新たなメンバーも加わって、ひかりのなかには『ミューズをしんじてる』
──『Charm』のリリースや、ライブも多くて昨年は忙しかったのでは?
ヤマシタカホ:呼んでいただける所には、都合が合わないタイミング以外は出ようっていう気持ちもあったし、自分一人で弾き語りで出演するところもだいぶ増えた感じでした。バンドじゃなきゃ意味がないと思ってバンドでしか出ていない時期もあったんですけど、自分一人が動けるのであれば、動いたその場でもしかしたら新しいお客さんとの出会いがあるかもしれないし、出ない以外に選択肢はないなと思って。サポートのメンバーも他の活動がそれぞれあったり日々の生活もあるので、お誘いをいただいてバンドで出られなくても「弾き語りだったら出られますがどうですか?」って自分が返答することも本当に増えました。それで、「弾き語りでも良いから出て欲しい」って言ってくださる方がたくさんいらっしゃって、それもすごく嬉しかったんですよね。
──バンドでも一人でも、まずはライブを通して人に届けてきた。でも、秋ごろにはnoteを通して「仲間探しを始めようと決断した」という思いも吐露していましたね(「お話ししたかったこと全文」)。サディスティック天野(Dr)さんがメンバーとなった経緯を伺いましょうか。
ヤマシタカホ:今年の夏頃に大阪でワンマンライブがあったんですけど、帰りの車の中で天野には話をしたんですね。でも「メンバーというよりはこのままサポートの態勢で行きましょうか」と一旦、話がついたんです。その後もサポートで活動をしてもらっていた中で、音楽をやっている人たちにも「メンバーを迎えないの?」ってよく聞かれたりもしていて、迎えたい気持ちはもちろんありつつも(メンバーとして誘いたい)相手のことを考慮して、引いてしまう自分がいるな…って。でも、やっぱり、このバンドのことを考えて。もう1回、声をかけよう、って。やっぱり私はメンバーが欲しいし、活動再開のタイミングから支えてくださる人たちと一緒に、音楽をやりたかったから。「メンバーになってもらえませんか」ってもう1回、声をかけました。
▲サディスティック天野(撮影:ノノ)
──メンバーが増える。そのことで違いは何か、もう出たりしていますか?
ヤマシタカホ:全然、違いますね。このバンドのことで、一緒に何かを考えることができる人がいる。誘われたライブ1本にしても出るか出ないかの話ができたりとか、制作する上で「どっちが良いかな?」っていう話ができる。今までは私の独断で動いている状態のほうが長かったので、ちょっと不思議な感じもするんですけど(笑)新鮮だなと思いますし、アーティスト写真をこの前、撮ってきたんです。ちゃんとしたカメラマンで、とかよりも(メンバー加入が決まった)このスピード感で、友達にインスタントカメラで写真を撮ってもらいました。いっつも私一人で写っていたものが、もう一人いる。すごく新鮮で、今までよりもっと前向きに活動しようという気持ちでいる感じです。それで「来年(=2025年)はどういう活動をしようか」っていう話を、2人でしたりしている感じです。
──このインタビューが公開される頃にはSNSのアイコンなどが2人になっているんですよね、楽しみ! 実際に来年の活動としては、どんな話が出ている?
ヤマシタカホ:私の心持ちとしては元来そうですけど、「ライブをやりたいよね」っていうのが2人の共通としてもあって。制作も引き続きやっていって、来年の1年間でEPも作れるぐらいに新曲も作りたいとか話してます。メンバーを迎えられたというのは本当に大きなトピックだと思うので、そこを大事にしながら。より精力的に活動できるように頑張ろう、って言ってます。
──新宿LOFTでの自主企画『ミューズをしんじてる』で、新・ひかりのなかにがお披露目となりますが、この日に同じタイトルの会場限定盤(全3曲/100枚限定)も発売すると発表していましたね。この作品も、うめはらももさんがジャケットを手がけて。
ヤマシタカホ:CDとして収録されていない過去の曲も入ったEP盤で、今のところ会場限定盤で出すと決めて。1月11日の公演名を先に発表していたんですけど、実はEPのタイトルのほうが先にできていて、「このリリースのための公演だよ」っていう伏線回収をやりたかったんです。
▲2025年1月11日(土)に会場限定で発売される『ミューズをしんじてる』
──そうでしたか! 『ミューズをしんじてる』の言葉に込めた思いとは?
