだったと思います。何と言っても地元ですもの!

渡辺:そうですよね。自分たちにとってはあっという間の2年間でも、世の中的には世界が変わるにはあり過ぎるぐらいの時間が経っているのに、入場規制がかかりそうなほどお客さんが集まってくれて。メンバーにしてみればお客さんがどれぐらい来てくれるだろうとか、ライブのステージに立つことにしてもビビりの気持ちがゼロだったわけではないと思うし、そういう意味で(1月のワンマンに向けて)気持ちも少し安らいだかな、と思いますね。

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LIVE INFOライブ情報

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ANTENA 活動再開無料ワンマンライブ『起きた!』
【出演】ANTENA
【日程】2025年1月19日(日)
【時間】開場18:15 / 開演19:00
【チケット】2DRINK代¥1,000のみ
【チケット再交付】
1月10日(金)20:00より入場整理券、追加分を受付中(なくなり次第終了)
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
 
2025年の1月19日の無料ワンマンライブからANTENAとしての活動を再開します。
コロナ禍というご時世に突入してから丸5年ほど経つことになり、音楽やANTENAというバンドを長くこれから先も進めていくために選んだ修行期間、ワンマンライブまであと一年ありますがその頃には修行期間に突入して2年半が経つことになります。2年半の間、止まるわけでも後退するわけでもなく前進してきてる、という姿や変わらない姿勢などを皆さんに見てもらえるよう、また一から挑戦の気持ちで2024年を過ごしていきます。
きっとあっという間にやってくる1月、また皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
そして今回、無料ワンマンという相談にも快く受け入れてくれた新宿ロフトの皆さん本当にありがとうございます。たくさんの思い出が新宿ロフトでまた一つ最高な思い出を作れるようにしたいと思います、よろしくお願いします!【渡辺諒(ANTENA)】
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