ヤマシタカホ:今までの活動の中でもちろん後悔も多いし、こうしていたら今頃は…って考えることもまだまだ多いですけど、“ミューズ”は音楽とか歌詞の神様で、私が大事にしているものを持っている神様。私は、まだまだ音楽の神様を信じたいと思っていて。だから“神頼み”って言われたら…でも、いつか振り向いてくれるんじゃないかって何度も思いながら。今までも、きっとこれからも、音楽をやっていくんですよ。ひかりのなかには音楽の神様をまだ信じているから、振り向いてもらえるまでをこれから一緒に見ていこうってお客さんにも思ってもらいたいですし、会場限定盤に「あたし」っていう曲が収録されるんですけど、“神様はあたしのこと 嫌いになっちゃったのかな?”っていう歌詞があって。私は音楽の初動が人よりも何千倍も早いスピードで大きいステージにも立った経験もあるけど、それは神様が振り向いてくれていた瞬間だと思っていて。でも私は一度逃しちゃったから、神様は今、私のことを嫌いになっちゃったのかな…って。“神様は私のこと いつになれば気づいてくれるのかしら”っていう歌詞も、“そうさ結局 運とタイミング”(「舞台裏」/2019)っていう歌詞を高校生のときに書いていたように、考えていることはずっと一緒だなぁと思いながら。今は必死に、自分が掴みたいものへの道標を立ててくれる神様の存在を信じて、それをタイトルにしたいなと思いました。
──いま言葉にあった、“掴みたいもの”とは何でしょう?
ヤマシタカホ:私が音楽を始めたときからずっと掲げている夢があって、スーパーでよく流れているイージーリスニング・オルゴールバージョンになっていたりするような(笑)音楽に、私の音楽がなって欲しいんです。それで、歌詞が分からなくても子どもが歌ってたりするじゃないですか(笑)、その光景の音楽が私の音楽だったら…って考えたら、もうそれ以上のことはないなと思っているんですよね。日常に溶け込む音楽が、ひかりのなかにであって欲しい。その夢がまだ諦められないんですよね。ひかりのなかにという音楽がもっともっと、自分の想像を超えてたくさんの人に届くために、まずはライブハウスで音楽をすることがとても大切だと思っているし、今の私が一番大切にしていることですが、会場の大きさがもっともっと大きくなるように今、音楽を信じているところです。
──音楽を信じて、今ならやっていける。
ヤマシタカホ:活動再開した時点ですごく、私自身の音楽を信じているんです。お世辞かもしれないけど「本当にキャッチーな曲を書くよね」とか「1回聴いただけで覚えられる」とか、サポートしてくれるメンバーも言ってくださるので。そこは自分の武器だと思って頑張っていますし、自分を信じることができなくなったらこのバンドは本当に終わりなので。とにかく今は、自分の音楽を信じて。頑張っていこうと思ってます。
▲ヤマシタカホ(撮影:ノノ)
──では、2025年1月11日に開催される『ミューズをしんじてる』、この日が2025年最初のライブです。この日は、どんなライブになりそうでしょう?
ヤマシタカホ:2025年一番最初のライブなので、この1年を表したりこう進んでいくんだなというところをパフォーマンスで見せたいと思ってますし、すごく単純に「ひかりのなかにの音楽は今日も最高だった!」って思ってもらえる日に、まずはしたいです。そして、ひかりのなかにが前に進んでいる、その一歩はわずかですけど、一歩ずつ前に進んでいく姿をいらっしゃる皆さまには感じていただきたいですし、私ができる最大限を毎公演やっているのは変わらないから、この日もまずはそこを楽しんでいただいて。この公演が、今後のライブに足を運ぶきっかけにもなれば良いな、と思っています。
──そんなライブの心持ちは、メンバーがいるということでさらに変わってきますよね!
ヤマシタカホ:変わりますね! お客さんも喜んでくれるんじゃないかな…と思ってますし、本当に念願の、やっと入ったメンバーなので。そこも含めて、この日のライブで良いスタートを切れたら良いな、って思ってます。